きみの靴の中の砂

荒れてはいても、ルドンの幻の花が咲いている気配のある庭を見る埴谷雄高





 生真面目に活字を読んだり、考え込んだ挙げ句に何かしら短いものを書いたりするのを三度の食事とするなら、時々は人並みに間食もするわけで、今日はお八つとして集英社から上梓された写真集『作家のインデックス(撮影・大倉舜二 1998)』の頁を繰っている。この写真アルバムは作家の肖像を主とするものではなく、作家の日常生活を捉えていて興味津々である。

                    

 埴谷雄高が吉祥寺の南町の家で、奥さんを亡くされた後とは言え、元気そうに、合理的にひとり暮らしをしているところも収められていて、自分も人生を終える頃、同じ屋根の下に住む家人もいなくなれば、やはりこんなふうに暮らすんだろうなと写真を未来に重ねて想像してみる。未知の領域を仮にでも頭に描けると、ある種安堵感のようなものを手に入れられた気になり、敢えてはそれは『嬉しい気持ち』とも言える。




【Coldplay with Michael J. Fox - Johnny B. Goode】

 

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