『ACT OF VALOR』 ※ネタバレ
予告編を見て、絶対見たいなーと思ってた映画。
ネイビーシールズと言う軍のエリート部隊が主役。
国VS国の戦争物ではなく、テロとの戦いに命を懸ける物語。
何せ相手は麻薬や武器で資金に潤っている犯罪組織だし
精鋭をそろえているかもしれないし、
特殊な武器だって持っているかもしれない。
超一流の兵士とは言え、危険に変わりは無い。
変わりはないけれど、凄すぎる。
無敵に強い主人公が、一人でさくさく鮮やかに
敵をぶっ倒すような強さは痛快だけども映画だ。
こちらは映画でありながら、彼らは本当に存在するのだから。
映画のストーリーはフィクションでありながら
出てくる武器や潜水艦などは本物で、
まさか、キャストまで 本物の隊員である。
すっかり俳優だと思っていた。
前に、ビン・ラディンが発見されるまでを描いた
ドキュメンタリーを見た。そこで、パキスタンにある邸に
潜入していくネイビーシールズの様子は まるで
映画みたいだった。なっても おかしくないだろうなって
思うようなドキュメントで、ちゃっかりオバマ大統領まで
出てきたりする。
その、ドキュメントの中で、ネイビーシールズは本当に
凄い兵隊たちだと紹介されていたのだけど。
この映画を見るともう はっきりと分かる。
凄いなんてものではなかった。
なんと頼もしいことだろうか。
ストーリーは、隊員のプライベート等を盛り込んであり
オンとオフの、彼らの表情や緊張感や優しさや
色々な物に、どんどん引き込まれる。
隊員の凄さもだが、本当に素晴らしい映画だった。
そう思ったひとつがラスト。
作戦中に亡くなった隊員の残した手紙には
「人生を愛し、満たすべくつとめ、自らの周りを彩れ。
相手の宗教を貶めるな」、と言ったような事が書かれていた。
その手紙の中身が本当に胸に響く。
更に、作戦中。敵が投げた手榴弾がコロコロコロと
転がってきた時、最初に見つけた隊員が大声で叫んだかと思うと
自らその手榴弾の上に飛び込んで、
自分が盾になって周りの仲間を守った。
何の迷いも無く。
これはもう、忘れられない。
この映画の中で一番、特別凄いものを見たような感じだった。
こうした一人が犠牲になって、と言う瞬間は、これまでも
他の映画で見た事が無いわけじゃないが、
この映画で見ると、特別。
好きなシーンは沢山ある。
でも特にと言ったら、最初の方に、拉致されたエージェント(CIA職員)
の女性を救出しに向かう作戦で。
救出し いざ現場から脱出地点へ向かう中、
犯罪組織の車が続々追って来る。
やがて道は終わり川へと。敵の方が、追い詰めた、と思った瞬間、
そこへ現れた味方の隊員達が乗ったボートが登場し
敵に向かって撃ちまくる。むちゃくちゃいい。
それに、撃ち殺した相手が水に落ちないよう、
すっと水面から現れた手が、死んだ敵を支える場面も
また凄い。
こちら公式サイトの予告でも見られる。
この映画、はじめから最後まで 凄いとしか最早
言いようが無い。
映画の中では正義と悪がハッキリとしていて
犯罪者が犯罪者になっている由縁などについては
ほぼスルー。この正義 対 悪の戦いを見ていると
正義の強いことの 何と頼もしく有難いことだろう。
こんな人達がいるおかげで、おそらく未遂で
終わった様な事件が沢山あるんだろう。
凄く大勢の人達を助けているんだろうな。
彼らは愛する人を守ろうと思っているし、
愛する国を守ろうと思っている。
それに比べて、誰でも彼でも巻き込んで、自分勝手に
自爆するテロリストの大儀の無さ。
勝てるわけがない。
この映画は本当に観て良かった。
むちゃくちゃ良かった。
2012年 アメリカ
監督 スコット・ウォー マイク・マウス・マッコイ
出演 ロセリン・サンチェス他
『Slumdog Millionaire』 ※ネタバレ
前回96時間の怖かったところの話でも
ちらと出てきたインドが舞台の映画。
インドの悲惨な一面についても
前、本で読んだ事があったので
いかにも優しそうな大人たちが現れて
主人公にコーラを差し出すのを見た時は
「ああこの子供達 連れて行かれて
目を潰される」と口にしてしまった。
