きみの靴の中の砂

同級生

 

 

 渋谷公園通りの坂の途中で偶然出会った三十年前の同級生は、先日、長いとも言えない結婚生活を終えたばかりだと言って照れ臭そうに笑った。
「良くも悪くもお互い様。相手だけを責めようなんて思ってないよ」と心なしか疲れた様子で話す。

 その日、ぼくは先約があって、ゆっくり話は出来なかったけれど、別れ際に
「今、何してるの」と尋ねると、
「この下ったところの先で妹とお店をはじめたの、良かったら今度寄ってみて」とバッグから店の名刺を出して渡してくれた。

 ”Mon Cul” —— きみらしいネーミングだと思った。
 
 
 
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