日本では明日、一部地域を除いて緊急事態宣言が解除される模様です。この判断が吉と出ることを願っていますが、首都圏や大阪・兵庫、そして北海道は引き続き、今月末まで我慢の子。もうしばらくビタミン剤が必要なのでは、と思いますので、あと2回ほど、対コロナウィルス・ビタミン剤を皆さんに投与したいと思います。
で、まずはインド製のビタミン剤ですが、運んできてくれたのは、『ダバング 大胆不敵』(2010)の主人公である警部チュルブル・パンデー(サルマーン・カーン)と、彼と敵対していた顔役チェーディー(ソーヌー・スード)です。まずは、ソーヌー・スードの活躍からお伝えしようと思いますが、ソーヌー・スードはインド映画ファンなら、『ラジニカーント★チャンドラムキ 踊る!アメリカ帰りのゴーストバスター』(2005)の謎のボディガード役から注目していらしたのでは、と思います。パンジャーブ州の出身なのですが、1999年にタミル語映画でデビュー、その後タミル語映画を中心に、テルグ語映画、ヒンディー語映画など、いろんな言語の多くの作品に出演してます。ルックスが渋くてガタイがいいので悪役が多いものの、コメディ映画にも結構出ていて、少々おまぬけな役も上手に演じています。ジャッキー・チェン主演の『カンフー・ヨガ』(2007)にも準主役で出ていましたので、そういうと「ああ~」と思われる方も多いはず。1973年7月30日生まれの46歳です。彼に関するニュースで、4月の初めに出た動画をどうぞ。
Sonu Sood Offers To Provide His Hotel For Corona warriors | ABP News
上のニュースのように、ソーヌー・スードはまず4月早々、自分が所有するホテル「Shakti Sagar/シャクティ・サーガル」を近隣の医療従事者に提供する、と申し出ました。これはムンバイのジュフー地区にある6階建てのホテルで、24室あるそうです。彼はいくつかの病院等医療機関に相談し、医師や看護師など医療機関で働く人々が泊まったり、休憩したりできる場所として提供することにした、とのことです。その少し前には、シャー・ルク・カーンが4階建てのオフィスを検疫施設として提供したりと、映画界の人々が所有している不動産の提供を申し出た例がいくつかあり、ソーヌー・スードもそれに倣ったのでした。上のニュースはヒンディー語版ですが、ホテル周辺の様子がわかると思います。Booking.comのサイトで、ホテル内の様子を見ることができますが、「今は予約を受け付けていない」と書いてありますね、なるほど~。三つ星だそうですが、なかなかお部屋も立派です。病院まで時間をかけて通っていた医師や看護師、事務の人やお掃除の人などが、近くから通えていいですね。日本も、こういうホテルの使い方をしてもいいのでは、と思います。
Sonu Sood Arranged Bus for Send Poor Migrants to Their Home | Prideful Work Like Salman Khan
続いては、それから約1ヶ月後の5月11日に流されたニュース等です。ニュースでは、ソーヌー・スードが長距離バスを見送っている様子がまず出てきます。これは、ご存じの方も多いと思いますが、地方からインドの大都市に出稼ぎに来ていて、ロックダウンのために帰れなくなった人々をバスに乗せて、故郷に送り返している様子です。ロックダウンのために、鉄道もバスも一切止まってしまい、ロックダウン当初に何台か運行された長距離バスに乗り遅れた人々は、仕事もないまま、人によっては寝る場所もないまま大都会にとどまらざるを得ませんでした。政府からの援助はなく、チャリティの食べ物に頼るにも限界があるため、5月に入ると故郷まで歩いて戻る人が続出し始めたのですが、その途中、不幸な事故がいくつも起こったのでした。
大きな事故としては5月7日夜、アジャンタ・エローラに近い町アウランガーバードの近くで、鉄道の線路に寝ていた人がやってきた貨物列車に轢かれて16人が死亡する、という痛ましい事故が起こりました。鉄道も全面ストップのため、安心して線路を枕に寝ていた人たちがいたのです。さらに各地で、炎天下の道をてくてくと歩いていた出稼ぎ労働者たちが交通事故により死亡した、というニュースがいくつも報告されています。そんな中、個人で長距離用のバスを何台も手配して、人々を安全に故郷に帰らせようとした、ソーヌー・スードの活躍が注目された、というわけなのでした。
