最近、楽曲派という言葉に色々と翻弄されている感じがして、少し考え込む毎日(笑)
まぁ、そんなコト言いつつも良い曲を求める気持ちにはコレっぽっちもブレは無いんですが。
本日の1枚は、楽曲派アイドルファンの牙城と目されるコチラ。
東京女子流
『KILLING ME SOFTLY』
2014/6/4リリース
エイベックスマーケティング
AVCD 38873
実のところ、前アルバムのリリース後くらいから少し彼女たちの楽曲に距離を置く感じになってました。正直、「Get The Star」「Last Forever」「十字架」の3曲に関してはハッキリと自分の好みからは乖離してきたなと(苦笑)
そんな中でリリースされた今作。聴いてビックリのアルバムでありました。
まずもって、5人のヴォーカルの成長度合いが素晴らしい。ローティーン特有の伸びやかなトップノートを残しつつ、ボトムの響きもちゃんと聴かせられる歌声。特に山邊未夢のイイ意味で適度にザラっとした質感が歌に奥行きと説得力を加えている。もちろん、歌姫:小西彩乃のヴォーカルの存在感は健在だし、新井ひとみの華やかさや庄司芽生のキュートな歌声、中江友梨の安定感・・・・・各人の歌声がきちんと機能してクオリティを高めている。
そして、その歌声を彩るバックトラックはマエストロ松井寛による完璧なサウンドメイク。
前作にも増してアルバムとしての一体感は強く、アレンジのヴァラエティも素晴らしいです。
今回は曲順もコレしかないと思わせる計算が働いていると思いました。
「Intro」を受けての実質的1曲目がガットギターに導かれたミドルスロウ「Killing Me Softly」というインパクト。前エントリーで取り上げたEspeciaの『GUSTO』同様に意表を突く。
そこから土方隆行のギターが冴えまくる「pain」(この曲の地響きする様な重低音スラップベースが堪りません)、林田健司作曲のニュージャックスイング「運命」、Base Ball Bearの小出祐介が書いた色気を醸す「Partition Love」という3曲でアッパーに攻める。
中盤、「ちいさな奇跡」「恋愛エチュード」「ずっと 忘れない。」というアイドルポップを極める3連打も本当に最高で身震いすらしてしまう。特に「ずっと 忘れない。」は女子流のみならず、21世紀ガールズアイドルポップに残る名曲。イントロからシビれる土方氏の軽やかなギターと、5人の歌声が見事に絡み合い、極上のセツナ系ポップグルーヴを構築している。
9曲目の「十字架」はシングルの時に感じた物足りなさを完璧に払拭するリアレンジ(こっちのアレンジがオリジナルヴァージョンらしいですが)が施され、ラストの正調女子流サウンド「Mine」からセクシーな「Outro」で締め。ここまでの本編は実質9曲というコンパクトに纏まった構成で、ちゃんとアルバムとしての意味が感じられる作品になってると思います。
ボーナストラック扱いの-Royal Mirrorball Mix-2曲は、私が首を傾げた(苦笑)「Last Forever」と「Get The Star」。しかし、コレが全く別もんといってイイくらいの出来で。心から松井アレンジの凄さを実感したのです。楽曲のタブローとしての出来を左右するのはシェフの役目であるアレンジャーだという持論を改めて噛み締めた次第。打ち込みなのに血が通ったストリングスとホーンが素晴らしくスタイリッシュな「Last Forever」、アーバンファンクグルーヴなリズムに身体を揺らしてしまう「Get The Star」、どちらも大好きだと言い切れる作品になってます。
結局のところ、女子流の楽曲は本当にクオリティが高くて自分の好みに合ってるんだな~というのを再確認させられた。アイドルに興味が無い、でもイイ音楽が好きという方にも是非聴いてみて欲しい。そんな風に感じた好盤でありました。