自分の息子を手に掛けて15年の刑期を終えたジュリエット(クリスティン・スコット・トーマス)は、
妹レア(エルザ・ジルベルスタイン)の家に身を寄せる。大学に就職、結婚もして、夫と2人の養女、
病気で話すことの出来なくなった義父と暮らすレアは、ジュリエットとの心の空白を埋めるように
暖かく彼女を迎えるが、ジュリエットは罪を犯した理由を裁判でも語らず心を閉ざしたままだった。
だが、レアの娘プチ・リスはジュリエットになつき、レアの同僚ミッシェル(ロラン・グレヴィル)とも
交流が生まれ、またレアがジュリエットの名前と彼女がいなくなってからの日数を毎日日記に
書き綴っていたことを知ったジュリエットは徐々に周囲に心を開いていく。
そしてある日、レアがジュリエットの部屋で1枚の書類を見つけたことから、ジュリエットが愛する
我が子を手に掛けた本当の理由が明らかになる。
フランス映画だしちょっと重たいテーマだし…と思いましたけど、
今はホントに見て良かった!!と思います
とにかくクリスティン・スコット・トーマスが素晴らしかった
泣いたりわめいたり笑ったりすれば感情表現も簡単かもしれないけど、
これだけ感情を表に出さないで、でも計り知れない感情が伝わってくるのはすごい
ほとんど化粧っ気のない疲れ切った表情。虚無感。喪失感。絶望感。
愛してたからこそ罪を犯さなければならなかったジュリエットの、深くて暗い心の闇に
触れたような気持ちにさせられる、彼女の演技に心が震えました
そしてそれもレア役のエルザ・ジルベルスタインの柔らかく透明な存在感があっから
心を開こうとしない姉に静かに寄り添って、少しずつこれまでの2人の距離を縮めようと
努力するレアは本当に優しくて
家族の絆って、時には厄介で投げ出したくなることもあるかも知れないけど、
レアがいたからこそジュリエットは絶望の淵から一歩抜け出すことが出来たんだと
暗闇の先に小さな光が見えたような、見た後に心が静かに波打つ1本です。