日やけは嫌だと言って、きみはその夏の間、長袖のシャツと手作りの帽子を手放すことはなかった。
二百十日も近い八月の終わり、きみと出かけた美術館の帰り、あのやけに長い遊歩道の情景ばかりが記憶に濃い。
その並木の桜が満開の花で空を覆う次の春まで、ぼく達の恋は予想を違えて続くことはなかったけれど、何の気まぐれからか、それからも時折ひとり訪ねる美術館の帰途、季節がまた同じ夏の終わりでもあれば、きみもまた偶然に歩いてはいないだろうかと、つい振り返ってしまうぼくではあったのだが...。
もう戻らない、なつかしい人。
□□□(クチロロ)/00:00:00(レイジレイフンレイビョウ)
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