好きだとか愛しているだとかを頻繁に口にすればする程、その価値は下がる —— それは当初、彼女の持論と理解していた。
しかし、時を経て、彼女をより深く知ると、次第にその真意があぶり出されてきた。
彼女は自らが気恥ずかしい場面に遭遇し、狼狽すると、その負けず嫌いな性格から、その場の会話を咄嗟に否定するのだった。
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彼女は過去に、『好きだ』とか『愛している』だとかを減らず口の如く容易に口にする男とは、どうやら付き合いが薄かったのではないかとぼくには思えるのだったが...。
【Billy Strings - I'll Cry Instead】