ご招待券をいただいて、宝塚歌劇星組公演「オーム・シャンティ・オーム -恋する輪廻-」を見に行ってきました。お手配下さったA社様、ありがとうございました。1階の、横の通路を背にした席で、しかも縦の通路側、というとても見やすくていいお席でした。自分用のメモとして、ちょっと舞台の流れを書いておきます。
「オーム・シャンティ・オーム ~恋する輪廻~」
プログラムを参照しながら、各場面と歌われた歌一覧、そして感想もちょっぴり書いてみました。歌の位置はメモと記憶で書いているのですが、一部間違っているかも知れません。ご指摘いただければ訂正致しますので、コメントをお寄せ下さい。
[第1幕]
<第1場>プロローグ
♫「オーム・シャンティ・オーム」
オーム(紅ゆずる)の陰アナから始まり、映画と同じく30年前のスタジオでの撮影シーンとなります。そのスター「リシさん」が、撮影しているガイ監督の息子、という設定なのがのちにわかります。「リシさん」はホントは「リシ・カプール」で、超有名監督&製作者&俳優ラージ・カプールの息子なんですが、今回の設定の方がスッキリしてわかりやすいですね。舞台の電飾や客席天井のミラーボールなど、さすがタカラヅカ、という演出で、振り付けも「ナマステ」の手ポーズなどを使ってあって、素敵です。 野火杏子さんのお名前が「インド舞踊指導」として出ていたので、野火先生の振り付けかも知れません。
<第2場>撮影所
♫「エキストラ・エトセトラ」~オリジナル曲
オームの親友、パップー(瀬央ゆりあ)は、映画の設定「大部屋俳優」から「脚本家見習い」に昇格。女優たちが出てくるのですが、頭の花飾りがハワイアンぽくってちょっと残念。インド式の、まげの周りにジャスミンの花、とかだといいのに。
<第3場>マキージャー家
映画でもおなじみ、お母さんのベラ(美稀千種)が叫ぶ「ナヒーン!(ダメよ)」のセリフから始まります。亡き父親の写真には、ちゃんと故人に捧げる花輪もかけてあって、芸が細かいです。このお母さん、スグレモノのコメディリリーフで、特に第2幕で大いに笑わせてくれます。
<第4場>公園
映画では公園ではなく、どこかの駅前広場という感じなのですが、公園でもOKですね。看板がいっぱい出てくるのですが、中に書いてあるヒンディー語の文字が一部「なんちゃってヒンディー語」になっていて残念です。「シガレット」やサイババの絵姿をバックに使った「バーラト・キー・アーザーディー(インドの独立)」は正しく書かれているのですが、読めない綴りもいくつかありました。再演の時、直して下さらないかしら。
<第5場>試写会会場の前
♫「不思議な気持ち」Ajab Si
オームとパップーは舞台下から登場。こんな演出もあるんですね。オームが着ているジャケットは、映画の衣裳とよく似たものが選んであります。「アジャブ(不思議な)・シー(~のような)」の歌のところにあった、オームの袖にシャンティ(綺咲愛里)のベールがひっかかるシーンも、上手に再現されていました。
<第6場>「ドリーミー・ガール」
♫「ドゥン・タナ」Dhoom Tana
♫「ドゥン・タナ 心が弾む/ドゥン・タナ 素敵な気分/ドゥン・タナ この夜」という歌詞になっているのですが、ちょっと歌いにくそうで、聞いていても歌詞がはっきり聞こえませんでした。この歌だけでなく、映画の曲をそのまま使ったものは、歌詞をもっと大胆に、音の高低と日本語の高低アクセントとが合ったものへと変更なさった方が、歌いやすく聞きやすいのでは、と思いました。このシーンの振り付けは、映画と同じ”千手観音”あり、日本舞踊かと見まごう傘使いありと、楽しめます。衣裳もインドの布地がふんだんに使ってあって、どこのサリー屋さんで調達を?とか考えてしまいました。
<第7場>路上(夜)
例の「一筋の紅粉(シンドゥール)」のセリフを言うシーンですね。映画を忠実になぞってあります。
<第8場>ロケ現場
