2/5 川西町フレンドリープラザ J列
<作>井上ひさし
<演出>長塚圭史
<出演>北村有起哉 中村まこと 市川しんぺー 粟根まこと 蟹江一平 福田転球
大堀こういち 木村靖司 辰巳智秋 田鍋謙一郎 山内圭哉 勝部演之
にゃん太郎(北村有起哉)は自由気ままな野良猫。家も仕事もお金も、なにもないけど
自由はある!とは言ったもののいつもお腹が減っている。
そんなある日、にゃん太郎はとても個性的な十匹の野良猫たちに出会った。
仲間は手に入れたけど、やっぱりお腹はペコペコ。この先どうやって生きていこう…
そこで出会った鼠殺しのにゃん作老人(勝部演之)に聞いた夢のような話。
『あの星の下に大きな湖があって、そこには途方もない大きさの魚がいるそうな。
その魚は十匹や二十匹ではとても食べ切れない大きさだそうな。』
みんなでここに居たっていつかは餓死してしまうかも知れない。それならみんなで
その大きな魚を捕まえに行こう。
相変わらず何もないけど、夢と希望を胸に十一ぴきのネコが大冒険の旅に出る!
久しぶりの観劇になりました
数日前に大雪が降って新幹線も止まったりしていたので、俳優さん達が山形に
来れるのか心配してたんですが、無事開演となって一安心
開演時間直前からネコちゃんたちが客席をうろうろし始めてビックリ(笑)
そんな光景をきょろきょろ見ていたら、なんと長塚さんも発見
こんな雪の中わざわざ山形まで来てくださったんだぁと感激してしまいました
お話の方は“子どもとその付添いのためのミュージカル”と言うサブタイトルがついてましたが、
確かに最初は腹ペコのネコちゃんたちが大きな魚を求めて旅に出る夢と希望の物語
と言う感じでした。
それぞれのネコちゃんたちが野良猫になったいきさつを話すシーンは
人間社会の縮図みたいで身につまされるところもありましたけど
でもそこはやっぱり長塚演出ですから、そう簡単には行かないだろうなぁと覚悟して見ましたよ(笑)
無事湖に辿り着き、大きな魚を捕まえて夢にまで見た満腹感を味わったにゃん太郎たち。
その湖のほとりに野良猫たちの国を作ってみんなで幸せに暮らすことに決めました。
そして月日は流れ、野良猫の国は大きな発展を遂げ、にゃん太郎を除く仲間たちは
国の要職に付いています。
でも、豊かさの代わりに、みんな何か大切なものを失ってしまったのでしょうか。
結局にゃん太郎は仲間たちに殺されてしまうのです。
今思い出しても胸の奥がざわざわしますね
この『十一ぴきのネコ』は何度か上演されているそうなんですが、
井上ひさしさんは二つの結末で物語を書いているそうで。
もうひとつの結末は、湖が人間によって汚染されて、その湖の魚を食べた
十一ぴきのネコたちがみんな死んでしまうと言うものらしいです
それはそれで強烈なメッセージが込められていますが、
今回の結末を長塚さんが選んだって言うのはなんとなく納得と言うか…
で、希望を持って仲間たちを勇気付けるにゃん太郎役の北村有起哉さんがとにかく素敵でした
北村さんの舞台は2度目ですが、今回も舞台を所狭しと駆け回るエネルギーに圧倒されました
そんなはつらつとした前半から、終盤、変わっていく世の中や仲間のことを静かに語る
にゃん太郎さんがなんとも切なく
ホントにいろんなことが出来る器用な役者さんです
その他の十ぴきのネコちゃんたちも相当な個性派揃い!
