アジア映画巡礼

アジア映画にのめり込んでン十年、まだまだ熱くアジア映画を語ります

キネマ旬報「2015年映画業界総決算」

2016-03-28 | インド映画

帰国してすぐ、「インド通信」の発送作業があったりして、やっと今日から留守中の諸事を片付け始めました。留守中取り置いてもらっていた郵便物の整理や、同じく取り置きの新聞チェックなど、3週間不在だといろんな処理をしないといけません。その郵便物の中に、「キネマ旬報」編集部の方が送って下さった3月下旬号「映画業界決算特別号」を見つけました。今年から、「世界のヒットランキング&映画界事情」にインドも加えて下さることになり、その記事を書かせていただいたのです。取り上げられている国は、アメリカ(4ページ)、中国(2ページ)、イギリス、フランス、ドイツ、イタリア(各1ページ)、韓国(2ページ)、香港・台湾(両方で1ページ)、そしてインド(1ページ)です。インドの部分はP.101に掲載されていますので、ぜひ書店で見てみて下さいね。

キネマ旬報 2016年3月下旬 映画業界決算特別号 No.1712

インド映画の興収トップテンは、拙ブログでもこちらでお知らせしたのですが、今度の「キネマ旬報」掲載データはさらに修正を加えてあります。1.「ヒットランキング20」として、興収20位までを挙げてある、2.ハリウッド映画もリストに入れてある、3.南インド映画の興収も精査し、加えてある、という3点が変更点です。ブログに出したのは、ボリウッド・ジャーナリズムの情報による興収トップテンに『バーフバリ:始まりの章(原題)』の興収を加えたもので、この時はタミル語映画の中に第10位までに入るものがあるとは思わず、落としてしまったのでした。興収10位までに入っていたのはこの作品です。(ヒンディー語吹き替え版の予告編となっています)

Official : 'I' Theatrical Trailer in Hindi | Aascar Films | Shankar, Chiyaan Vikram, Amy Jackson

何位で、興収はどのくらい、というのは「キネマ旬報」を見ていただくとして、こういったボリウッド映画以外の作品の興収を確定し、トップ20を作っていく作業は本当に大変でした。ネットのあらゆる記事を調べまくった、という感じでしたが、最終的にデータ元にした記事は「キネマ旬報」で言及してありますので、関心のある方はチェックしてみて下さい。

Prabhas

1位の『バーフバリ』の日本公開がいつになるか、関心が高まるところですが、後編に当たる『バーフバリ:決着の章(原題)』の公開が2017年4月に予定されているので、その時期もにらみながら公開時期が決まるのでは、と思います。上のポスターに似たものをタミル語版配給業者のAPインターナショナル社長サンジャイ・ワードワーさんからいただいてきたので、日本の配給会社ツインにお送りせねば。『バーフバリ』の予告編も付けておきます。

Baahubali Trailer || Prabhas, Rana Daggubati, Anushka, Tamannaah || Bahubali Trailer

それから、この「キネマ旬報」では「映画会社別配給作品の興行収入」というレポートもあって、そこで昨年公開されたインド映画の日本での興収がいくつかわかりました。日活と東宝東和が配給した2本で、『チェイス!』が4,200万円、『ミルカ』が900万円となっています。過去の作品では、『ムトゥ 踊るマハラジャ』が2億円ちょっと、『きっと、うまくいく』『マダム・イン・ニューヨーク』が1億数千万円でヒットの範疇に入り、7~8千万円の興収ならまずまず、というのが成績の目安ですが、残念ながら『チェイス!』『ミルカ』は遠く及びませんでした。インド映画、もっとがんばらないと、公開の芽自体が消えることになりかねません。今年は『バーフバリ』のほかにも大作の公開が予定されているのですが、インド映画の面白さを丁寧に伝えていかないと、一般の観客はなかなか劇場に足を運んでくれないのではと思います。試練はまだまだ続きそうです。


 


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興収トップテンの計算方法 (よしだ まさし)
2016-03-29 12:29:13
素朴な疑問なのですが、こういう映画の興収トップテンとかを作成する時、年をまたいだ上映作品はどういう扱いになるのでしょうか?
たとえば2015年12月に上映が始まって、2016年まで上映が続いて、最終的に大ヒットになったけれど、2015年12月分だけだとトップテンに入らないような作品てありますよね。
かつて、香港映画の年間興収トップテンとかのリストを作成していた時には、年末までのデータに、翌年のデータをプラスして上映終了までの興収金額を使っていましたが、それでいいのでしょうか。
あるいは、インド映画の場合、年をまたぐどころか、数年にわたってのロングラン上映というのもあるわけで、そういうのはどうするのでしょう?

単なる好奇心で知りたいだけなのですが、どうされてます?
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よしだ まさし様 (cinetama)
2016-03-29 20:41:03
コメント、ありがとうございました。

お訊ねの件ですが、インドは基本的に次のようになっています。
1.公開年で線引きをする
 たとえば、2014年12月19日に公開された『pk』は、国内で30億ルピー以上の興収を上げたのですが、2015年の興収トップテンのリストには入っていません。
 2014年の興収トップテンのリストでは、『pk』は公開当初何週間かの成績が示され、「まだ公開中(=この数字はまだまだ増加の予定)」というマークが付いていたりしました。
2.最終的に興行収入が確定した場合は、それがニュースになったり、またWikiの「最も稼いだインド映画」(下のアドレス)に新たにアップされたりする。
https://en.wikipedia.org/wiki/List_of_highest-grossing_Indian_films#Highest_grossing_Hindi_films

インドでは、大体公開1~2週目の成績でヒットかどうかが判明するので、年末公開の作品も、1月に入って前年度の興収トップテンを決める頃には動向がわかる、というわけです。
というわけで、私もこれに倣っています。

ですが、いろいろ発表されるインド映画興収トップテンには、問題も山積です。
1.韓国や中国などのように、公的、あるいはそれに準ずる機関からの発表は存在しない。従って、データによってまちまちであることが多い。
2.ボリウッド映画だけのトップテン発表が一般的である。
3.発表されている興収の数字が、国内興収のみか、それとも世界市場全体での興収かを見極める必要がある。

てなわけで、今回も大変だったのでした。

昨年は製作本数(=検定通過数)すらも昨年は中央検定局からの発表がなく、全然映画大国とは言えないインドなのでございます~。
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フィリピン映画も (よしだ まさし)
2016-03-30 12:34:10
だいたい自分のやり方で大丈夫そうと分かり、ちょっとホッとしました。

ちなみに、フィリピン映画も公的な機関(もしくはそれに準じる機関)の発表するデータがないようで、製作本数も興収記録もWikipediaだけが頼りだったりします。どこのどなたが作ってくれているのか分かりませんが、複数の媒体をあれこれ調べて年間ベストを作っていたりして、頭が下がります。
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よしだ まさし様 (cinetama)
2016-03-31 01:29:55
再度のコメント、ありがとうございました。

フィリピン映画もそうなんですね。
Wikiはかなり信頼性が高く、私もよく利用させてもらっています。

フィリピン映画と言えば、この間の香港国際映画祭で、リノ・ブロッカ監督の『インシアン』(1976)をDVDで見せてもらってきました。
「修復経典」部門の1本として上映されたのですが、フィリピン人のアマさんが見られるように日曜日に上映が設定してありました。
久々に70年代フィリピン映画の息吹を味わいました~。
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