その通りの運びとなった。
もっとも主人公たちは逃げおおせたけど。
インドでは、物乞いの数が多いらしく
普通にしていては いっこうに稼げないので
より悲惨な姿で物乞いをすることで
何とか稼ごうとすると、見るからにショックを与える姿に
なるしかないと言うことのよう。
けれど、自分で目を潰そうなんて思うはずは無い。
社会の底辺に生きる彼らを、利用して稼ごうとする連中が
そんな事をやるそうだ。目が見えなくなったら、
一人で生活も出来ないのだから、その連中らの
言いなりになるしかない。頼るのはそこしかないからだ。
彼らが物乞いした金を搾取する側である連中も、もともとは
孤児だったりと言うこともあるらしい。
だから、現在 搾取されている側の子供も、年がいけば
その連中たちと同じ事をする事もあるようだとか。
映画は クイズ ミリオネア、のインドバージョン。
クイズに挑戦する主人公ジャマールは、孤児としていろいろな
経験をしてきた。たまたまクイズ番組に出た彼は、
まるで運が味方するかのように、答えが分かる。
クイズが順調に進む中、怪しまれたジャマールは
警察に尋問される羽目に。
どう考えても お前なんかにクイズの答えが
分かるはずないだろう、と言う扱いだ。
何故 自分が答えを知っているのか、それは
自分の経験してきたことに深く関わっているからだ。
ジャマールは、その経験を、その答え毎に警察へ語る。
突然 自分たちの住んでいた村のような場所を
急襲されて 母親を殺されたジャマールは
兄とともに逃亡し、偶然出会ったラティカと三人で
過ごすようになる。この時からジャマールはラティカの虜で
結局、兄とも彼女ともバラバラになってしまっている今
クイズに答えている瞬間も、彼女のことを思っている。
ゴミ山の近くに居たときに、優しそうな大人たちが現れて
ジャマール達を連れて行く。ご飯を出してやったり
唄を教えてやったり、親切な大人たちに触れた子供らは
連中を聖者のようだと思っている。
それが最初に言ったような連中で、一人づつ呼び出しては
気絶させて目を潰していく。
ジャマール達は何とかギリギリで脱出成功するも、
ラティカだけは逃げ延びれなかった。
この映画は、ラストは、孤児で苦労してきたジャマールが
結局、警察からも解放され、見事にクイズで最後まで勝ち抜き
大金を手にする。その頃で、兄は、これまで弟に酷い仕打ちを
やってきた事等もあったからか、自分の命を犠牲にして
ラティカを弟のもとへ向かわせる。
ジャマールは、ラティカと再会。良かったね。と言う感じの話。
いやに すっきりとしない。
このジャマールが、まるで夢のようにクイズで賞金を手にし
大切な人とも再会して、とても良いお話なのだが。
そのような強運に預かれずに、彼がこうしてクイズをやっている間も
現実にはとても多くの、過酷以上を強いられた人たちが
犠牲になっているに違いないからだ。
ジャマールは良かったけど、現実の孤児たちは?
また一人、目を潰されたりしているのではないのだろうかと
嫌な緊張や不安感が後々までずっとする。
それはジャマール一人が幸せになったからと言って
ほっとできるものではない。
映画の中で、ジャマールは母親が殺された時
必死になって警察に助けてもらおうと駆けて行くけれど
彼らは 深刻な様子の子供たちが走ってきても
あっちへ行けと言わんばかりだった。
こんな奴が現実にそこにいるのだろうと、思わせるような
おかしな事件が この国からよく聞かれる。
産業が中心になっていく町では森林破壊は勿論で
政府が開発に力を注ぐ中で、住民らが強制的に
撤去させられたりしたとか。
前回言ったような異常なレイプ事件だとか。
中国の環境汚染の問題が深刻だけども、インドは
中国より更に大気汚染が酷いとか。
毛沢東主義の反政府勢力がいるとか。
それに加えて、この映画の所々で出てくる変なところ。
もっとあるに違いないけど、
ともかく、不思議としか言いようがない・・・
この国の政府はいったい何をやっているのだろう?
まったく意味が分からない。
異常なことが多すぎる。
何か少しでも改善されつつあるんだろうか???
