先週のPCのクラッシュで、映画紹介記事のアップがほとんどお手上げ状態です。新しいPCを買った量販店で救えるデータは救ってもらったのですが、画像のファイルがほぼ全滅。せっかく宣伝会社さんからいただいた上で、ブログアップ用にリサイズしたのがみんなおじゃんになりました。泣くに泣けない...。不幸中の幸いでダウンロードのファイルが救済されているので、そこからまたコツコツと作品別ファイルを作り、リサイズしていくしかありません。ずーっと拒否していたウィンドウズ10になってしまったので、設定もなかなかできず、仕事をするためには古いパソコンをまた引っ張り出し...というわけで、一体どうなるのやら。めげていても仕方がないので、まずは一番書いておきたい『ダンガル きっと、強くなる』について、ちょこっとトリビア等をアップします。最初に映画のデータをどうぞ。
『ダンガル きっと、強くなる』 公式サイト
2016年/インド/ヒンディー語/140分/原題:Dangal
監督:ニテーシュ・ティワーリー
主演:アーミル・カーン、サークシー・タンワル、ファーティマー・サナー・シャイク、ザーイラー・ワシーム、サニャー・マルホートラー、スハーニー・バトナーガル、アパルシャクティ・クラーナー、リトウィク・サホーレー、ギリーシュ・クルカルニー
(cinetamaのカタカナ表記なので、配給会社の表記とは違っているかも知れません)
配給:ウォルト・ディズニー・ジャパン/ギャガ
※4月6日(金)よりTOHOシネマズシャンテほか全国公開
実話に基づいた本作ですが、上の日本版チラシに写っている3人が、主人公である父親のマハヴィル・フォガト(音引きを付けると「マハーヴィール・フォーガート」)と、左側が長女のギータ(同:ギーター)、右側が次女のバビータ(同:バビーター)です。演じているのは、長女ギータがザーイラー・ワシーム、次女バビータがスハーニー・バトナーガルで、どちらも少女時代の両者としての出演です。ハイティーン以降は、長女ギータをファーティマー・サナー・シャイク、次女バビータをサニャー・マルホートラーが演じています。下のインド版ポスターで、アーミル・カーンの右側に立っているのがギータ(大人時代)、そこから時計とは反対回りに、バビータ(大人時代)、ギータ(少女時代)、そして一番前がバビータ(少女時代)となります。最初このポスターを見た時は、これが4人の姉妹かと思ったのですが、ちょっと時空を超えた配置だったわけですね。
このほか、彼女たちの従兄オムカル(同:オームカール)も、本作では重要な役割を果たします。オムカルはマハヴィルの弟の息子。劇中ではマハヴィルが兄、とはっきり語られてはいないのですが、オムカルがマハヴィルのことを「ターウー・ジー(伯父さん=父親の兄)」と呼んでいることや、オムカルの父親がマハヴィルに「バーイー・サーハブ(兄さん)」と呼び掛けていることから、マハヴィルの方が年上とわかります。このあたり、英語字幕では「brother」だけなので、判別が大変ですね。
本作では、このオムカルの大人時代を演じているアパルシャクティ・クラーナーがナレーションも務めています。甥の立場からスパルタ伯父さんを語る語り口は、何とも軽妙かつ腰が引けていて、大いに笑わせてくれますが、この人、誰かに似ているのです。特にタレ目のあたりに見覚えが...と思って調べてみると、アーユシュマーン・クラーナーの弟でした。アーユシュマーン・クラーナーは、日本でも映画祭上映された『Vocky Donor(ドナーはビッキー)』(2012)、『ヨイショ! 君と走る日』(2015)などに出演している人気男優であり、歌手としても活躍している人です(下の写真はWikiより)。兄のアーユシュマーン・クラーナーはすでに10本近い作品に出演していますが、弟のアパルシャクテイ・クラーナーの方は『ダンガル』が初出演。初々しい(でも、すでにかなりおじさん顔)、オムカル役の演技を楽しむことができます。
オムカルは、ヒロインのギータやバビータと同じく、子供時代を別の俳優が演じています。名前は、リトウィク・サホーレー。この名前にピン!と来たあなたには、インド映画熱烈ファン認定証を差し上げます。わからない方は、次の画像を見ていただきましょう。インディアン・フィルム・フェスティバル・ジャパン(IFFJ)での上映後に、小規模ながら公開された『フェラーリの運ぶ夢』(2012)です。
う~ん、ちょっとチラシの字が小さいですね。キャスト表の最後に「リトウィク・サホレ」とあります。そう、上のフェラーリにシャルマン・ジョーシーと共に乗っているのが、リトウィク・サホーレーです。『ダンガル』では中学生に成長したリトウィク君の姿を見ることができます。日本版予告編ではチラとしか登場しないので、彼の姿を確認できる現地版予告編を付けておきます。『フェラーリの運ぶ夢』を楽しまれた方は、背丈が伸びたリトウィク君にびっくりなさると思いますが、演技も達者で、『ダンガル』の前半にアクセントを付けてくれます。
