きみの靴の中の砂

忘れもの





 信州は、旧盆が過ぎると野尻湖辺りなど早くも空の色が秋めいて、湖畔の別荘村では、八月最後の週末を待たずして都会にもどる人達の車が目に付くようになる。

 湖畔のコテージを月のうちの何度かの週末に使う人と定住者を除けば、それぞれの小屋は来年の春まで戸締まりや雪への養生をしたままになり、帰京時に大事なものを置き忘れたりすると都会で気がかりな半年間を過ごすか、2メートルもの雪が積もる前に取りに戻るかの二択を迫られる。

 若い頃、頼まれていた翻訳の下訳を記録した400kのフロッピーディスクを10枚ほど、ベッド脇のサイドテーブルの引き出しに忘れ、忙しい中、取りに行くのに往生したことがあったっけ。





【Dara Maclean - For Once In My Life】

 

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