・オゾンOzone おぞん
以前に国民生活センターより家庭用オゾン発生器の安全性について公表していました。オゾン発生器に関する相談があり、このうち、「気分が悪くなった」「オゾンガスが体によくないとの情報があり不安」など、安全性に関するものがみられていました。
最近では室内等の除菌、脱臭、オゾン水による食品の添加物、農薬の除去等の効果を表示している家庭用オゾン発生器を販売しています。
そこで家庭用の市販のオゾン発生器について、周囲のオゾンが高濃度にならないか、オゾンの発生量等の表示が適切であるかも調べてみました。
中には、室内環境基準や労働環境における許容濃度の0.1ppmを超えて8.7畳相当の室内で30分間運転すると最大0.1~1.0ppmと危険な状態となること、排出口付近では最高で基準の約100倍を超える濃度を計測したことが調べられています。
表示について薬機法(薬事法)に違反するような治療効果をうたうものも見られていました。
オゾンOzoneは、1840年にドイツ・スイスの化学者クリスチアン・シェーンバインが発見しています。
3つの酸素原子(O)からなる酸素O2の同素体で分子式O3で、腐食性が高く、濃度が高くなると特徴的な刺激臭を持つ有毒な気体として存在します。
低温で比較的安定で常温でいくらか分解、高温では分解が早くなります。 日差しの強い海岸などでは0.03~0.06ppm、森林では0.05~0.1ppmの濃度で観測しています。
比重1.658、沸点-112℃、融点-193℃で紺色の液体となり、凝固点-197.2 ℃で濃紫色の固体、溶解度0℃で0.494mlとなります。
大気中常温常圧にも薄青色の気体としてごく低い濃度で存在しています。
オゾンはフッ素に次ぐ強い酸化力を持つため、高濃度では猛毒となり吸い込むと内臓が酸化され糜爛(びらん)状になります。
一般に空気中での紫外線照射、または酸素中での無声放電Silent discharge(音を発しない放電の総称)など高いエネルギーを持つ電子と酸素分子の衝突によって発生しています。
不安定な分子であるため、温度や圧力が上昇するほど速く放置しておくと酸素に変化するのです。
電気機器類の中には人間が臭いを感じる程度のオゾンを発生させるものがあります。特に水銀灯による短い波長の紫外線照射、高電圧を用いるコピー機、エレベーターなどの装置で起こります。
大気の中で成層圏に存在するものはオゾン層を形成し、生命にとって有害な紫外線が地表に降り注ぐ量を和らげています。一方、地表付近では、オゾンは光化学オキシダントなどとして生成し大気汚染の原因となるのです。
酸化作用があるので、食品添加物として利用し殺菌・ウイルスの不活化・脱臭・脱色・有機物の除去などに用いられています。
電気分解により水に含まれる酸素を利用して作る「オゾン水」として活用される例が増えています。
オゾン水によってオゾンの濃度を高めることで殺菌力を高くすることができ、洗浄が不必要で安全性が高く食品の味を損ねにくいとしてカット野菜・丸野菜・ちりめんじゃこ・魚介類に用いられています。
新型コロナウイルス((COVID 19)手洗いうがいにも用いています。
一般的にオゾン水は長期の保存が困難で、使用する、その場での製造です。保存が出来て必要な時に使えれば効率的、利用ができます。近年では様々な方法によりオゾンを貯蔵・保管する技術が見出しています。例えばオゾンガスの貯蔵に、シリカゲルや多孔質ガラス、ゼオライトなどの多孔質材料にオゾンガスを低温で吸着させ、加温して取り出す技術です。
貯蔵量はオゾン供給量や吸着材の種類・物性などに左右されますが、吸着材1gあたり68mgのオゾンが数百時間貯蔵できるという報告もあるようです。
オゾンの不安定な性質により数十分で酸素と水に戻るので残留性のない殺菌水として使え、塩素系殺菌剤やエタノール系殺菌剤が使えない場合にも使用できます。ヒトでは、難治性の感染症、皮膚病、免疫不全、がんの補助療法、老人病、慢性リウマチ、アレルギーなどに有効性が示されています。
急性中毒では目や呼吸器が刺激され、高濃度になるにつれて咳やめまいが引き起こされ、さらに10ppm以上の高濃度になると呼吸困難や麻痺、および昏睡状態になり、放置しておけば死にいたります。
慢性中毒では倦怠感や神経過敏など神経の異常や、呼吸器の異常を来たします。
日常生活で、高濃度のオゾンによってゴムや樹脂類クなど、濃度次第で腐食のリスクがあります。
人では、一般に0.01ppmで臭いを感じるといわれていますので、その時点に退避すれば問題ないといいます。また、オゾンは空気よりも重いので、空中に散布されても、それを吸い込むことはまずありえないといわれています。
よく聞かれたマイナスイオンという言い方は、定義として「空気中の原子や分子が電子を得てマイナスに帯電したもの」というほぼ共通した回答がありました。1999年から2003年頃が流行のピークでしたが実証が不十分であるものが多かったとしています。
「マイナスイオン」は「擬似科学」の代名詞ともいわれるようになり、現在では、あまり使われていないようです。マイナスイオンの作用というよりオゾンによるものと思われています。
オゾン発生器等は使い方次第で、中毒を起こすこともありますので、充分に熟知した上での使用が求められます。
■ppmは、part(s) per million(パーツ・パー・ミリオン)の略記号で100万分の1でいくらであるかという割合を示す分率単位で1ppm=0.0001%、10,000ppm=1%です。
1mg/1L=1ppmで汚染物質、不良品発生率などの確率を表すこともあります。
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