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今日のライトノベル ~星継ぐ塔と機械の姉妹~

2020-07-16 21:52:30 | 今日のライトノベル
「いつか、あなたとあなたの中の博くんの子孫が世界中に溢れる日が来るといいね」

今日のライトノベルは電撃文庫から発売されている「星継ぐ塔と機械の姉妹」です。
初版は2020年7月…つまり今月発行されました。
この1巻で完結です。



ジャンルとしてはSFコメディという感じでしょうか。
階段から落ちた主人公、永合博史が目を覚ますと、そこは二千年後の未来の地球ではない星で、人間はおらずロボットだけが存在するところだった…
…というところから始まります。

いいですねぇ…最近のライトノベル、こういうSFってあまり出ないのでそれだけで貴重です。

全体的に“性”をテーマにしており、下ネタもけっこう出てきます。これがコメディ要素の中心ですね。
ただ、同じくらい生命や生殖についての真面目な性のネタも扱っていて、終盤あたりでは色々と考えさせられて「なるほど…」と感心してしまう部分もありました。
何より設定がかなり作り込んであるので、ストーリーがロボットやデータ、AIなんてメカメカしい無機物をベースにしているのに、よくこれに性や生殖といった有機的な内容を盛り込んだな! という部分でも感心してました。
いや、これはなかなかの名作では?

著者は佐藤ケイさん。
以前このブログでも取り上げた「LAST KISS」を書かれた方です。

ブログ記事

この方、本作の前には「やせいのいしおの!」という作品も出されていますが、そのときは実際に石で石を研いで石斧を作り、木の枝を切ったりしてるんですよね。
他にも火おこしとか作中に出てくるようなことを実践して確認しているという。
そんなこともあり、私の中では「作品の作り込みに妥協しない人」という印象があるのですが、本作ではあとがきで作中では触れられなかった細々とした裏設定も書かれており「さすがだ…」と。
SFというのは「現実では未だにありえないこと」をテーマにすることがほとんどなので、設定周りがちゃんと固まっていないと矛盾や違和感が表に出てしまい、ストーリーに入り込みにくくなってしまうので難しいんですよね(-ω-)
あとは矛盾や違和感があっても読者に「それっぽく見せる腕(テクニック)」なんかも重要かも。

ともあれ、良い本でした!(`・∀・´)b


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