なんと言っても僧正を山形で見れたことが幸せでした
僧正演じる“猫糞のにゃん十一”
裕福になってみんなが偉くなって変わっていっても、にゃん十一は相変わらず。
仲間たちに殺されたにゃん太郎の変わり果てた姿を見つけたのはにゃん十一でした。
にゃん太郎に自分の服をかけてやり、みんなで旅に出たときに歌った歌を口ずさんで
その場を去るにゃん十一。
その、悲しみと怒りに満ちた歌声に胸を締め付けられる思いがしました
僧正、素晴らしかったです。
カーテンコールは僧正に呼ばれた長塚さんも登壇
またぜひ山形に来て欲しいですね
9/7 青山円形劇場 Cブロック
<原作>グレアム・グリーン
<翻訳>小田島恒志
<演出>松村武
<出演>段田安則 浅野和之 高橋克実 鈴木浩介
ヘンリーは30年勤め上げた銀行を定年退職した55歳の独身男。庭のダリアの手入れだけが
趣味のようなもので、このまま平穏に余生を過ごそうと思っていた矢先、母親の葬儀で50年ぶりに
叔母のオーガスタと再会する。70代後半にもかかわらず若い恋人がいる自由奔放なオーガスタに、
半ば強引に誘われてブライトンへの小旅行に出かけたヘンリー。
それからは誘われるがままに、パリからオリエント急行に乗ってスイス、イタリア、イスタンブール、
ついには南米アルゼンチンからパラグアイへ。
旅の途中で聞かされるオーガスタの人生は、常識人のヘンリーにとっては驚きの連続。
しかし、本能に従い思うままに生きてきたオーガスタの人生に触れ、次第にそのエネルギーに
巻き込まれていくヘンリー。
そして旅の果てにヘンリーが出した答えとは…。
夏休みの東京旅行の時に観に行って来ました
せっかく東京に行くから何かお芝居やってないかな…と調べて候補に挙がったのが
この『叔母との旅』とPARCOでやってた『ハーパー・リーガン』
『ハーパー・リーガン』は長塚さん帰国後初演出作だったし、小林聡美さん主演でとっても惹かれたんですけど、
長塚さん出てないし、一人で渋谷か…って田舎者な心配もあり
『叔母との旅』は演者が4人だけでしたけど、4人とも実力派の俳優さん揃いだったし、
円形劇場ってどんな風にお芝居するんだろうって興味もあったので、『叔母との旅』を観に行くことに
青山円形劇場は初めてだったんですが、お隣の青山劇場には以前『IZO』を観に行ったので迷わず行けました
劇場の真ん中に丸いステージがあって、それを360度取り囲んで客席があります。
座席数も300程で、一番後ろの列だったんですけどすごくステージが近く感じられました
それに円形だから舞台袖がなく、舞台をはける時はみんな客席の間の通路を通って行くので、
ますます役者さんが身近に見れるし、程よい緊張感がありました
お芝居の方はとにかく4人の役者さんたちがすごい
4人で老若男女20役以上を入れ替わり立ち替わり演じるんですが、メイクも衣装もそのまま。
主役のヘンリーも4人で、時にはセリフの途中で入れ替わったりするんですけど、私の中では
1人のヘンリーに見えてるんだからすごい
4人のヘンリーが1枚の写真を代わる代わる眺めるシーンがあって、その4人の動きがあまりにも
滑らかで見とれてしまいました
オーガスタはほぼ段田さん。ヘンリーもやるからもちろんスーツ姿だけど、オーガスタになった途端
ワンピースでも着ているみたいに見えましたし
ほかの女性の役は浅野さんが担当する場面が多かったですが、どれも可愛く見えちゃうんだな(笑)
イギリスから最後はパラグアイまで、場面転換も登場人物も多いのに舞台にはほんの少しの小道具しかなくて、
でも簡単にその風景が想像出来て私も一緒に旅をしているような気分になったのは、
4人の役者さんの演技力あってこそだと思います
飾りはないけど密度の濃いお芝居を観た!と言う満足感で一杯でした
<作>井上ひさし
<演出>栗山民也
<出演>藤原竜也 北村有起哉 大鷹明良 松田洋治 朴勝哲
熊谷真美 内田慈 吉田鋼太郎
雪の降る寒い夜更け。両国橋にある蕎麦屋『二八そば』の障子を叩き駆け込んで来た2人の男。
狂言作者の新七(吉田鋼太郎)とざる売りの五郎蔵(藤原竜也)は、お互いが川に身を投げようと
していたのをお互いに引き留めあったと言う。蕎麦屋の主・とら(熊谷真美)に自分の境遇を話す
うちに次第に心を通わせた2人は、1年後の同じ日に『二八そば』で再会しようと約束する。
そして1年後、『二八そば』に集まったのは新七と、売れない噺家の三遊亭円八(大鷹明良)、貧乏
浪人の及川孝之進(北村有起哉)、五郎蔵が無実の罪で島送りになり、そこで五郎蔵の弟分だったと