個人的には非常に憂鬱になる映画だった。
2008年 イギリス
監督 ダニー・ボイル
出演 デーヴ・バテル他
「96時間」を見て怖かった点についても。
※ネタバレ
映画のなかでキムは売られてしまい
処女だからと傷一つ付けられずに助かってはいたが。
別にあれはキムだから起きたのではない、と言う
実はとても怖い事件でもあるだろう。
今回の映画に出てきたのはアルバニアの組織で、
それを伝えるパパの仲間も絶望的になっていたが、
観ている こちらもまた絶望的になってしまった。
ぼこぼこにされているだろうし、麻薬打たれてるだろうし
有得ない肉体労働に就かされて
病気にだってなっているかもしれない。
しかも、出来る限り、気持ちを挫く為に、売られた子達は
自分の国から とても遠い国へ連れて行かれると本で見た事がある。
遠くなればなるほど、国に帰る希望が失われるからだって。
また、旅行先で、何かの伝手から、街案内しよう
なんて言ってくれる女の人の誘いに
乗ったが最後、と言う事もあるらしい。
女性なら、相手も油断するし安心するだろうと、
女の人を使ったりする事もあるって。
密輸するのにだって、物はなかなか苦労する部分もある。
でも人間なら、脅されて何も言えなくなっていたりしたら
ある意味、物より簡単に国境だって越えてしまえる。
そう言うルートがあるというわけだろう。
映画の場合、男がナンパみたいな感じで声をかけたが
女にさえ油断できない世の中、しかも外国で、
あまりに警戒感が無かったとしか言いようが無い。
おまけに、逃げたとしても、その国の警察や国家権力が
腐っていたら、助かりそうも無い。
もちろんのこと何もヨーロッパだけに言える事では無い。
フェイスブックのような実名ありきのSNSが、
人身売買に悪用されたりしているとかも聞いたことが。
最早世の中が繋がっていて
何もかもグローバルだから、犯罪もまた同じのよう。
だから何処に居たって、あまりに危機感がゼロだと
どんな事になるかは分かったものではない。
見知らぬ男の車に乗って痛い目に遭うと言う話なら
何も海外でなくとも 身近に聞く話だし
人身売買に限らず、
男性に比べて力が弱い女性と言うのは
いつだって 悲惨な状況になると 真っ先に犠牲に
なっているケースが多い。
言っても仕方ないが、どうして女性は男性より力が弱いのか。
映画ハードキャンディの赤頭巾ちゃんが沢山集まった
ような世にも恐ろしい女の組織・・・
つまり女を標的にした犯罪者を狩りに行く女の死神たちだ、
そう言う物が 生まれてこなければ良いけどな(笑)。
最近インドでは、いよいよレイプ事件で、
犯人を去勢しろと言う騒ぎになっていた。
犯罪者の人権があるなら、犠牲になった人の人権は?
性犯罪の再犯率はとても高いのだって言うし。
騒ぎがあったにも関わらず、まだ十代にも満たない少女たちが
次々犠牲になってしまっている。
去勢?いや、したらいいではないですか。
公開してもいい。
ゆっくりと、麻酔無しでやってもらいたい。
残念ながら?そんなことにはならないだろうけども。
映画の中で、キムの友達は、声をかけてきた男が
まさか死神だったとは思いもしなかったのだろうが
簡単にパーティーの誘いに乗り、どの部屋に滞在しているかを
教えてやり、おまけに「あたし彼と寝る」とまで言っていた。
この恐ろしさと言ったら。
『TAKEN』 ※ネタバレ
(※この度より邦題をタイトルに、記事に原題を書く形にします)
今回はリーアム・ニーソンが良き強きパパとなって登場。
ドキドキするようなアクション映画になっていて
パパのブライアンの大活躍が、かっこいい。
やっぱり職人仕事の出来る強い男って(前回に続き)
本当に 素晴らしすぎている!!(笑)
ブライアンはパパと言っても離婚している。
今は別の父と暮らす娘のいる街に住み、
そのためにか仕事も引退した。
元はスパイとして働いていて、現在も独り身の彼のもとに
元同僚の仲間が訪れては、一緒に酒を飲んだり。
同僚に誘われた仕事先では、有名な歌手のコンサートの護衛を
勤めて、スチャッと危険を回避。
映画を全体通して、パパの娘への愛情がふんだんに詰まってる。
必ず毎年娘の誕生日には駆けつけて
写真を撮ったそれを アルバムにしている。
現役の頃も、アラブでの仕事を放り出して娘の誕生日に
駆けつけたと言うエピソードがあるくらいだから凄い。
さて そんな可愛い娘に17歳の誕生日がやってきた。
歌手になりたい夢を持つ娘に、家庭用カラオケ機をプレゼント。
それを手渡した直後、新しい娘のパパが、なんとまあ。
馬を一頭プレゼントしたりして。そりゃ娘も興奮しきって
カラオケ機を置いたまま飛んでいってしまう。
自宅に帰ってきたパパは、新しい娘の写真をアルバムへ
しまいながら、優しい目をしている。
馬は確かに凄すぎるプレゼントだなぁ。
でも、いつも娘を思っているパパがアルバムを見ている
シーンから伝わる 思いと言うのは 馬よりずっと良いのだ。
前に歌手を危機から救った時も、娘が歌手になりたいのだが
何か助言をと言い出す始末だし(笑)。
で、命を救ってくれたお礼にと、歌手が娘さんを
マネージャーやレッスンしてくれる先生に紹介してあげると
言って名刺をゲット。
ところが娘にそのニュースを伝えたかったのだが、
彼女が友達とパリへ旅行へ行きたいと言う話で
親子喧嘩になってしまう。
パパとしては 「まだ」17歳の娘に パリへの旅行なんか?
