アジア映画巡礼

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『きっと、またあえる』のコレに注目!<8>あと2人のキャラ紹介

2020-06-15 | インド映画

『きっと、またあえる』の公開まであと2ヶ月余り。今日はご紹介が遅れていた2人、「へべれけ」(サハルシュ・クマール・シュクラ)と、アニことアニルッド(スシャント・シン・ラージプート)とマヤ(シュラッダー・カプール)の息子ラーガヴ(ムハンマド・サマド)について書いておこうと思います。

最初は、どう見ても大学生には見えない「へべれけ」からですが、彼は留年を重ねているらしく、寮生活も誰よりも長くて、アニからは「寮の魂」と言われる始末。日本でも、昭和の時代まではこういう留年を繰り返して寮に住み着いている上級生がいて、「寮の主(ぬし)」などと呼ばれていました。あだ名である「へべれけ」は「Bevda/ベーウダー(酔っ払った、酒浸りの)」という俗語の訳で、部屋には専門書の数より酒瓶の数の方が多いというおじさん学生です。でも、チェスがめっぽう強く、その実力でGC(ゼネラル・チャンピオンシップ)での勝率アップに貢献しますが、このシーンはちょっとした見せ場になっていますのでお楽しみに。

演じているのは、サハルシュ・クマール・シュクラという俳優で、年齢等が公表されていませんが、意外に若いのでは、と思われます。ウッタル・プラデーシュ州の出身で、ラクナウ大学を出たあとプネーにある国立映画研究所に入り、演技コースを修了しています。劇映画初出演が2010年の『Knock Out(ノックアウト)』なので、この頃20代半ばだったのではないでしょうか。その後、『Highway(ハイウェイ)』(2014)、『ライース』(2017)、『マントー』(2018)、『あなたの名前を呼べたなら』(2018)、『フォトグラフ』(2019)など、いい作品に続けて出演しているのですが、いずれも端役なので、あまり印象に残っていません。『あなたの名前を呼べたなら』はDVDが手元にあるので確認したところ、かつての婚約者の運転手で、主人公たちの家に不要なプレゼントを運んでくる役でした。『きっと、またあえる』ではなかなかいい味を出していましたので、注目を集めるようになって、脇役としての出演が増えていくのではないかと思います。

もう一人、ぜひ紹介しておきたいのが、アニとマヤの息子ラーガヴ役のムハンマド・サマド。2000年の5月7日生まれなので、先日20歳になったばかりです。本作出演時は17歳か18歳だったのでは、と思うので、大学受験生という役柄そのままの年ですね。とってもいい子で、かわいいイケメンです。ラーガヴともう一人の友人が出てくる場面では、老け役メイクをしているアニらが本物の中年に見えてしまうのですから、若さは恐ろしいです。2008年にナンディター・ダースの初めての監督作『Firaaq(別離)』で、サブ主人公とも言える少年を演じて注目されました。貧しいイスラーム教徒の少年役でしたが、とってもかわいかったうえ、ディープティー・ナヴァルやナワーズッディーン・シッディーキーら芸達者な大人たち相手に堂々たる演技を見せてくれて、印象に残っています。そして、10年後の2018年に出演した『トゥンバード』は、ホラー映画としてその凝った作りが評価され、2019年の京都ヒストリカ映画祭でも上映されました。

『トゥンバード』でもムハンマド・サマドはまだ「子役」という感じでしたが、『きっと、またあえる』ではすっかり大人っぽくなって、将来が楽しみな俳優に成長した姿が見られます。正直言うとちょっと気の毒な役でしたが、でも最後には立ち直り、さわやかにラストを締めくくってくれます。そうそう、ムハンマド・サマドの出身地はウッタラーカンド州のルールキーという所で、家は雑貨屋さんなのだとか。二世スターではない、しかもスィートな二枚目俳優として、これからの活躍を大いに期待していましょう。

『きっと、またあえる』の公式サイトはこちらで、久しぶりなので予告編を付けておきます。

映画『きっと、またあえる』予告編

<訃報>

すでに、こちらのニュースなどでご存じかと思いますが、本作の主人公を演じたスシャント・シン・ラージプートが、昨日6月13日(日)に死去しました。遺書はなかったのですが、縊死による自殺と見られています。本日激しい雨の中、自宅のあるバンドラに近いヴィレ・パールレの葬儀場で火葬に付され、シュラッダー・カプールやヴァルン・シャルマら本作の出演者を中心に映画界の人々が参列しました。彼のこれまでの仕事を称え、ご冥福を祈ります。

<画像クレジット>

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