言う久次(松田洋治)。その日、店におせんと言う少女が置き去りにされており、とらはみんなで株仲間を
作りお金を出し合い、おせんを育てようと提案する。
月日は流れ、おせん(内田慈)は美しく成長し万博の手伝いでパリへ、株仲間たちもそれぞれ出世し
全てがうまく行っていた。しかし時代が明治へと変わり、他の株仲間たちが洋服に着替え開化だと
浮かれていても、新七はその変化に疑問を感じ、徐々に仲間たちや時代との間に距離が生まれていった。
しかし、株仲間で作った銀行が破綻し、全てを失い川へ身を投げようとした株仲間たちを温かく迎え
入れたのは、新七ととらの後を継いで『二八そば』を切り盛りするおみつ(熊谷真美)だった。
折りしも株仲間を作った日と同じ寒い夜、外では置き去りにされた赤ん坊の泣き声が聞こえていた…。
6月初めに友の会の先行予約のチラシをもらってから、ずっと楽しみにしていたこまつ座公演
フライング気味に申込のFAXを送ってみたり、チケット取れたか確認のメールをしてみたり…
かなり迷惑なお客だったなと今は反省
とにかくどうしても見たかったので必死だったのです
もとは鋼太郎さん、藤原さん、北村さんで新作を上演する予定だったのが、井上さんが病に倒れたため
急遽『黙阿彌オペラ』の再演になったそうなんですが。
掛け合いのテンポの良さが素晴らしく、チームワークが感じられる素敵な舞台でした
こまつ座の舞台を見るのは3作目ですが、私が見た作品はどれも普通の人たちが普通の生活を一生懸命
生きていて、井上さんの、人に対する温かい目線が印象に残っています
主人公の新七も、日々の生活を送るのに精一杯な庶民を主人公にした作品が多いらしく、時代の流れに
翻弄された株仲間たちを優しく見守る新七は、井上さんと重なるところが多いのかもしれません。
そんな新七役の鋼太郎さんは“ガマザリ”以来2回目。
大貫の時は憎たらしい頑固じじいでしたけど、今回は優しくて思いやりに溢れた狂言作家。
優しい鋼太郎さんも素敵です(笑)
でもシリアスなシーンでの迫力はやっぱりすごかった
五郎蔵役の藤原竜也さんも“ライフ・イン・ザ・シアター”以来2回目。
いや~圧巻でしたよ
血の気が多くてお調子者の五郎蔵。今までの私の中での藤原さんのイメージにぜんぜんない役
でしたけど、藤原さんの、演じることの熱みたいなものに引き込まれる感じでした
ただやっぱり、銀行家になった時が一番しっくり来て格好良かったですけど(笑)
及川孝之進役の北村有起哉さんは初見。前から気になる役者さんだったので拝見するの
楽しみにしてました
手足が長くてスタイル良し!声がまた低くて渋くて格好良し!
テレビでは冷たいとか暗いとかそんな役が多いような気がするんですが(偏見?)
舞台では全体的にコミカルな動きや表情が多くて、またそれを飄々とこなしてしまう器用さもあって
テレビとは違った魅力全開の素敵な役者さんでした
今回はフライング気味のチケット申込が効いたのか結構前の席で見れまして(笑)
役者さんとの距離が近い分、力も入ったけど熱気も感じてわくわくしました
お芝居の中に、おせんが言う“ご恩送り”って言葉が出てくるんですが
自分が受けた恩を別の誰かに送る。その人はまた別の誰かに恩を送る。そうして恩が世界を回っていく。
何のために生きているのかと思うとき、自分が何の気なしにしたことが自分でも気付かないうちに誰かの
ためになっていて、そういうことで世界中が回っていると思えれば素敵なんじゃないかと思います
もう笑いっぱなしで、挙句の果てに風邪を悪化させました(笑)
早く観劇レポを書かないと記憶が薄れてしまうわ
でも書きたい事が山ほどあるのでゆっくり書きます
グッズ、買うつもりなかったんだけど、
つい買ってしまった“ふつうの水”(笑)
幸運にもチケットが取れて、東京遠征する気満々だった訳なんですが
その後、新車を買うと言う想定外の出来事がありまして
定期は解約するわ、親に借金はするわの状態で
これは東京遠征なんて浮かれている場合ではないと
後ろ髪を引かれる思いではあったんですが東京行きを断念したのでした
で、問題はこの手元にあるチケット。
関東に住むお友達にさばいてもらおうと思ったものの、何しろ私が取ったのが平日の昼公演
結局引き取り手が見つからないと言う事態に
このまま12,000円のチケを捨てることになってしまうのかしら…って時にたどり着いたのが
『おけぴネット』
定価以下限定のチケット掲示板で、私のようにオークションとか全くの初心者でも
簡単かつ安心してチケットの譲渡が出来ました
おかげで良い方にチケットを引き取ってもらって一安心
