アジア映画巡礼

アジア映画にのめり込んでン十年、まだまだ熱くアジア映画を語ります

ピーター・チャンとパン・ホーチョン

2012-03-28 | 香港映画

香港国際映画祭も始まってはや1週間。27日(火)は香港文化センターで大きなイベントが2つありました。今回はまた部屋でのネット接続がうまくいかなくなり、ホテルのロビーで書いているので、人名の表記が漢字だったりカタカナだったりしますがお許しを。

イベントの一つは、今回の映画祭で監督特集が組まれている陳可辛(ピーター・チャン)に関するロビー展示のオープニング・セレモニー。

展示されているのは、いろんなポスターや、

ピーター・チャンが獲得した様々なトロフィーなど。

『ラヴソング』の黎明(レオン・ライ)の衣装を着たマネキン(左)もいます。しかし、つるっぱげのもろマネキンというこれでは、あの映画の甘い思い出が壊れます...。例のごつい自転車も置いてあるので、雰囲気は出ているんですけどね。

そして、ロビーには『君さえいれば 金枝玉葉』などの出演者の大きな顔写真が。レスリーもいますよ~。ディスプレイ、ステキです。

記者やカメラマンがたくさん集まってますが、それも納得、監督以外のゲストも多士済々でした。まず、テディ・ロビンとピーター・チャンです。

 

続いて、阿丹こと鄭丹端(右端)と鄭中基(ドナルド・チェン)。

そして、お久しぶり~のレンレンことアニタ・ユン。『君さえれば』の時の少年っぽい姿からは、だいぶふっくらしてしまっています。あれから約20年だもんねー。カメラマンたちが盛んに、「レンレン、こっち~」「レンレン、次は真ん中見て~」と声をかけてバシバシ撮っていました。

最後に、奥様の呉君如(サンドラ・ン)とお嬢ちゃんとの全家福写真。お嬢ちゃん、ホントはお顔にモザイクかけないといけないんですが、ごめんなさいね。

その後のオープニング・セレモニーで挨拶するピーター・チャンです。

最後の記念写真には、ピーター・チャンのお父様も。ドナルド・チェンとピーターとの間にいらっしゃる白髪の方です。

今回の回顧上映に合わせてピーター・チャンに関する研究書も出版されたのですが、その中にやはり映画人だったこのお父様が文を寄せてらして、「”可辛”(辛=辛苦ですね)という名前にしたのは、妻が出産の時大変だったから」と書いてらっしゃいました。こういう場に呼んであげるというのは、最大の親孝行ですね。

続いてもう一つのイベント、パン・ホーチョン監督の最新作『低俗喜劇』(Vulgaria)(上写真)が上映されるにあたっての、監督・出演者勢揃いがありました。まず、ドナルド・チェンが最初に登場。

そして、そのほかの出演者たちが登場。右から、谷徳昭(ヴィンセント・コク)、周俊偉、葉山豪(3級映画『玉蒲団之極樂寶鑑』で有名になった日本人俳優)、往年のお色気女優邵音音、そして『少林サッカー』のティン・カイマンです。

やっと監督パン・ホーチョンが登場。続いて、主演のチャップマン・トー、それから彼の別れた奥さん役のクリスタル・ティンが登場して、一気にヒートアップ。

チャップマン・トーは今一番乗りに乗ってる俳優ですが、特にパン・ホーチョン作品ではいい演技を見せてくれます。

『低俗喜劇』は、香港らしい笑いをふんだんに盛り込んだ作品です。きわどいセリフや表現がてんこ盛りなので、3級映画=成人映画に指定されています。冒頭ではご丁寧に、「この映画には皆様を不快にさせる表現が盛り込まれています。お嫌な方はすぐ劇場を出て下さい」等々の注意書きが出現、ここから観客はもう大笑いです。

ストーリーは、映画プロデューサーである主人公(チャップマン・トー)が大学の教授(阿丹)に招かれ、大教室で学生相手に話をするところから始まります。プロデューサーがいかに大変な仕事か、ということを話すわけですが、のっけから卑猥な例をしゃべって大ひんしゅく。やがて、広西省のヤクザの親分(ドナルド・チェン)が出資してくれるというので出向いたら、ゲテモノ料理を食べさせられた上(もっとえげつないモノを喰わされるのですが)、昔の自分のセックス・シンボルだった女優邵音音(下写真中央)を出演させろと無理難題。もう60歳を過ぎた彼女を脱がせるわけにもいかず、顔は邵音音、体は別の若い女優というCG撮影をすることで、相手役には葉山豪を起用し(彼の名前が出たところで場内大・大爆笑)、何とか映画を撮り始めるのですが....。

私も広東語が普通の場合でも3割ぐらいしかわからないため、粗口(チョウハウ)と呼ばれる汚い言葉はほとんどわからなかったのですが、それでも随分楽しませてもらいました。上映終了後のQ&Aで普通話の話者らしい人から、「字幕ではやはりよくわからない」という意見が出ていましたが、そういう意味ではこの映画は”香港の”観客だけに向けて作られた作品と言えます。拠点は北京に移しても、心意気はやっぱり香港人、というパン・ホーチョン監督の香港人魂が炸裂したような作品でした。

*第36回香港国際映画祭のサイトより

 


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2 コメント

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Unknown (やっほー)
2012-04-05 21:33:25
パン監督、拠点を北京に移したというニュースを聞いたときは、ううむ・・と思いましたが、本作品でも香港人魂が炸裂とうかがい、嬉しいです。

監督の作品は、日本語字幕で見ないと、よくわからないのですが、香港版DVD買わなくては!と思いました。
楽しみです。

本当は香港の劇場で笑いが炸裂して、自分1人が置いていかれつつも楽しむ、と言うのが理想なんですが。
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やっほー様 (cinetama)
2012-04-05 22:55:09
コメント、ありがとうごさいました。

また記事でまとめようと思っていますが、パン・ホーチョン監督は今回の映画祭では”香港人のアイコン”という感じでした。”北京拠点”に関しては、ピーター・チャン監督展オープニングの挨拶でも映画祭協会の主席が、「北京に拠点を移していても...」と聞きようによっては皮肉とも取れる表現を挨拶に入れていましたので、香港の映画関係者も釈然としないようです。でも、香港人らしい映画を撮り続けてくれる限り、”我々の監督だ!”という強い支持を得られるのだ、ということが、今回のパン・ホーチョンの例でよくわかりました。

『低俗喜劇』のDVDが出たら、ぜひご覧になってみて下さい。日本版は....うむむ、字幕も難しいし(伏せ字続出)、このテーマ&描写では、日本での上映はムリでしょうねえ。
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