アジア映画巡礼

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初春に登場ユ・スンホ『キム・ソンダル 大河を売った詐欺師たち』

2017-01-19 | 韓国映画

今年も超大作の公開@日本が目白押しの韓国映画。昨年末にこちらでご紹介した『アシュラ』のように、お腹にズン!とくる作品が何本も控えているのですが、今日は初春にふさわしい軽やかな作品をご紹介しようと思います。大人になったユ・スンホの魅力がいっぱいの、『キム・ソンダル 大河を売った詐欺師たち』です。明日から公開の本作、まずは基本データからどうぞ。

 

『キム・ソンダル 大河を売った詐欺師たち』 公式サイト

2016年/韓国/121分/原題:봉이 김선달
 監督:パク・デミン
 主演:ユ・スンホ、チョ・ジェヒョン、コ・チャンソク、ラ・ミラン、シウミン (EXO)

1月20日(金)よりTOHOシネマズシャンテ、TOHOシネマズ新宿ほか全国順次ロードショー


©2016 CJ E&M Corporation, All Rights Reserved

主人公は、本名をキム・イノンといい、のちにキム・ソンダル(=先達)という名乗りを王から許される青年(ユ・スンホ)です。ややこしいので「キム・ソンダル」で通しますが、朝鮮王朝時代の人として説話の中に登場する、伝説の詐欺師なのだとか。彼の若き日の武勇伝が、本作『キム・ソンダル 大河を売った詐欺師たち』です。

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物語は17世紀、中国の清が李氏朝鮮王朝を制圧した丙子胡乱(丙子の乱、丙子の役とも)の戦場から始まります。多くの朝鮮民間人が殺された戦場で、死体のふりをして生き残ったのは、イケメン青年キム・ソンダル(ユ・スンホ)、お腹の出た中年男ポウォン(コ・チャンソク)、そして純真な若者キョン(シウミン)でした。意気投合した3人は、これからの人生はオマケだぁ~とばかり、おもしろおかしく生きることを決意します。そんな3人が手を染めたのは、騙しのテクニックを駆使する詐欺。数年後、この3人とポウォンのお相手の中年女性ユン菩薩(ラ・ミラン)を加えた一味は、朝鮮中に名を馳せる詐欺軍団となっていたのでした。


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中でもキム・ソンダルの活躍ぶりはまさに八面六臂。ある時は官吏に化けて王宮に忍び込み、あろうことか王様のコスプレまでして王宮の金をいただいたり、またある時は美しい妓生(キーセン)に化けて金持ちをたらし込む、といった具合に、その腕はますます冴え渡ります。ただの鶏を金色に塗って、「これぞ鳳凰でございますぅ~」と身分の高い金持ちを欺した時には、あまりにも見事な手腕に「鳳伊(ポンイ)」というあだ名が付けられたほど。そんなキム・ソンダルが次に目を付けたのは、清への献上品にもなっている煙草の売買。しかしそんな彼らの前に立ちはだかった壁は、権力者ソン・デリョン(チョ・ジェヒョン)でした...。

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この、ソン・デリョンとの闘いが、物語のクライマックスとなります。そして、キム・ソンダルが「大河を売った詐欺師」となるまでがハラハラドキドキも盛り込んで描かれていくのですが、大河こと大同江(テドンガン)を売るとはどういうことか、と韓国や朝鮮に詳しい方は「???」状態になるに違いありません。大同江は、現在は北朝鮮の領内となっていて、平壌(ピョンヤン)を流れている川として有名ですが、その河にある仕掛けをほどこして、大物ソン・デリョンをまんまと欺してしまうのです。まあ、その仕掛けが単純すぎたり、いくら上流とは言え、この小川が大同江とは、とこちらも詐欺に遭ったような気分にもなるのですが、堂々たるユ・スンホの詐欺師ぶりには目を奪われます。かのキム・ギドク作品の男性版ミューズだった名優チョ・ジェヒョンに対し、ユ・スンホが一歩も引かない演技を見せてくれるこのクライマックスは見ものです。

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そのほかにも、キム・ソンダルと妓生キュヨン(ソ・イェジ)の恋あり、相棒ポウォンやユン菩薩、弟分キョンとのコミカルな掛け合いあり、追いかけっこ等々のアクションありと、楽しめる要素が盛りだくさん。何よりも、『おばあちゃんの家』(2002)や『マウミ・・・』(2006)のあのかわいいユ・スンホがこんなに大きくなって、という、うちの息子、うちの孫的感覚で全編を楽しむことができるのが至福と言えるでしょう。ちょっと難を言えば、そのりりしい眉で女装はムリがあるのでは、なんですが、ユ・スンホ、『朝鮮魔術師』(2015)以上に『キム・ソンダル』では大人の顔と演技を見せてくれて、将来がさらに楽しみになりました。

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そして、K-POPにうとい私は今回初めて顔を見たのですが、EXOというアイドル・グループ(アイドルと言っても実力も相当なもので、本日発表された第26回ソウル歌謡大賞では、4年連続で「大賞」を受賞しました)の1員シウミンのかわいいこと! このグループ、メンバーが全員美形なのですが、中でもシウミンはまるでお人形のような超美形。その顔に時代劇の衣裳がよく似合って、いっそこのなりで雛人形でも作ってしまったら、と思ってしまいました。『キム・ソンダル』では、ソンダルを慕って自分も一人前の詐欺師になろうとする弟分キョンを演じるのですが、実際の年齢が1990年生まれの26歳とは信じられません。どう見ても、1993年生まれのユ・スンホの方が兄貴に見えます。今回が映画デビュー作なので、演技はまだまだですが、大変な演技を要求されるシーンもあり、がんばっています。さて、韓国映画を担う存在になってくれるでしょうか?

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予告編を付けておきます。ぜひ劇場でご覧になって、寒さを吹き飛ばして下さいね!

EXO シウミン出演映画「キム・ソンダル」ティーザー予告 [日本語字幕]

 

 



 


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2 コメント

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こんにちは (うめちゃん)
2017-01-21 12:14:53
オーム・シャンティ・オームも楽しく観劇されたようで良かったです(笑)
関西でも再演されますが、ムケーシュは礼さんではないので見ないと思います(汗)
シウミンを可愛いと言って頂き嬉しかったのでコメント致しました。相当なおばさんですがEXO、そしてシウミンのファンです。
中国映画で大活躍のルハンも元EXOですね。
シウミンとルハンは仲が良かったです。
これからも楽しみです。
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うめちゃん様 (cinetama)
2017-01-21 23:22:08
コメント、ありがとうございました。

宝塚の「オーム・シャンティ・オーム」、お陰様で見ることができました。
でも、続いて、昨日ブログにアップしたようなことがあったりと、なかなかにトラブってくれます。
再演情報も今「ニュース」から消えていますし、やっぱりこれはシャンティの霊魂が...(ウソです)。

シウミン、この韓服姿はすごくかわいかったです。
『怪カノ』中国版に出ていたルハン(鹿哈-ホントは日偏-)も元EXOなんですか。
花美男製造所みたいですね、EXO。
シウミンの役はちょっと途中で「!」になるんですが、それを差し引いてもこの作品はオススメです!

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