しろうさぎの おとこのこが、雑木林を走っています。
やまわろ、待っててくれるかな。
ぼく、おひるねしてたら、おそくなっちゃった。
その日、待ちあわせた場所に、やまわろは 来ませんでした。
そのかわり、木の根もとに、手紙が 置いてありました。
風に飛ばされないように、手紙の上には、人参が のっています。
うさぎ、ごめん。
きゅうに、みんなと、よなかに、
ここを はなれることが、きまったの。
やまわろは、春になると、
かっぱになって、里に おりるんだよ。
ずっと まえから、そう きまってるんだって。
とうさんが、いった。
うさぎに もらった、さくらいろの ふわふわなやつ、
ずっと、ずっと、だいじにするからね。
手紙には、そう、書いてありました。
「また、あえるかな…」
「かっぱは、流れて 行くものだから…」
しろうさぎの おとこのこの 耳に、
風にのって、どこからか、やまわろの声が
聞こえたような、気がしました。
見あげると、山桜の つぼみが、ふくらんで
もうすこしで、花が 開きそうです。
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この お話は「やまわろ」(1月10日)、「知らない子」(1月15日)、
「さくらいろ」(2月13日) の続編です。