手筒山から望む敦賀港。
藤沢周平と云えば時代小説作家として有名。本屋へ行くと、まるで現役作家のように著書がたくさん並んでいる。フィクション小説が多いが、実際にあった出来事を描いた「歴史小説」もある。
いつものように一杯飲んで、布団に入って、その日は「逆軍の旗」(文春文庫)を読んだ。明智光秀の本能寺の変を書いた歴史小説。何回か読んでいるので、あらすじは分かっている、、、つもりだった。
読み始めて3ページ目。「昔、(光秀が)近江の朝倉義景に寄食していたとき」。この文節に引っかかってしまった。さらに、その時「加州一揆に遭遇し、鉄砲を打って活躍した」とも書いてある。
誰が考えても朝倉義景と云えば越前、一乗谷の人(福井市郊外)。ひょっとして近江に居たこともあったのか、と思ってネットで調べてみたが、そんな経歴は無い。近江とは滋賀県のこと。
加州とは何処のことかも調べた。加州とは加賀の国 (現在の石川県加賀市辺り)。加賀の国の門徒宗が起こした一向一揆。
とすると、光秀が滋賀県の何処かにいたとき、石川県の加賀市辺りの門徒宗が起こした一向一揆に遭った、ことになる。これでは話が合わない。
歴史小説を書く作家は、実に詳しく資料を調べる。郷土の歴史家、お寺や神社、図書館などに残っている古文書、庄屋の日誌や旅籠の宿帳、商人の帳簿などで調べる。
文芸春秋社だって原稿をそのまま出版するハズがない。文字に間違いは無いか、時代考証は合っているかなど、スタッフがチェックする。
今年の大河ドラマ「麒麟がくる」は明智光秀の一生を描いたドラマ。光秀が流浪していたとき、一乗谷の朝倉義景の里に寄宿するシーンもあると思う。
近江の朝倉義景と云う記述が気になる。