突然会社をリストラされたことを言い出せない父(香川照之)、世界平和のために
アメリカの軍隊に入ると言い出した長男(小柳友)、両親に内緒でピアノを習い始めた
次男(井之脇海)、そんな家族を見守る母(小泉今日子)。
微妙にすれ違い、崩れかけていく家族の再生の物語。
前半部分はとにかくリアルで、痛々しいやら身につまされるやら
なんか動揺して平常心では見ていられませんでした
家族がみんな秘密を抱えて空々しく生きているような。
後半、泥棒(役所広司)とお母さんの逃避行あたりから、時に滑稽で時にシニカルで
この家族がどんな結末を迎えるのか興味が沸いてきた感じ。
食卓のシーンが印象的で、前半はみんなで食卓を囲んでも会話はなくて気持ちはバラバラ、
言いたいこともご飯と一緒に噛み砕いて飲み込んでたのが、最後の食卓のシーンは、
会話は無いんだけど“家族”って感じがしたのは不思議な感覚でした
それにやっぱり、“食べる”って力強い!
家族それぞれ大変な一夜を過ごして、家に帰ってまずご飯を食べるんです
家族の再生がそこから始まるようなシーンで、
“とにかくご飯を食べよう!”と、農協のCMみたいなことを思ったりしました(笑)
それにしてもキョンキョンは素晴らしかったです
キョンキョンと呼ぶのもちょっとどうかと思うほどの凄みがありました。
この映画を撮るにあたって、キョンキョンから監督へ『顔の皺も隠さず全部撮って下さい』
と注文があったとのことで、その言葉通り、疲れ、悩み、諦め、また立ち上がる
母、妻、女のいろんな表情を見せてくれました。
“今までの人生が全部夢で、目が覚めたら全く別の人生だったら良いのに。”と言うような
キョンキョンのセリフがあって、胸に刺さりました
でも結局自分は一人だけ、今までの自分を背負ってそこからまた歩いて行かなければならない。
と、言われているような気がしました
でも、弱っている時に見るのはおススメ出来ない作品かも(笑)