この間、家族でトコトコ歩いてたら…
20代前半の頃に、私はこの子と結婚するだろうな。と、思った女性の方とすれ違いました。
妻がいるので当然その方とは結婚しなかったのですが。
話はここからです。
別れ方が不本意だっただけに、家族といるときには。というか二度と会いたくなかった方。
なぜか。
それは、結婚の挨拶まではいきませんが、その方の親御さんに自宅へと招かれ、家族で食事をしようと話になりました。
その時私は、そんなに重く考えておらず、顔合わせ程度にしか思っていませんでした。
当日、そちらの家族全員と私での食事が始まりました。
食事もすすみ、団欒の頃、相手の親御さんに将来について聞かれました。
その内容は結婚というわけではなく、私の職種の話。
その方の家は伝統ある職の家系であって、代々継いできているという話。
そしてそこの家庭には女兄弟しかいないこと。
私が付き合っている方は長女だということ。
必然的に私がその伝統を受け継ぐことになること。
時間がものすごく長く感じた記憶があります…
その時は私はどうしてもやりたいことがあり、その伝統を継ぐという選択肢はありませんでした。
が、話を持ち帰らせてもらうことにし、その日はお茶を濁して帰りました。
後日、その方と会っていると当然その話になります。
私がやりたいことがあることを知っているその女性は、優しく私にこう言いました。
あなたの人生はあなたが決めるの。私じゃなくて私の親でもなくあなた。
あなたが選ぶ人生に私は後悔しないけど、あなたが私や親を思って選ぶ人生は、私もあなたも絶対に後悔するわ。
だから、私がどうのじゃなくてあなたが心から選ぶ選択肢を私は応援する。
その言葉は私には別れの言葉にしか聞こえませんでした。
私に傷をつけず、誰も悪者にならないその方らしい潔い言葉。
会っている時は強がっていたけど、帰ってから号泣したのを覚えています。
その後半年ほど悩みに悩み、私は私のやりたいことをやると決めました。
それをその方に告げると、嬉しそうだけど少し悲しそうな笑顔で、頑張ってね。と言ってくれました。
その後何度か惜しむように会い、私から正式に別れを告げました。
その時その方は、笑顔で泣きながら、うん。わかった今までありがとう。
それが今でも忘れられない笑顔。
という最期でした。
その後会うことはなく、連絡も取らず記憶の片隅に置いてあるだけで思い出す事もしなかった私。
突然見かけ、心がすごく痛くなりました。というお話でした。
ちなみに、その方の言葉。
あなたの人生はあなたが決めるの。私じゃなくてあなた。
この言葉はよく使わせてもらってました。
元気そうでなによりです。