きみの靴の中の砂

ハイビスカス

 

 

 ミッションビーチの沖合四キロに浮かぶダンク島のリゾートホテル —— 14時を過ぎた頃か...。
 プールサイドでは強くなった西風を避けて、パラソルは、ボーイ達に手早く奇麗さっぱりと畳まれてしまった。

 ここでは毎日、昼下がりにそんな風が吹く。

 パラソルの日陰を失った滞在客は、みんな、早々と部屋へ引き揚げてしまい、陽射しをさえぎるものは、今や太い大王椰子の短い陰だけ。

 プールサイドに居残ったのは、その陰の下のビーチチェアに座った私と、さざ波立つプールに体を浮かべた旅の娘のふたりだけ。

 わたしの座った場所からは、紅く焼けた娘の肌が、まさに水面を漂うハイビスカスの花のように見えたのだったが...。

 
 

 

【Rick Mathews - Breaking Away】
 
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