しーさるの鉄日記

しなの鉄道、新型車両導入へ



しなの鉄道は、5月31日の取締役会において、新型車両2両×26編成を導入、現有の115系21編成56両を置き換えることを発表した。

新型車両は、総合車両製作所が製造するsustinaモデル、軽量ステンレス鋼構造の2両編成とする。制御装置はVVVF、台車は空気ばねとし乗り心地を向上、車いす対応洋式便所と車いすスペースを軽井沢寄り車両後方につけることでバリアフリーに対応させる。車種は、クロスとロングが切り替え可能なライナー用車両と、セミクロスシートの一般車両の2種類、1編成2両当たりの定員数はライナー用で228名、一般用で270名、座席数はそれぞれ80名、100名となる。

車両更新に伴う総事業費は110億、車両購入費106億のうち、1/3を国が、1/3をしなの鉄道が、残りを県と市町が1/6ずつ負担する。車両付帯設備3億8千万については、全額しなの鉄道の負担とする。毎年の補助金額や利用状況により、車両数や更新年数を必要に応じて見直す。

今年度に仕様を打ち合わせ、補助金交付後発注、2020年3月に納車して、7月ぐらいからの営業運転を開始する。初年度はライナー用2両×3編成を導入、有料ライナーを現状の朝夜に加え、土休日にも観光用で走らせる予定である。更新期間は2026年度までの8年間を予定している。

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1997年の3セク転換以来、国鉄→JR東日本のお古の115系だけを走らせてきたしなの鉄道、設立から20年以上経ってようやく新型車両を投入することになった。169系が引退した頃に、東京メトロ5000のを譲渡するという計画もあったけど、ランニングコストの面から譲渡でなく新造となった。1月の新聞報道では、2019年秋の導入となっていたが、補助金の兼ね合いなのか1年近く延びてしまった。E129系ベースで52両製造というのは、この時の報道通り、Wi-Fi対応については今回のリリースでは掲載されてない。Wi-Fiも含めた細かい仕様は年度内に打ち合わせということになるけど、ライナー用には電源コンセントを設置してほしいところだ。

リリースにはE129系をベースにしたという記載はないが、イメージ図と、総合車両製作所のsustinaというところからE129系ベースなのは確実だ。一般車の座席数は100名とE129系2両と同じだが、定員数は3名少ない。トイレを大きめに確保させて、立ち席面積が少なくなっているのだろうか。

ライナー用は、クロスとロングに切り替え可能なデュアルシートになっている。扉間に5列のシートを配置、座席数はトイレ付き軽井沢方38名、トイレ無し妙高高原方42名となっている。京王5000とトイレ無しを比較すると、扉スペースが少ない分3名多いといったところか。イメージ図で車体幅からシートピッチを割り出すと、1050㎜とJRの特急車両より広い。1月の新聞報道によると『背もたれを倒せるようにしたい』との社長の発言から、デュアルシート初のリクライニングシートになる可能性がある。その場合、ロングに転換するときに、シート背もたれを元に戻す機能も必要となる。シートピッチを確保するために座席定員は80名と一般車両より20名も少ない。定員数も一般車両より42名(16%)減るから、京王5000のようにピーク時の使用は避けられるのではないかと思う。だったら、コストのかかるデュアルシートでなく、普通のクロスシートでいいと思うのだけど。つい最近まで189系による普通列車が走っていたし。

しなの鉄道が現有している115系は、2両編成7本と3両編成15本、このうち『ろくもん』用を除いた56両が置き換え対象となる。2両7本はそのまま置き換えだとすると、新車2両19本が115系3両14本を置き換えることになる。14本を維持するなら、2両は9本組成され、2編成つなげた4両は5本だけになる。つまり、115系3両編成から新車2両編成に置き換わる運用が結構出てくる。115系3両編成と新車2両編成を比較すると、定員は352名から82名減少の270名、座席数は185名から85名減少の100名となる。利用客の少ない小諸以東や豊野以北だったら大丈夫だろうけど、豊野~戸倉間はそれなりに混みそうだ。この置き換えパターンは新潟地区も同じだけど。115系と新車、2両同士で比較すると、定員は230名から270名と40名増えているが、座席数は116名から100名と少し減っている。

初年度はライナー車両から投入されるとのこと。朝の長野行と夜の上田行115系快速を置き換えて、以前のように乗車整理券が必要なライナーにするのだろう。2両での運転となると、座席数が115系3両の半分以下になってしまうから、4両編成の1運用となる。朝の長野行きは一本だけだからいいのだけど、夜の上田行2本は現行ダイヤだと両方とも新車には置き換えられない。そのため1931発の快速上田行と1912発の小諸行きを20分繰り下げて、代わりに1945の上田行を30分ほど繰り上げるのではないかと。快速の長野から上田までの所要時間は26分で、表定速度は79.4キロ、新車置き換えで速達化に期待したいところだけど、新潟地区の快速を見ると時間短縮はなさそうだ。在来線特急『あさま』は同区間ノンストップで22分運転だったけど、最高速度が120キロから100キロに引き下げられたからな。そのライナーの送り込みである、朝の快速上田行と夕の快速長野行も、当然ライナー用車両での運用になる。リリースでは、朝夕は有料ライナーとして使用とあることから、こちらについても快速から有料ライナーに変更となる可能性が高い。

ライナー車両は、土休日は観光用有料ライナーとして運転される。データイムの快速2往復を1運用でやりくりできるように運転時間帯を見直し、土休日のみライナー車両で運用するということなのだろう。

2026年度以降も、『ろくもん』用の115系は残ることになる。ただ、これも故障が多いようだったら、数年で新型の観光列車に置き換えになるだろう。『雪月花』の例に倣うと、足回りなどのハード面を今回導入となる新車と共通化させた観光列車になるのではないかと。


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