私はB.B(baby boomers) 世代の人間ですが、ティーンの頃は、B.B=Beach BoysとBeatlesの世代と言っても良いのでは?と思うくらい、周りにはポップス・ファンが多くましたが、話題の中心はブリティッシュ・インヴェイジョン勢でした。
その頃の私は、アメリカのポップスとフォークを中心に聞いていて、ブリティッシュ勢はあまり興味が無かったのですが、ザ・サーチャーズだけは別。
R&Bなどアメリカの曲を取り上げるブリティッシュ勢は、妙に屈折したもの (私の偏見) を感じるのですが、そこがサーチャーズはカラッとしていて、かつ、ジャッキー・デシャノンの「ウォーク・イン・ザ・ルーム」や、マルビナ・レイノルズの「雨に消えた想い」をカバーし、フォーク・ロックの原型とも言える音を示したあたりも好きでした。
このあたり、プロデューサーがトニー・ハッチで、所属する会社がパイ・レーベルと言う所も関係するのでしょうか?
その彼らの全米での最大のヒットが、「ラヴ・ポーション・NO.9」(恋の特効薬)
これはアメリカのDoo-Wopグループ、ザ・クローバーズが50年代終りに放ったヒット曲のカバーで、惚れ薬が欲しいと願ったモテない若者が、そんならこれがイイんじゃね?と渡された薬がNO.9で、これが効きすぎ…というノベルティ・ソングでした。
ビルボード3位(1965/01/23付)止りで、1位の「恋のダウンタウン/ペトラ・クラーク」、2位「ふられた気持ち/ライチャス・ザーズブラザーズ」を抜けませんでしたが、ペトラ・クラークはこれが英国の女性歌手初の全米№1。曲を書いたのがトニー・ハッチだから仕方ないか?…と。
この曲がヒットした頃は、それまでリード・ヴォーカルとベースを担当していたトニー・ジャクソンが抜けていましたが (ピンと針を録音する時に、お前の声はこの曲に合わないと代えられ激怒して抜けたとか)、トニー・ジャクソン結構好きだったので残念です。
今年の夏に「開運なんでも鑑定団」を見ていたら、そのトニー・ジャクソンの使っていたという、カール・ヘフナー社のヴァイオリン型ベースが出てきてビックリ。
62年に製造された物に間違いなく、同じ年代の物は100万円位だが、トニー・ジャクソンが使用していた本物と判定され、相場の倍の200万円の値が付いたのは嬉しいですね。同時に羨ましい…といっても私には猫に小判だけど。
トニーが、デビューしたばかりのポール・マッカートニーと一緒に、ハンブルグの楽器店で購入したという話(依頼人の話)は現物からは確かめようがないが、ポール本人の証言があれば鑑定額は跳ね上がる可能性があるとも。ビートルズ・マニア一杯いますからねぇ。
話は戻り、小遣い欠乏の貧乏ティーンにとって、当時彼らのアルバムを揃える事はとてもムリでしたが、CDの時代となって、パイとの版権契約を交わしたテイチクが、オリジナル・アルバムを2in1で出してくれて、感謝感謝!です。
以上、【聞きたい365日】 なんとかやっと、第365話までたどり着きました。