Dangal | Official Trailer | Aamir Khan | In Cinemas Dec 23, 2016
後日、画像をいただいたらあらためてキャスト紹介をしますが、こんな風になかなか凝ったキャスティングです。なお、主人公の妻ダヤー(ギャガ様、いただいたプレスの表記「ダーヤ」は間違いです。ご訂正下さい)役はサークシー・タンワル、成長したギータが国の強化選手となった時のコーチ役はギリーシュ・クルカルニーで、2人とも、ヒンディー語映画と共にマラーティー語映画でも活躍しています。2人の顔が確認できる日本版予告編も付けておきます。
「ダンガル きっと、つよくなる」予告編
実はこの日本版予告編、セリフの字幕が「超訳」になっているんですね。予告編はえてして、実際の映画の中で使われている字幕とは違う、もっとキャッチーな訳の字幕を付けて見る人にアピールするものなのですが、『ダンガル』の予告編はそれがちょっと過剰になっていまして...。「今日からオリンピックを目指す」のセリフの元訳は、「(なぜなら)今日からお前たち2人はレスラーの人生を歩むんだ」なので、だいぶ「盛って」あります。聞くところによると、実際のフォガト氏は、娘たちが金メダルをとるためには強豪がいっぱい出場しているオリンピックでは不利なので、コモンウェルス・ゲーム(英連邦大会)にターゲットを絞って、見事金メダルを獲得させたのだとか。予告編のここの訳は、「今日からは金メダルを目指せ」とかの方がよかったかも。でもギータは2012年のロンドン・オリンピックに出場し、健闘しているので、それだけでもすごいことだ、ということで、今ちょうど冬季オリンピック期間でもありますし、この超訳が使われたのかも知れません。あと、最後のコーチのセリフ「誰だこいつ?」も、実際の内容は「(俺の)お茶はどうしたんだ?(まだ出てこないのか)」なので、劇中で悪者に描かれているとはいえ、ちょっとお気の毒ですね。予告編はそのシーンだけが切り取られて使われるため、字幕も付けるのが難しいのだ、とご理解下さい。すべては本編が勝負です!
最後にもう一つ、トリビアを。「ダンガル dangal」というのは「レスリング競技、レスリングの試合、レスリング競技場」というような意味なのですが、レスリングの試合の中でも、賞金や賞品が出る試合のことを言う単語のようです。スポーツとしてのレスリングというより、勝負事としてのレスリングですね。映画のセリフをよく聞いていると、それまでレスリングを「クシュティー kushti(インドの伝統的レスリング)」と呼んでいたのが、ギータを初めて試合に出場させる時に父親が、「明日はロータクに行くぞ。ダンガルに出るんだ」と言うのを聞くことができます。そしてその結果は....。このシーンも映画の中の見せ場の一つなので、ぜひ劇場でお楽しみ下さい。
なお、日本公開版『ダンガル』はインターナショナル版で、少し短い140分(インド上映版は161分)となっています。カットされているのはオープニングタイトルのシーン等で、前述のギータが初めてダンガルに出場するシーンでも、観客が彼女を揶揄してセクハラまがいの発言をする所などが切ってあります。オープニングタイトルは「♪ダンガル、ダンガル」という歌の入るシーンなのですが、一般のインド人たちがクシュティーをやっている姿をいろいろ写した映像が使われており、日本で言えばふんどし一丁で体を鍛える若者からおじさんまでが次々と登場します。クシュティーを知らない外国人が見たらどう思うだろうか、というような配慮でもって、監督がカットしたのかも知れません。なお、「♪ダンガル、ダンガル」の歌は、エンディングでたっぷり聴けますので、そこで楽しんで下さいね。
「ダンガル」=レスラーと思っていたのですが、違いました。
少女時代のいとこの子リトウィク・サホーレー、どこかで見たと気になっていたのですが、「フェラーリ」の子でしたか~。ぜんっぜん!気づきませんでした。数年も経ってないはずなのに、子どもの成長は早いですね~。
アパルシャクティ・クラーナーは「バドリナート」で気になりました。いい人オーラが溢れていて好きです。
「ダンガル」には「レスラー」までの意味はないようですが、もしかしたら、ハリヤーナー州のあの地域ではそういう使い方をすることがあるのかもしれません。
映画の中では、レスラーは「パハルワーン」を使っていましたけれど。
アパルシャクティ・クラーナー、『バドリーナートの花嫁』にも出てたんでしたね、そう言えば。
思い出させてくださって、ありがとうございます。
応援、よろしくお願いします!
♪ダンガル・タンガル