きみの靴の中の砂

今年最後の西瓜になるかもしれない





 かなだらいに浮かべた笹の葉を突っつきながら、今年は夕立が少ないとイチ子が言う ----- そのせいか、西瓜は甘味が増して嬉しいんだとか。
「この分だと、これから梨も楽しみね」

 もう数日して祭り囃子が聞こえてくれば、残暑ながら季節は秋。

「今年最後の西瓜になるかもしれないから、味わって食べましょ」
 イチ子の指先で押され、西瓜が水の中を転がる。
「ラムネは、この間の盆踊りの帰りにサナちゃんがくれたの...」

 きみが悪戯するものだから、たらいの水は、いっ時も落ち着くことがない。




【Craig Ruhnke / Summer Girl】


 

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