発売中の「キネマ旬報」3月下旬号は、例年のように「映画業界決算特別号」です。毎年、この号にはインド映画の年間回顧を載せさせてもらっているのですが、今年はテルグ語映画『Pushpa: The Rise-Part 1(プシュパ:立身編・第一部)』が興行収入第1位を獲得しました。コロナ禍ということもあって、『バーフバリ 王の凱旋』(2017)はもちろん、『バーフバリ 伝説誕生』(2015)の興収にも及びませんが、それでもインド映画第2位のヒンディー語映画『Sooryavanshi(スーリヤヴァンシー)』を大きく引き離しての第1位です。『Pushpa』については、カーヴェーリ川長治さんがこちらで詳しく紹介しておられるので、ぜひ見てみて下さい。タイトル訳も、このサイトを参照させていただきました。『Pushpa』の予告編を付けておきます。
Pushpa Official Trailer | Allu Arjun | Rashmika | Fahadh Faasil | Sukumar | DSP | 17th Dec
そして、今回「おお!」と思うのが、興収トップ20の言語別内訳です。過去数年のものも、一緒に見てみましょう。字数を減らすために、「~語」は英語(=ハリウッド映画です)以外は省略してあります。
2021:ヒンディー4/タミル5/テルグ8/マラヤーラム1/カンナダ1/英語1
2020:ヒンディー11/タミル3/テルグ3/マラヤーラム3
2019:ヒンディー14/タミル1/テルグ3/英語2
2018:ヒンディー13/タミル3/テルグ3/カンナダ1
2017:ヒンディー11/タミル3/テルグ5/英語1
2016:ヒンディー14/タミル1/テルグ2/マラヤーラム1/マラーティー1/英語1
2015:ヒンディー13/タミル3/テルグ1/英語3
今年のヒンディー語映画の凋落ぶりは、非常に顕著ですねー。まあ、コロナ禍で映画館が閉鎖となり、再開もマハーラーシュトラ州は他地域が8月から再開しているのに11月近くと、3ヶ月も遅れたから仕方ないのですが、それにしても南インド映画がぐんぐん力を付けてきている、という感じです。言語の吹き替え版での公開にインドの観客が慣れてきたこともあって、舞台となるのがどの地域でも、登場人物を演じているのがどの言語の俳優でも、面白ければOK、という状態になってきたのは喜ばしい現象と言っていいでしょう。
そして、今年の興収ではまたまたテルグ語映画がトップか、と思わせるのが、3月11日(金)に公開を控える『Radhe Shyam(ラーダーとクリシュナ)』、そう、昨年から何度も公開延期となったプラバースの主演作です。ここのところ公開を控えて、ソング・シーンやらメイキング・シーンやら公開前のプロモーション・シーンやらが、次々とYouTubeにアップされています。それを見ていると、ヨーロッパを舞台にしたラブロマンス映画か、と思っていた予想が、どうも覆りそうな気配です。まずは、最新版の予告編をどうぞ。
Radhe Shyam (Tamil) Release Trailer | Prabhas | Pooja Hegde | Radha Krishna | 11th March Release
内容が全然予測付かない状態になりました。すでにメイキングもアップされているのですが、これを見るとアクションがかなりヘビーなのでは、という感じです。あごマスク姿のピーター・ハイン(『バーフバリ』のアクション監督)がいますよね。要するに、あらゆる要素が入っている、ということでしょうか。
Saga Of Radhe Shyam (Making Video) Prabhas, Pooja Hegde | Radha Krishna Kumar, Bhushan K| 11.03.2022
真ん中辺に音楽関連のメイキングシーンがありましたが、ここでソングシーンもどうぞ。ヒンディー語版です。このほかにもありますので、ファンの方は捜してみて下さいね。
Main Ishq Mein Hoon Song |Radhe Shyam| Prabhas, Pooja H, Manan Bhardwaj, Harjot K, Kumaar, Bhushan K
そして最後が、『Radhe Shyam』タミル語版公開イベントでのプラバースのスピーチです。タミル語でしゃべっていますが、一部英語になっていますので、聞き取れますよ。
Rebel Star Prabhas Superb Speech | Radhe Shyam Tamil Pre Release Event | Pooja Hegde | Radha Krishna
というわけで、インドの皆さんはおそらく初日のチケットをすでに買って、11日の封切りを待っていることでしょう。どのくらいの旋風になるのか、楽しみです。一方、ヒンディー語映画は、先日封切られたサンジャイ・リーラー・バンサーリー監督作で、アーリアー・バットが主演している『Gangubai Kathiawadi(ガングバーイー・カーティヤーワーリー)』が現在の興収14億2千万ルピーと気を吐いていますが、同じく現在公開中のテルグ語映画『Bheemla Nayak(ビームラー・ナーヤク)』は16億7千万ルピーと、やはり負けています。今年も、インド映画界は南からの旋風が席巻、ということになるかも知れません。せめて最後に、『Gangubai Kathiawadi』の予告編をつけておきましょう。アジャイ・デーウガンも出ているのですが、ゲスト出演程度らしいです...。
Gangubai Kathiawadi | Official Trailer| Sanjay Leela Bhansali, Alia Bhatt, Ajay Devgn |25th Feb 2022