さっちゃんが1冊の本を手にしてニコニコしている。
なんの本?かと思えば、
一度は食べたい!隠れ愛されスイーツ 珠玉の裏スペシャリテ100
という、こだわりのスイーツを紹介する本。
「食べたことあるお店が何軒か載っていたので ♪」
というのでパラパラとめくって見ると、
たしかにお気に入りのお店、懐かしのお店などが
何軒か載っている。
「隠れ」「愛され」っていうタイトルになにごとか思わないでもない。
思いっきりメジャーと思えるお店の「隠れ」スイーツって、
ちょっと言い過ぎなところがあって。
「愛され」スイーツっていうのは確かにそうだと思うけど。
でも、知っているお店が評価されているのを見つけて、
さっちゃんが「うれしい」って思ってしまうのは、とってもよくわかる。
ちゃんと共感してくれる人がいるっていう嬉しさがあるのはもちろんなのだが、
食べているだけなんだけど、自分たちのこともちょっと褒められたような。。。
「そうだよね。美味しいよね〜 ♪」とか、「やっぱり、いいよね ♪」とか、
それだけで、少しばかり幸せな気分になったりもする。
それに、やっぱり記憶にある「あの味」っていうのを思い出したりもするし。
写真を見ているだけで、だいぶ話が盛り上がったりして。
首都圏の有名店ばかりでなく、名古屋、大坂、京都、福岡などの
お店も紹介しているので、100軒全部を確かめようとなると
これはさすがに大仕事になる。
どれくらいのリサーチからこの100を選び抜いたのか?
それを考えると、結構凄まじいことが想像されるのだけど。。。
実際のところ、どんな風に調べていくんだろう?と
素朴なレベルではあるけれど、その筋のプロの仕事というのに興味もわいてくる。
考えてみると、ケーキ屋さんって、本当にたくさん増えてきて、
それ以上に質の向上も目覚ましく、ひと昔前とは比べ物にならない。
おおげさでなく、文字通り、僕らが若かりし頃に見ていた景色と
現在のケーキ屋さんの景色には隔世の観がある。
一方で、懐かしい素朴なケーキがいつまでも残っていてほしいとも思う。
ただ変化すればそれでいいというものではないんだよなぁ。
価値の多様性っていうのは。
そんな中で、「あれ?よく行く場所のすぐ近くだけど、
あんなところに評判のケーキ屋さんなんてあったっけ?」という
一軒をさっちゃんが見つけた。
ホントだ。。。!
確かに、この住所のあたりにはよくクルマで出かける。
月に数度は必ず。
でも、このお店の手前で必ず左折してしまうから。
それで、チラッとも記憶に残っていないんだな。。。
自分たちが「おいしい」と思っているケーキ屋さんが
数軒掲載されていることもあるので、この見逃していた一軒のことだって、
だんだんと気になってくる。
「これは確かめにいかなくては!」
というわけで、早速、クルマを走らせて件のお店を確かめてみた。
知っているつもりの街に、自分が知らないでいる超有名ななにかがあるっていうことは
ままあることだけど、それが新しくできたモノだったりすると、
知るにいたるまでに多少の時間かかったりするのも、仕方のないことだとは思う。
ちょっとした角度の違いで見えなかったり、それこそ曲がり角ひとつ違っただけで
見える風景、味わえるスイーツさえ変わってしまうものだし。
でも、お店は2013年からそこにあり続けていたのに、
これだけおいしいケーキを知らないでいたなんて。。。ふ、不覚。。。
ただ「美味しいケーキ」を食べたい!っていうだけなんだけど、
ケーキの味ひとつをとってみても、出会わなければはじまらない。
時間がかかって、2020年になってしまったのだけど、
ようやく出会えたケーキに舌鼓を打ちつつ、この店がずっと続いてほしいなぁと思う。
このケーキ屋さんを、僕ら2人は気に入ってしまったのだ。