危険すぎるからダメって感じ。
確かに この年頃の娘は、友達と外国へ旅行へいけるなんて
夢中になってしまう出来事だと思う。
パパの心配ぶりは、かなり堪えてしまうわけだ。
結局 パリ行きを条件付で許可することに。
到着した時と、毎晩必ずパパに電話をすることが条件だ。
飛び跳ねて友達と飛行機で旅立つ娘。
見送るパパ。
しかし、娘はパリで いきなり事件に巻き込まれてしまい・・・・・・。
さあ、パパの大事な娘はどうなってしまうだろう。
まずもって、この、娘キムと共に旅行へ出かけた女の子が
とにかく危機感ゼロ。確かに旅行は楽しいし、はしゃいで
しまうものかも。
でも半分自業自得と言っても おかしくない。
パリに着いた、空港から出て、タクシー順番待ちしてる中、
そこにいた男に声をかけられ、やすやすと彼にホテルまで
送ってもらう事を許す。滞在先を相手に知られる(と言うより
最早教えている)し、今夜パーティーがあるからおいでと誘う男に
簡単にYESと言う。そんなノリだったら、商売人もラクと言う話だ。
これについては 次回にでも掘り下げておこう。
男が妙な空気するから、これは事件に違いないと
見ている人はわかってしまう展開だ。
色々ありそうだが、咄嗟に思ったのは、金目当ての誘拐か、
もしくは人身売買だろうなと。
旅行者を狙ってる感じするし「この子達売られてしまうわ」と
言ったが、本当に売られてしまった。
パパは娘が到着しているはずなのに電話がないことを
不審に思い、携帯に何度もかける。
やっと電話に出るキム。そこで事件発生。
電話口から パパが、「今から言う事をよく聞くんだ」と
冷静に指示する。「お前は おそらく連れ去られる。
何でもいいから相手の特徴を電話に向かって伝えろ」
案の定、娘は隠れていたベッドから引きずり出されてさらわれる。
男達の特徴を叫びながら。
こうした展開はいやにハラハラするけど、もうパパの冷静さが
なんと頼もしいことか。さらわれていく娘の叫び声がショックを煽る。
だけど、あたしは、ここでの冷静なパパの仕事っぷり
(電話口から指示する) が たまらなく好きだ。
パパの追い詰め方が気持ち良いし、
悪党に情けはかけないところが また良い。
娘は処女と言うのもあって、すぐに売春宿へ行かされず
もっと怪しい人間に売られそうになっている。
パパの仲間が言うには、連れ戻すとしたら96時間の猶予しかない。
その上、パリで協力してくれそうな友達は、現在管理職に
なっているから等と言い出す始末。
この時点で、この管理職男からも十分匂う(笑)。
おそらく金で繋がってるんだろうと 予測させる。
だからと言って、パパにしたら 関係ない。
管理職男の目の前で、その妻の腕を銃で撃ち、
管理職男に黒幕を調べさせたり。
こうした容赦無いパパの行動が本当に気持ちよすぎる。
ちゃっかりと、妻の「傷は浅くない」と言う配慮も良い。
とにかく時間が無いのだし、無駄な事をやる暇も無いのだ。
だって娘を助けなきゃ!
娘は処女で本当に良かった。
あるパーティーの行われている場所の地下に
暗闇で顔が見えないよう設置された
幾つものブースが、ステージを囲んでいる。
そのステージに登場する売られた子達の怯えた様子。
ただ売春宿と違って、もっともっと不気味な世界。
買うのは それなりの金持ちだろうからだ。
暗く静かな地下からは不気味と死の匂いがする。
こう言う変態共が大金払って、一体何をするんだろうか?
ただ寝るだけとは 思えない感じがして それが怖い。
処女と言うことで傷一つ無い商品となった娘を
もちろん、パパは助け出す。
おそらく助けるであろう強さなのだが、
最後までハラハラさせられる。
もう頼もしすぎるパパ。ラストもまた良い。
それにリーアム・ニーソンが やたらにカッコいいし。
元にしろ現役にしろ やっぱり工作員が活躍する話って好きだ。
冷静で 先を読んでいて 容赦の無いあの強さといったら。
時々展開が見えてしまう?気もするが(笑)
いっこうに構わない。観て良かった。また観そう。
2009年 フランス/アメリカ
監督 ピエール・モレル
出演 リーアム・ニーソン他