ポーランド館から、コレコーレに吉報が訪れる。
私達との会話の中で、当然のように難しい四文字熟語さえも正確に意味を理解して、笑顔で話しかけるポーランドのハンサムボーイが、「貴方の事は良く知っています。」と、笹ヶ瀬社長の顔を見て、突然、「ポーランド館の物に興味は有りますか?」
唐突な話の展開に、大きな目をさらに丸くしてキョトンとしている当社の若干27歳の若き女性社長に、間髪をいれずに、「貴方は、大変な金持ちの娘さんですか?」
「いいえ、とんでも無いですよ!」と驚いて答える。
すると「何故このような素晴らしい品揃えが貴方のように若い女性に出来るのですか?信じられませんね!」
「外国でも物々交換は盛んですが、このような品揃えは不可能ですね。」
「日本人は、不用品を持ってきて、良いものを持って帰るのでは無いのですか?」
「良い物を持って来て、悪い物を持って帰るのですか?」
矢継ぎ早にポーランド人の彼から質問が続く、 彼は、万博の重要なアテンダントであるだけで無く、機械体操において世界大会の選手として選抜されて、世界中に出向いている国際感覚に長けたポーランド人で、六カ国の言葉を流暢に話すだけで無く、特に日本の文化には興味が深く、骨董や日本の武士道、歴史、漢字の語源にも関心を持つ実にユニークな人。
漢字の語源の話から、最も漢字に精通している片桐顧問を紹介し、漢字の語源についてしばらく語り合っていると・・・
「日本に来て、これほど漢字や日本の文化や、世界観を学んでいる人に初めて会いました。」
「今日は、とても勉強になりました!」
大げさなゼスチャーで喜びはじめる彼。
「私の疑問は、全て解決しました!」
「貴方のように若い女性が、このような難しい品揃えを可能にしている理由がわかりました。」
「“温故知新”“愛着継承”素晴らしい言葉です、素晴らしい文化です!是非、あなたの店でポーランド館の最も大切な物を受け取って欲しい!ポーランドが世界に誇る最も大切な物であり、大切な文化の象徴です!」
興奮気味のポーランドの彼から出てくる言葉は、信じられない言葉ばかりでした。ファッション業界で多くの西欧の国とのビジネス経験を踏んできた当社の顧問からみても、この若いポーランド人にその様なことを決定する力を与えているポーランドの国柄が新鮮でもあり理解しがたい事でした。
素晴らしい申し出を頂きましたが、即答は避けて、何故、笹ヶ瀬社長を知っていたのかを尋ねると、先日当社が取材を受けたインターネット上のビジネスマガジンに笹ヶ瀬社長が大々的に取り扱われていて、それを偶然読んだ事が、経緯であったと聞き納得を得たのでした。
インディペンデンス~物々交換と地域通貨でビジネス展開~
【インディペンデンスという起業家向けのサイトにて、かつて当社が通信業で600名以上の従業員を抱え全国で1位の実績で活躍していた当時、社員教育の実践の場に、3000時間以上という膨大な時間と費用をかけて、理想の社員教育・経営者教育のOJT事業として、全て社員の手作りで、美術骨董の“弥勒”・宝探しの“のみの市”・洋古書専門店“ブックラック”・和書専門店“ブックナウ”の4店舗を同時に星が丘のファッションビル“THE WITZ”に立ちあげた直後に、第5号で巻頭8ページ総16ページという異例の特集を組んで頂いた恩人“愛知県漂流誌の酒井社氏”からの紹介で創刊第一号に掲載依頼が有り取材を受けたものです。】
確かに、ポーランドの彼が指摘するように、創刊号の取材記事だけでは、何故コレコーレが質の高い品揃えが可能なのかは、紙面数の関係上不明でした。
日本の文化や四文字熟語に強い関心を持ち、次々と質問を繰り出す熱心さに、“温故知新”の解釈説明や、“愛着継承”というコンセプトの実現に、大変な人脈形成努力を行っている事や、具体的な事例を説明する事になりました。
当社の激動の歴史を説明するいは、話題が多すぎる為、わかりやすい事例として、かっての600人の従業員において当時、最年少に近い笹ヶ瀬社長の立候補を会社として受け止める為に、ファッション業界で異例の活躍を行ってきた常任の片桐顧問だけで無く、当社の幕賓的な存在として、相談役になって頂いている人物学の手本とも言われる有名企業の元社長でにして、かつロータリークラブの現会長でいらっしゃる方。
日本有数の米問屋の歴史を持つ美術・古美術の愛好家でいらっしゃり、およそ世に存在する良書全てを読破されている「超生き字引経営者」、図書館顔負けのコレクションばかりか、骨董屋から美術館の創設を依頼されるほどのコレクターで、完璧すぎるほど完璧な天才経営者でいらっしゃる方。
二人は、常任顧問との間で、片桐氏に急死など万一の時は、当社の後見人の役割をとって頂く約束を頂戴している大人物である事、その他にも、哲学を知る為に物理学の大学教授になられたという、仙人のような物理・哲学・言語の達人な方や、ローマ法典を原書で熟知する法学の大学教授であるにも関わらず余暇あれば本の整理へのボランティアを理由に、会社の変化を見届けに来てくださる方・・・など数え上げたらきりが無い支援者に支えられている事を「温故知新」の意味や、「愛着継承」の関わりとして説明した事がポーランドの“彼”の腑に落ちたようでした。