きみの靴の中の砂

減らず口





 好きだとか愛しているだとか頻繁に口にすればする程、その愛の価値は下がる ----- それは当初、彼女の信念と理解していた。しかし、時を経て彼女をより深く知ると、次第にその真相があぶり出された。
 彼女は自らが気恥ずかしい場面に遭遇し、狼狽しかけると、その勝ち気な性格から、その場の会話内容を咄嗟に否定するのだ ----- たとえそれが不本意な成り行きであっても...。

 彼女は過去に、『好きだ』とか『愛している』だとかを減らず口の如く容易に口にするわたしのような男とは、どうやら付き合いが薄かったのではないかと、わたしには思えるのだったが...。




【Chrissie Hynde / Back On The Chain Gang】


 

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