⇒
この動画には、バスを送り出すソーヌー・スードの姿に続いて、彼がクリアーファイルとメガネを使って、顔のシールドを上手に作ってしまう姿が登場します。これ、グッド・アイディアですね! クリアーファイルの片面を使い、パンチで両側に穴をあけて、メガネのつるを通せば、はい、顔を防御するシールドのできあがり! 医療関係者の皆さん、いかがですか? 飛沫から顔を防げますし、上と下が空いているので息で曇ることもありませんよ。
さらに次の動画では、サルマーン・カーンのチャリティ団体「Being Human(ビーイング・ヒューマン/人間らしく)」(上の写真はムンバイ市内にあるアンテナ・ショップ)が行っている、食材無料配布の様子が出てきます。まず、サルマーン・カーンと友人たちが、倉庫から食料の袋をリレーして車に積み込むのですが、その横腹には「Being Haangryy(ビーイング・ハーングリー/腹ペコだよ)」と書いてあって、この車で町のあちこちに出かけて配っているのです。袋には、米とパン用の粉、タマネギなどが入っていて、結構重そうです。並んだ人には、大人、子供を問わず手渡していて、ちょっと裕福そうな人でも渡していますね。
そして最後には、ソーヌー・スードが「我々を守ってくれている医療従事者に感謝しましょう。彼らを自分たちの地域に入れまいとしたり、差別したりする人が見られますが、彼らは私たちのために勇敢に闘ってくれているんです」とスピーチする姿が入っています。
そしてチラと出てきたサルマーン・カーンですが、ロックダウンの続く今の時期、「大切な人を失った人に」というコンセプトで「Tere Bina(テーレー・ビナー/君なしでは)」という歌を世に出しました。彼自身が歌い、ジャクリーン・フェルナンデスを相手役に撮影したMVの監督もやったそうで、すべてサルマーンのファームハウスとその近くで撮影されています。
Tere Bina | Salman Khan | Jacqueline Fernandez | Ajay Bhatia
ラストまで見ると、コンセプトがよくわかりますね。それにしてもサルマーン、こんなにいい声だったとは! 歌詞を知りたい方は、こちらをどうぞ。家族や友人とファームハウスでStay Homeしているので、時間があるのと、何か世間に貢献したいのとで、まず歌を1曲世に出し、これが2曲目だそうです。
歌によるCOVID-19との闘い、というコンセプトでアジアを見てみると、香港の俳優・歌手の郭富城(アーロン・クォック)↑も、5月9日(土)にちょっと変わったコンサートを行っていました。「郭富城2020《鼓舞・動起來》」という、青空チャリティー・コンサートです。尖沙咀の海港城に舞台を作り、アーロンの他の人――司会の鄭丹瑞(阿旦)やダンサーたちはみんなマスク着用という、「三密」に配慮したコンサートです。アーロンの以前のコンサートを知っている者にはちょっと寂しいですが、ライブ配信をして、左下に出ているように新型コロナウィルスの感染拡大予防のために義援金を募りました。
【LIVE 直播】郭富城 2020《鼓舞・動起來》1 小時網上演唱會 Aaron Kwok’s 2020 Online Concert (#中文字幕) - 鄭丹瑞《健康旦》頻道
アーロンは、広東語曲「芭啦芭啦櫻之花(パラパラ桜)」や北京語曲「對你愛不完」等合計13曲を、時には踊りながら約1時間にわたって披露しました。お疲れ様です! もう54歳なのに、すごいですね。それだけに、視聴も約218万回にのぼり、義援金も集まったことでしょう。最後にオマケで、このコンサートで最初に歌われた歌「對你愛不完」の、流行当時のコンサート映像を付けておきます。歌の発売が1990年ですから、30年近く前の映像ということになります。(デジタル映像でないため、お見苦しいのはご辛抱下さいね)
郭富城 對你愛不完 百聽不厭
インドでも、香港でも、みんなまだまだがんばっています。日本でも、緊急事態宣言一部解除後も油断せずに、新型コロナウィルス封じ込めまで力を尽くしましょう!