ここの、シャンティを炎が囲むシーンは、舞台なのに迫力満点に表現されていて脱帽。それに先立つオームとパップーのやり取りでは、「火事だ、逃げろ」というセリフはパップーが書いたことになっていました。やけどをしたオームのセリフ、「背中、熱い...」の「熱い」のアクセントが関西アクセントで、「紅ゆずるさんて、関西の人なんや~」と親近感が。
<第9場>楽屋
やけどをしたオームを、シャンティがお見舞いに訪れるシーン。極度の興奮でオームの声が出なくて口パクパク、「友情に”ごめん”と”ありがとう”は...」等々、かなり映画に忠実です。
<第10場>撮影所(スタジオ)
♫「もし例えるなら」Main Agar Kahoon
「マイン(僕が)・アガル(もしも)・カフーン(言うとしたら)」の歌のシーン、いろいろ工夫がこらしてありました。自動車に乗ってスクリーン・プロセス、というシーンも使われていましたが、映画ほどには効果が見えず、といったところ。
<第11場>撮影所(事務所)
ムケーシュ(礼真琴)を問い詰めるシャンティ、というシーン。映画ではシャンティの撮影所での控え室でしたが、ムケーシュの事務所になっています。オームは扉の外で聞いていた、という演出で、シャンティが<第10場>で撮影所に忘れたベールを届けに来る、という設定が新解釈。
<第12場>撮影所~公園
♫「空虚な場所で」Jab Soona Soona Lage
衝撃の事実を知ったオームが、呆然とさまようシーン。 「ジャブ(~の時)・スーナー(空虚な)・スーナー・ラゲー(感じた)」
<第13場>「オーム・シャンティ・オーム」のセット
火事の場面は赤い紗の布を舞台に配し、煙も出現。ここでシャンティを殺そうとするムケーシュが「撮影所の下働きから這い上がった」と言うんですが、日本の感覚だとアリでも、インドではまずあり得ない設定です。でも日本人観客には、こういう言い方の方がムケーシュの執念がわかっていいのかも知れませんね。
[休憩]25分~事前に読んだ宝塚のガイド本(いろいろ勉強して行ったんですよ~~~)に、「休憩は30分あるので、トイレタイムも十分」とあったのですが、やっぱりトイレはチョー長蛇の列となりました。小さい方の男子トイレを女子トイレに変更する、というような配慮もされていたものの、もともと男子トイレは個室が少ないので焼け石に水。でも、どうにか皆さん第2幕に間に合ったようです。
[第2幕]
<第1場A>撮影所
あれから30年、オーム(紅ゆずる二役)は大スター。マネージャーのアンワルが白髪のキャラになっていてびっくり。ここで、ガイ監督とリシさんの父子関係がハッキリわかりました。オームが三重苦の役をオファーされる、というような設定も生かされていて、映画からの取捨選択が実に巧みです。
<第1場B>Dard-E-Disco
♫「Dard-E-Disco」
「ダルド(痛み)・エ(~の=英語のof)・ディスコ」の歌のシーンです。そうそう、この歌を初めとする歌のシーンは、バラードでない限り客席から手拍子が出ていました。
<第2場>撮影所(事務所)
秘書のアンワルから、撮影所にまつわる因縁を聞くシーン。アンワルに対して、「体温計を鼻の穴に詰め込んでろ」とオームが言うセリフが生かされていたのですが、このセリフ、実は字幕を付けていて一番納得できなかったセリフなんですね。いびってる、という風でもないし。ここが使われていて驚きました。
<第3場>クラブ
このシーンでも歌が歌われていた記憶があるんですが、該当する歌がない...。
<第4場>ラージェシュ家の一角
オームの父親で、かつての大スターラージェシュとのやり取り。
<第5場>フィルムフェア授賞式
映画で登場したアビシェーク・バッチャン、アクシャイ・クマールに加え、何と!もう1人超大物が登場。『インド・オブ・ザ・デッド』のキャッチコピーみたいなタイトルの映画でノミネートされます(と書くと、みなさんきっとおわかりですね)。
♫「母の心」~オリジナル曲(確か、ここで使われていたような..。それとも、次の場だったかしら?.)
