きみの靴の中の砂

飽食せよ!

 

 

 ほろ酔い、つまり少しボーッとして体が痺れた感じが好きで人は酒を飲むのだが、反対に酒を好かないという人は、その体調を嫌うらしい。余談だが、そのカンジは、ドラッグをやった初期症状に似ているらしく、もし酒を飲めるなら、法を犯してまでドラッグを嗜むよりは飲酒の方が無難ということになる。

 ところで、と言うかなんと言うか、今年に入った頃から酒が飲めなくなった。以前は、夜、ウイスキーならボトル三分の一、日本酒なら一升を二日半で飲んで数十年、何事もなく生活していたが、この半年、夕飯時に日本酒半合を持て余すようになった。あの酔った感じを体が嫌がるようになった。体が酒飲みから足を洗ったかのようだ。いったいどうしたというんだ!

 人は一生のうち、加齢と共に体質・嗜好が変わるのは別段不思議ではないが、この状況は心配と言うより、むしろ悦ばしく、また有り難いと思っているのが本心。夜の時間が有意義に使える。

 持病があって、毎月血液検査をしているが異常はなく、強いて言えばA1cが加減ギリギリなので、医師は、もっと飽食せよと言うが無茶な要望だ。医師は低血糖を心配しているようだが、これで低血糖に陥るくらいなら、もっと痩せていて食の細い人はどうなることか。

 付け加えておくが、今、酒類を飲んでも不味いと思うことはまったくない。酔わないで済むなら、また飲み始めたい。

 

 

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