ネトフリついでに、韓国映画『Officer Black Belt』も見てしまいました。日本語タイトルは『武道実務官』で、受刑者が刑期を終えて出所したあと、性犯罪などの再犯が多い前科のある人には、居場所確認のために信号を発する足輪を付けて貰って保護観察官が監視するのですが、その監察官と組んで見守りと取り締まりを担当する武道の達人が「武道実務官」なのだとか。剣道、柔道、テコンドーのいずれかが三段以上の有段者、というのが条件で、映画では主人公のジョンド(キム・ウビン)はこの三種武道がいずれも三段、合計九段の実力の持ち主、という設定になっています。まずは映画のデータからどうぞ。
『Officer Black Belt/武道実務官』
2024年/韓国/韓国語/104分/原題:무도실무관
監督:キム・ジュファン
主演:キム・ウビン、キム・ソンギュン
※2024年9月13日よりNetflixで配信、日本語字幕付き
イ・ジョンド(キム・ウビン)は、武道とeスポーツの好きな青年。武道は、柔道、剣道、テコンドーいずれも三段で負け知らず。一方eスポーツの方は3人の仲間がいて、4人は集まってはオンラインゲームに明け暮れています。ジョンドは父のフライドチキン屋の配達を担当しており、ゲームの合間に配達を担当するせわしない生活を送っています。そんなある晩、配達の帰りのジョンドは、暗い路地で2人の男が争っているのを見つけました。制服のようなものを着ている男性が刺されたので、ジョンドは助けに入り、相手の男を叩きのめしますが、その足には黒い足輪が付いていました。救った男性は武道実務官で、ジョンドには後日感謝状が贈られますが、その時事務所のキム・ソンミン係長(キム・ソンギュン)から、刺されて入院中の武道実務官に代わり、彼が回復するまで臨時の武道実務官を引き受けてもらえないか、と言われます。こうしてジョンドは初めて、出所した前科のある人をしばらくの間見守る部署があることを知りました。足輪からの信号で居場所がわかるようになっているのですが、それは再犯を防ぐためで、特に性犯罪などは出所しても再び誘惑に負けることが多く、それを未然に防ぐために係官と武道実務官が連携して彼らを見守っているのでした。こうしてジョンドは、臨時の武道実務官として勤務することになりますが...。
最初、「おお、久しぶりのキム・ウビン!」とか思って見始めたのですが、これがなかなか面白く、最後までずーっと引っ張って行かれました。魅力の第一はキム・ウビンのキャラクターで、真面目ながら若者らしい脳天気さにも溢れていて、とっても魅力的な主人公キャラクターです。そして第二には、主人公ジョンドの受け手となる係長のキャラがまたうまく作ってあり、つい先日『ソウルの春』(2023)でもいい役をやっていたキム・ソンギュンが、柔軟性のある特殊な公務員役を見事に演じてくれています。彼らが監視する出所者たちが、まったく更生していない男性ばかり、というのが苦い味を味わわせてくれますが、それはドラマを成立させるためには仕方ないですね。中でも最後に登場する児童レイプ犯の男は、ガタイが異様に大きく、こんな役者いたのか、という感じでしたが、逃亡した彼を捕まえるシーンは過激なアクション・シーンとなっており、警察でもないのにそこまでやるの? という感じがなきにしもあらず。ちょっと見せ場を作りすぎの感がありました。そんな不満点もありますが、ラストはもちろん途中でも涙腺がゆるむシーンがあり、ネトフリ作品としては上出来と言っていいと思います。ジョンドのゲーム仲間3人や、ジョンドの父に叔母(伯母?)さん等のキャラも印象に残り、特にゲーム仲間の1人でドローンを駆使するぽっちゃり君は魅力的。私立探偵顔負けでしたね。
ところでキム・ウビンですが、韓国映画ファンの方ならご承知のように1989年7月16日生まれで、35歳になったばかり。『チング 永遠の絆』(2013)で頭角を現し、『マスター/MASTER』(2016)では先輩の大スターたちに混じって堂々たる演技を見せ、将来が嘱望されていました。ところが、2017年5月に鼻咽頭ガンであることがわかり、その後治療に専念。投薬と放射線治療を行い2020年から仕事に復帰、2022年のテレビドラマ『私たちのブルース』と映画『宇宙+人』で本格復帰を印象づけたのでした。『私たちのブルース』もNetflixで見られます。イ・ビョンホンやチャ・スウォンが出演しているドラマで、見始めると最後まで見てしまいそうなため、しばらくの間は封印しておこうと思います。シン・ミナとの交際もまだ続いているのだと思いますが、幸せになってほしいキム・ウビンです。最後に、『武道実務官』の予告編を付けておきますね。
Officer Black Belt | Official Trailer | Netflix [ENG SUB]