5/29 シベールアリーナ B列
<作>井上ひさし
<演出>栗山民也
<出演>愛華みれ 阿部力 前田亜季 久保酎吉 八十田勇一
後藤浩明 古川龍太 阿川雄輔
相島一之 木場勝己
昭和15年の浅草。小さなレコード店『オデオン堂』。店主(久保酎吉)とその妻(愛華みれ)、
娘・みさを(前田亜季)と2人の間借人―竹田(木場勝己)と森本(後藤浩明)が
仲良く暮らしていた。そこへ、陸軍に入隊していた長男の正一(阿部力)が脱走すると言う
大事件が起こる。
「敵前逃亡」は重罰。すぐに軍や警察に追われることになり、オデオン堂にも憲兵伍長・権藤
(八十田勇一)が正一の行方を追ってやって来た。
一方、レコード店を整理縮小しようと言う政府の政策により、オデオン堂にも存続の危機が
訪れる。そこで、みさをが文通をしている傷痍軍人の中の一人と結婚すると言う美談を
作り上げることによってオデオン堂の存続を図り、何百と言う文通のハガキの中から
みさをが目隠しで選んでやってきた夫・源次郎(相島一之)。
しかし、愛国心の強い傷痍軍人の源次郎にとっては、ジャズがかった音楽好きのみさを
一家がどうしても許しがたい。
そうこうしているうちに次第に戦況は厳しくなって行き、オデオン堂にも暗い影を落としていく。
去年の9月に蔵王にオープンした
“シベールアリーナ”
今まではこまつ座の公演は川西町のフレンドリープラザまで見に行ってたんですけど、
山形市内で見れるようになって嬉しい限り
新しくてとても綺麗なホールでした
お芝居の方は、ピアノの生演奏にのせて歌ったり踊ったり
戦中と言う辛く暗い時代を、精一杯明るく助け合って生きていこうとする人たちが
いきいきとしてました
愛華みれさんはやっぱりさすが元タカラジェンヌ
歌も踊りもさることながら、どんなときも明るく朗らかで逞しい母親役がぴったりで、
見てると元気になる不思議なパワーを持った人でした
相島一之さんはガチガチの愛国主義者の軍人を熱演
最初はジャズや流行歌好きのみさを一家に理解を示さない頑固な源次郎でしたが、
次第に一家と絆を深めていく様子は微笑ましく、その一方で戦争によって右手を失い、
心の傷に悩まされ苦しむ姿は痛々しく
柔と剛のバランスがさすがでした
木場勝己さんは、
『IZO』の時に初めて拝見してとても素敵な役者さんだなぁと思ったんですが、
今回も存在感があって非常にカッコ良かったです
また声も素敵で
歌もセリフも胸にグッと来ました
木場さん演じる竹田の、“人は生きていることが奇跡”と言う言葉には涙してしまいますね
防毒マスクに始まり防毒マスクに終わり、オデオン堂の人たちの未来が決して明るい
ものではないということを想像しなければならない、何とも言えないエンディングでしたが、
それでもやっぱり懸命に生きている人たちは愛おしく、深い感動をくれた舞台でした