本日はわけあって家にいられなかったため、韓国映画の力作2本を一気見してきました。ハ・ジョンウ&イム・シワン主演の『ボストン1947』(2023)と、ファン・ジョンミン&チョン・ウソン主演の『ソウルの春』(2023)です。1月にこちらでご紹介したように、『ソウルの春』は昨年の韓国映画興収第1位の作品です。『ボストン1947』はあと一歩でトップ10には入らなかったようですが、こちらも見応えたっぷりの作品でした。ちょっとだけですが、両作品のデータとご紹介を書いておきます。
『ボストン1947』 公式サイト
2023年/韓国/韓国語/108分/字幕:根本理恵/原題:1947 보스톤
監督:カン・ジェギュ
出演:ハ・ジョンウ、イム・シワン、ペ・ソンウ、キム・サンホ、パク・ウンビン
配給:ショウゲート
お話の始まりは、1936年のベルリン・オリンピック。当時日韓併合で日本領となっていた朝鮮半島からマラソン競技に出場したソン・ギジョン(ハ・ジョンウ)は、1位となって金メダルをとったものの、名前は孫基禎(ソン・キテイ)と日本読みされ、揚がる国旗も日の丸となり、屈辱を味わいます。表彰台で胸に付いた日章旗を月桂樹の葉で隠したことが問題視されて、ギジョンはマラソン競技から引退を余儀なくされます。ソウルに戻ったあとは、日本の統治から解放されても、くさる心を酒でまぎらわすしかないギジョン。一方、ベルリンで3位の銅メダルとなった先輩のナム・スンニョン(ペ・ソンウ)は後輩のランナーたちを厳しく指導し、次世代のマラソン選手を生み出そうとしていました。そんな時、彼らは貧しい母子家庭の息子ながら、ランナーの資質を備えたソ・ユンボク(イム・シワン)と出会います。1947年にボストン・マラソンがあると知ったスンニョンは、ユンボクをボストン・マラソンに出そうとし、ギジョンに監督となるよう要請します。しかし、ボストン・マラソンに出場するためには,数多くのハードルが待っていました。韓国は日本から解放されたとはいえ、アメリカ軍政府下にあり、独立国とは認められなかったのです...。
映画『ボストン1947』予告編90秒【8月30日全国ロードショー】
定石通りの感動物語ね、とか思って、ふんふんと楽しんでいたのですが、終盤のマラソンシーンでやはりやられました。イム・シワンが本物のアスリートに見えて(いや、体つきといい、走り方といい、すごいんです)、目にはじわ~と涙が。あと、一途にマラソンに賭ける先輩スンニョン役のペ・ソンウがとてもよかったです。エンドロールで、実在の彼らの写真と生没年が出てきたところでまた涙...。マラソンを通じて、戦中戦後の朝鮮半島史を解説してもらった感じでした。メイキング映像もありましたので、付けておきます。イム・シワン、すてきです...♡
映画『ボストン1947』メイキング映像【8月30日全国ロードショー】
『ソウルの春』
2023年/韓国/韓国語/142分/字幕:福留友子/原題:서울의 봄
監督:キム・ソンス
出演:ファン・ジョンミン、チョン・ウソン、イ・ソンミン、パク・ヘジュン、キム・ソンギュン
配給:クロックワークス
(公式サイトからお借りしました)
こちらは、1979年に韓国のパク・チョンヒ(朴正煕)大統領暗殺事件が起きたあと、同年12月12日に軍事クーデターを起こして政権の座に着いた全斗煥(チョン・ドゥファン)大統領(役名チョン・ドゥグァン/ファン・ジョンミン)と、彼と対立した張泰[王元](チャン・テワン)首都警備司令官(役名イ・テシン/チョン・ウソン)ならびに鄭昇和(チョン・スンファ)陸軍参謀総長(役名チョン・サンホ/イ・ソンミン)との闘いを描きます。あの軍事クーデターはどうもその後「闇から闇へ」だったらしく、詳しい資料も残っていないようなんですが、様々な断片をつなぎ合わせ、想像も膨らませて描かれた超力作です。メーキャップで全斗煥そっくりになったファン・ジョンミンを筆頭に、出演者全員があの時の亡霊にとりつかれたかのような人物像を描き出し、大迫力の作品となりました。クーデターがひっくり返るか返らないかの攻防は、文字通り手に汗を握らされ、あまり韓国史に詳しくない私でさえこうだったので、韓国国民はもう胸がつぶれそうなぐらいの緊張で見ていたのでは、と思います。見ながら私は、中世ならまだしも、現代にこんなことがあったとは、と信じられない思いでした。現代史に関心のある方は、ぜひ見ておいて下さい。予告編を付けておきます。
8月23日(金)公開『ソウルの春』|本予告
何だか興奮で、今夜は眠れそうにありません。夢の中に「髪の毛が少なくなってね」と言うファン・ジョンミンが出てきそうです....。
このブログはコメントを寄せて下さる方があまりいらっしゃらないので、とても嬉しいです。
『ソウルの春』のメイキング秘話、ありがとうございます。
カツラのおかげで、全斗煥にそっくりでしたね、ファン・ジョンミン。
「髪の毛が少なくなってね」は劇中のチョン・ドゥグァンが言ったセリフですが、クーデターもかなり進行した時のセリフだったので、「こんなとこで笑いを取ってどうする」と思ったんですが、そう思われませんでしたか?
久々に韓国映画を続けて見たのですが(少し前に時代劇『ノリャンー死の海ー』も鑑賞)、インド映画とはまた違った面白さが充満していて、満足しました。