知った当初は、鰐梨という果実の容姿が想像できなかったし、ましてやそれをワニナシとカタカナで表記するものだから、必要以上に混乱した。
のちにそれはアボガドの和名だと知って —— なんてイカさない訳語なのかと思った。
調べてみると、アボガドの皮がワニの皮膚に似ているところから英語では別名アリゲータ・ペア(Alligator Pear)とも言い、ワニナシは、まさにその直訳に過ぎなかったのだ。
もっと気の利いた訳語を当てられなかったものかと残念に思った。でも、ダウン・タウンを下町と訳した、日本翻訳史上最大の誤訳と比べたら、ワニナシの件など取るに足りない。