<第6場>公園
♫「Deewanagi Deewanagi」
オームが出演した広告がいろいろ貼ってあります。ここの広告のヒンディー語は、「インタルネット(インターネット)」や「スマルトフォーン(スマートフォン)」等々、まずまず正しい綴りです。オームが記憶を取り戻したので、パップーが「今日がお前の本当の誕生日だ」と言って、「ディーワーナギー(熱狂)・ディーワーナギー」の歌が始まります。舞台の皆さんが客席に降りてきて、通路で踊ってくれ、客席も、座ったままですが一緒に手を振って「♪オーム・シャンティ・オーム~」。手のひらタッチもしてもらいましたし、手の振り方がよかったのか、指さして「いいね」のポーズもしてもらいました、ふふふ。マサラ上映で何度かやりましたからねー。そして、サンディ(綺咲愛里二役)も登場。
<第7場>レストラン
オームとムケーシュがレストランで打ち合わせ。 ムケーシュがアメリカに戻るというので、オームがあせります。
<第8場>撮影所(スタジオ)
演技力ゼロのサンディを、よってたかって特訓するシーン。
<第9場>撮影所(屋外・夜)
♫「My Shining Star」~オリジナル
オームがサンディを説得。二人のデュエットがとても素敵。
<第10場>ムケーシュの事務所
♫「バラ色の人生」~オリジナル
ムケーシュが自分の影を従えて歌い踊るシーン。確か、この歌ですよね...。背広姿の男たち=影の群舞が迫力あります。
<第11場>「オーム・シャンティ・オーム」
♫「マスカレード」Dastaan-E-Om Shanti Om
クライマックス。ちょっと映画と変えてありますが、こちらも迫力満点。「ダースターン(物語)・エ(~の=英語のof)・オーム・シャンティ・オーム」で、たっぷり歌語りを聞かせてくれます。シャンデリアも落ちます(音だけですが)。
<第12場>フィナーレ
「♪オーム・シャンティ・オーム、シャンティ・シャンティ・オーム...」の歌詞をちょっと変えて、グランド・フィナーレとなります。豪華で
粋な終わり方でした。
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元の映画とつい比較してしまいがちな私でしたが、1.脚本が巧み、2.演出が巧み、3.主演の紅ゆずるの歌よし、口跡よし、演技も及第点の魅力、等々で、とっても楽しめました。
プログラムには上のような広告が出ていたのですが、関西での再演が決まったそうなのに、このDVDは予定通り出るのでしょうか? DVDが出たらもう一度じっくり見て、歌の確認などをしてみたいと思います。これからご覧になる皆様方、たっぷりと楽しんできて下さいね!
<追記>現在発売されている宝塚の雑誌「歌劇」1月号には、「オーム・シャンティ・オーム」の背景に関する解説記事がP.164から4ページにわたって出ているのですが、そこに私も登場しています。公演のショップや、あるいは本屋さんで見てみて下さいね。
<もひとつ追記>昨日掲載誌が送られてきてよく見たら(上のページ数は実は劇場のショップで立ち見したのでした、スミマセン)、P.126~129には、脚本・演出の小柳奈穂子、主演の紅ゆずる、綺咲愛里の、「オーム・シャンティ・オーム」に関する鼎談が出ていました。紅ゆずる「前に流行った『ムトゥ 踊るマハラジャ』のDVDも持っています」という発言があったりして、インド映画ファンなら心躍ります。こちらもぜひ読んで下さいませ~~~。
宝塚ファンの方が見て下さって、嬉しいです。
お衣裳に関する情報もありがとうございます。
私もどこかで「衣裳はインドで買い付けた」というのを読んだので、舞台を注視していたのですが、とても上質なサリー等を使ってあったため、どこのサリー屋さんかな、カラーニケターンか、それともルーパムかしら、と思ったわけなのでした。
北インドのテイストだったので、ナッリとかじゃないですよね...。
インドはこういう風に、サリー屋さんも有名どころがいろいろあって、すごい数のサリーを取りそろえています。
今回は、映画の衣裳も意識しながら作ってあるようなので、お求めになるのもご苦労が多かったのでは、とお察しします。
紅ゆずるさんは、今回の公演がトップとなられた後の初公演とか。
お披露目公演の前、プレ公演となるそうですが、歌声の響きの良さと、台詞回しの口跡のよさには感服しました。
応援なさっているファンの方も、誇らしいことでしょうね。
また何か、本文中でご教示いただけることがありましたら、コメントをお寄せ下さいませ。
新潟のMaymayです。
先日(7日)私も宝塚版「オーム・シャンティ・オーム」に駆けつけました。
プロローグから映画版に沿った忠実な作りで大変驚きました。
そして今cinetamaさんの詳細なレポートに改めて感動に浸っております。
お衣裳はインドまで買い付けたとか。素晴らしかったですものね。宝塚の本気度にインド映画ファンとして頭が下がる思いです。
夢に見たインドと宝塚のコラボ、これからも続くと楽しいですね。
FILMeXでもお目にかかれず残念です(私が早起きできなかった...)。
「オーム・シャンティ・オーム」もわざわざ見にいらしたのですね。
私も、宝塚の本気度というか、映画を脚色する手腕に舌を巻きました。
このほかに、宝塚版ができそうなインド映画って何かしら?
思いつかれたら、皆様コメントを下さいませ。