アジア映画巡礼

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Netflixのダヌシュ主演作『トリッキー・ワールド』

2021-06-27 | インド映画

ネトフリにダヌシュの主演作『トリッキー・ワールド』(原題:Jagame Thandiram/ஜகமே தந்திரம்)がアップされたので、見てみました。監督は『ジガルタンダ』(2014)のカールティク・スッバラージ、ヒロインは『アクション』(2019)にもちょっと顔を出した美女アイシュワリヤー・レクシュミ、ほかにイギリスのベテラン俳優ジェームズ・コスモが出演しています。物語はざっとこんな具合です。

Jagame Thandhiram poster.jpg

インドのタミル・ナードゥ州マドゥライのギャング、スルリ(ダヌシュ)は危険な男として名を売っていました。今日も今日とて、自分の結婚式があるというのに、花婿衣裳のまま列車を強制停止させて敵対するギャングの弟を襲い、あの世に送ります。そんな彼の行状を知った花嫁は結婚式の途中で逃亡、スルリはいつまで経っても嫁をもらえません。そんな時、イギリスに住む大物ギャングのピーター(ジェームズ・コスモ)から声がかかり、スルリはロンドンにやって来ます。ピーターの依頼は、ロンドンでのさばっているタミル系のギャングのボス、シヴダスを始末すること。シヴダスは多くの手下を引き連れ、武器の密輸をして稼いでいました。スルリはうまくシヴダスを誘い出し、彼の裏をかいて、ピーターと2人でシヴダスを亡き者にします。その見返りに、高額の報酬と共にある小路一帯をピーターから任されたスルリは、そこを「リトル・マドゥライ」と名付け、母親も呼び寄せてインド料理のレストラン経営を始めます。さらにスルリには、クラブで歌っていたアティラ(アイシュワリヤー・レクシュミ)というタミル人の恋人もできました。アティラはスリランカに住んでいたタミル人で、難民としてロンドンにやってきたのでした。しかしやがてスルリは、物事にはすべて裏があることを知るのです...。

難民問題、移民問題、人種差別主義者等の社会問題を盛り込みつつ、ギャングたちの抗争と知恵比べを見せていくのですが、後出しジャンケン的な展開もあり、脚本も担当したカールティク・スッバラージ監督の手腕が今回はいまいち冴えません。ダヌシュのダンスもたっぷり見られるものの、このキャラはあまり感情移入できず、従ってクライマックスの闘いも「よっしゃ! スルリ、行けっ!」とならないのが残念でした。しかし、あれだけ躊躇なく殺しまくっておいて、最後のソレは何なのよ? というラストもマイナス★1つ。ヤシの実爆弾という面白いアイテムも出てくるので、もっと効果的に使えばユニークなギャング映画になったのに。

Aishwarya Lekshmi SIIMA.jpg

そんな中で魅力的だったのは、ロンドンでスルリが一目惚れする歌手役のアイシュワリヤー・レクシュミ(上写真)。『アクション』ではヴィシャールの恋人役で、早々に死んでしまう役でしたが、『トリッキー・ワールド』ではスリランカのシーンから始まって、欧州ルートを辿ってロンドンにやってきた難民の女性として、成熟した魅力をたっぷり見せてくれました。ケーララ州出身で、2017年のデビュー後マラヤーラム語映画に数本出演、多くの賞を受賞しています。そして『アクション』『トリッキー・ワールド』とタミル語映画に2本出て、またマラヤーラム語映画の出演作が続くようです。今年30歳で、医学部で学び、インターンもやったりしていたのでデビューが遅かったようですね。さて、この先女優として大成するのか、それとも女医先生に戻ってしまうのか...。最後に予告編を付けておきます。

Jagame Thandhiram | Trailer | Dhanush, Aishwarya Lekshmi | Karthik Subbaraj | Netflix India

 

ヒンディー語映画だけでなく、タミル語映画も配信で公開、という作品がここのところ目立つようになってきて、ヨーギ・バーブ初の主演作『Mandela(マンデラ)』もネトフリで公開されることが決まっています。日本でもやってくれるでしょうか? そうそう、『トリッキー・ワールド』、字幕の固有名詞表記が全然引っかからないで安心して見られるな、と思っていたら、藤井美佳さんの字幕翻訳でした。ネトフリ様、GJ

 


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