物々交換コレコーレ

物々交換が出来る不思議なお店

感動の継承

2005-10-12 22:15:00 | 万博

昨日の「USA」の興奮も覚めやらぬ内、二人の男性がコレコーレを訪れる。何を隠そう、USパビリオンの某施工責任者のお二人である。昨日の搬入の際、その巨大さが故に搬入と仮設置を全面協力くださり、今日はワイヤーボルトを用いた、強化設置の為にご多忙な仕事の合間を縫って、わざわざ出向いて下さったのです。筆舌に尽くせぬご協力を下さいまして有難うございます。お二人の魔法の手は、あっという間に「USA」とコレコーレを結びつけていく。

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店先を飾るこの優美なランドマークの素材がFRPで出来ている事、ましてやこのサイズであるが為に、美しいシェイプを描くその形成にかかる苦労が如何ほどのものであるかを素人である私達にわかり易く説明を頂く、話題が万博の思い出に及ぶにつれ、施工責任者A氏の記憶は、35年前の、とある記憶とシンクロし、遠くを見つめるかの様に語り始める。
それは、A氏が小学校1年生の事、その日彼は、大阪の地を踏む。会期中6421万8770人もの入場者数を数え(日本人口の約半数)、1日に最大入場者数83万人もの入場者を迎えた事があるという。 大阪万博EXPO’70~人類の進歩と調和~
高度経済成長、見知らぬ世界の国々、アポロ・月の石・・・そこには確かに未来があったに違い有りません。
少年の興奮が頂点に達していた事は想像に難くない。いくつかのパビリオンを周ると刻一刻と時間は過ぎていく、閉館数時間を前にして、少年は大きな決断を迫られる。
その日その時、アメリカパビリオン待ち時間1時間40分、ロシアパビリオン待ち時間50分、そのどちらをも楽しみにしていた少年だが行程上、断腸の思いでロシア館のみを選ぶ。アメリカ館にいきたい!・・・その日以来、少年の脳裏に強烈に焼きつく記憶、憧れのアメリカ館・果たされ無かった夢・・・否、少年のままの瞳をした彼は、その潰えぬ夢を、それ以上の現実として自らを導く。時は過ぎ、建築設計の道を歩む彼の職場に万博の!アメリカ館!!の話題が舞い込む。自分以外の誰が・・・彼は夢中で企画書を書き上げる・・・企画は通過し、彼はアメリカ館の施工責任者となる。その後の道程も平坦では無かった。タイトな施工スケジュールの中、昼夜を徹しての日々が幾日も続く。

多くを語らぬ彼だけに、その苦労の程がうかがい知れる。

「USA」に関しての逸話をひとつ・・・この優美なフォルムを持つランドマークは厳しい工程管理の中、激しい雨の日にパビリオンに施工された。その高所作業車両の足場にさえ彼は居た。激しい雨が視界を遮るも、日本のクラフトマンシップに満ちたその工芸品は寸分たがわず外壁のナットに吸い込まれていく。暴風雨の洗礼を受けた、ランドマークは、その後の半年間もの間、微動ともせずその美しきフォルムを放ち、閉幕後の解体の際にも別格の扱いを受けその輝きを保ち続けた。

あの日の少年が見つめた「U・S・A」・・・

アメリカの“心”は日本のクラフトマンシップとヒューマニズム・ロマンティシズムの結晶であった。

A氏はこうも語る、「アメリカ館のスタッフ全てが僕と同じか、それ以上の愛情をパビリオに抱いている素敵な連中です。」

拝啓、この度コレコーレが買い上げた「USAランドマーク」を無料(移動関連費用は除外)で提供する運びとなりました。決定次第随時ブログにて速報を流します。現在の選考基は、

企画を提出する企業にしっかりとした企業理念がある会社や、個人信条が明確な理念  を大切にしている企業又は個人。

人の幸福や、平和を育む空間に使用されるアイデアであること。

「愛・地球博」のコンセプトの延長線から逸脱しないアイデアであること。

アメリカパビリオンに従事したスタッフの意思を受け継ぎ感動の継承をし得る企画である事。

おおよその暫定基準ですが、公募の方法や、詳細はまだ詰め切れていません。是非、その美しきフォルムを当店まで見に来てください。

あれほどまでに渇望し、苦労して手に入れた「USA」を無償で進呈する決心がつこうとは考えようにも無い話でありました。
念願の「USA」を手放す決心を私達が快く行うに至った理由は、米軍関係設備に行く予定であった優美なオブジェを、「愛。地球博」に相応しい平和のシンボルとなる空間に再び設置させたいという、(身勝手ながら)私達コレコーレの切なる願いであり、クラフトマシップに満ちた施工責任者が、大阪万博から引き継いできた深い思い入れや、ヒューマニズムに満ちたアメリカ館スタッフの思いを知った事が私達を損得勘定からの答えではなく、愛着継承の答えに導きなおしてくれた大きな動機であったからです。

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