これでその方がお芝居を楽しんで下さったら言うことないですね
あ~、でもやっぱり行きたかったなぁ、新感線
イギリスから帰ってきた長塚さん渾身の新作はどんな作品なんでしょうね~
WOWOWさん、お願いします(笑)
そんな阿佐スパに客演中の僧正
Piper『THE LEFT STUFF』の製作発表会場に行く道すがら、職務質問されたとか(笑)
まぁまぁ、僧正が道歩いてたら目立ちますよね~
そんな僧正が大好きな私ですが、今年の演劇初めは
劇団☆新感線『薔薇とサムライ~GoemonRock OverDrive~』になりそうです
半分ダメもとで平日の昼公演に先行入れたら取れちゃったてな具合で(笑)
なんとしても休みを取るぞ
本当に素晴らしい舞台を見ることが出来て幸せでした
大王、キャスト、スタッフの皆様、お疲れ様でした
そして、『焼心者』ダウンロードしました
中さん、と言うか千代の歌を聞くと、すぐに舞台を思い出すことが出来ます
あの時は千代の歌声に圧倒されて、歌詞の細かい所まで理解できなかったんですけど、
改めて聞いてみると、本当に橋本と千代の切ない思いが歌詞に込められてるんですね
胸の奥をギュッと締め付けられる、名曲です
<原作映画脚本>木村武(「ガス人間第1号」1960年東宝映画)
<脚色・演出>後藤ひろひと
<出演>高橋一生 中村中 中山エミリ 三谷昇 山里亮太(南海キャンディーズ)
後藤ひろひと 渡邉紘平 水野透(リットン調査団) 悠木千帆
水野久美 伊原剛志
ネタバレありますのでご注意ください
ガスが充満する部屋でバンドのベーシストが変死した事件を捜査する刑事・岡本(伊原剛志)。
過去にも同様の事件が発生しており、岡本の恋人で週刊誌記者・京子(中山エミリ)も事件を
追っていた。
それらの被害者はすべて、以前に解散した『JOWKI』と言うバンドの関係者だったことが分かり、
捜査線上に『JOWKI』のボーカルだった藤田千代(中村中)が浮かび、千代を追う岡本と京子は
中古楽器店店員の橋本(高橋一生)と出会う。
そんな中、またしても『JOWKI』の関係者が被害者となり、千代が容疑者として逮捕される。
そこへ橋本が、自分はガスを自在に操ることが出来るガス人間であり今までの事件はすべて
自分が犯人であること、そして千代を釈放するよう要求して警察へ出頭してくる…
久しぶりに遠征しての観劇
今回も大王の舞台は私の心にたくさんの感動と少しの痛みを残してくれました
ホント大好きです、大王の作品
今回は『ガス人間第1号』と言う奇想天外なタイトルの、美しくも哀しい愛の物語。
原作は東宝が製作したSF特撮映画だそうですが、これは立派な純愛ものだと思います
とにかく高橋一生さん演じる橋本と中村中さん演じる千代が切なくて儚くて美しい
千代がバンドメンバーの薬物使用を告発したことで芸能界を追われ、その後も妨害を受け
歌を歌えないでいて、それを救うために橋本がガス人間となり自分の手を汚してまで
千代に歌を歌わせようとする。
愛する人が自分のために罪を犯し汚れていくのを知りながら、その人の望みである歌を
歌うことでその愛に報いようとする千代の強い信念が、中村中さんの歌や存在から伝わってくるようでした。
千代が橋本のためだけに歌う“しょうしんもの”は、本当に心を揺さぶられて体が震えるような感覚
そしてなんと言っても『ガス人間』高橋一生さんが素晴らしかった
決して報われない、結ばれないと分かっていながら、愛する人のために命を削って罪を重ねる橋本。
一生さん演じる橋本の一途で純粋な無償の愛を感じて胸が締め付けられる思いでした
最後、共に命を燃やすことが2人の幸せなんだと信じたい気持ちで舞台を見つめてました…
それに一生さんの可愛い顔の割に低い声がまた魅力的
感情を抑えたり爆発させたり、しかも『ガス人間』と言う難しい役を熱演していて、
前から注目していた俳優さんだったんですが、ますますファンになりました
ちなみに、橋本が千代に“僕はもう、あなたのためにしか生きていないんです”と言うセリフがありまして。
これがまた泣かせるんですよ…
この2人が素晴らしいのも、まわりのキャストあってのことで、普段はお調子者のようで実はキレ者の
刑事役の伊原さんとか、ホント気持ち悪い(笑)ガスの専門家役の山ちゃんとか、千代をずっと見守っている
三谷さんとか、すごく笑いのバランスが良くて、切なくて哀しい中にもホッとさせてくれました
とにもかくにも、この舞台を生で観れたことに感謝です
次はPiperの仙台公演でお会いできるかな?
楽しみにしています