遠藤雷太のうろうろブログ

何かを観たら、とにかく400字または1000字以内で感想を書きつづるブログ。

ノート・野田秀樹「売り言葉」(戯曲)03

2011-07-29 20:07:55 | 一人芝居
二十一世紀最初の戯曲集
クリエーター情報なし
新潮社




2011/7/28

普通に考えれば、実在の人物を題材にするのと同じような理由。
世相を反映することで、閉塞的な一人芝居を脱却できる。
ただ、智恵子にとって、高村光太郎が天皇だったかというと、やっぱりピンとこない。
こういう比喩よりも、ありふれた痴話話に埋もれていく男女の関係のほうが読者としては、はるかに「近く」感じる。
「ああ、あるある。こういうパターン。芸術家でも、一昔前の人でも変わらないよね」という感じ。
それで十分の話だと思うんだけど、これだけじゃ都合が悪かったのかな。やっぱりよくわからない。
なにか「教訓的」な要素を入れなきゃいけない事情でもあったのかなと、うがった見方をしてしまう。
映像で見てもよくわからなかった。何かいい解釈があったら、教えてほしい。
また、実際の世の中ではそんなに「あるある」ではないけど、狂うのは一人芝居における定石。
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ノート・野田秀樹「売り言葉」(戯曲)02

2011-07-28 22:36:29 | 一人芝居
二十一世紀最初の戯曲集
クリエーター情報なし
新潮社



2011/7/27

戯曲を読んでいて違和感を持ったのが、最後のところ。ト書きにこう書いてある。(ネタバレがイヤな人は読まないでください)
「智恵子と光太郎の関係は、国民と天皇の関係であったのかもしれない。」
露骨に作者の意図を書きすぎ。
この戯曲が収録されている『二十一世紀最初の戯曲集』のあとがきに、「自分の中では、戯曲ではなく、上演台本なのである。」と書いてあったが、確かに文学として成立しうる「戯曲」であれば、ここまで露骨には書かない。
読むほうも、そこまで読み方を指定されたくない。
それに、作品を読むと、光太郎と智恵子の関係を、天皇と国民の比喩として置き換えるのは、やっぱりちょっと無理がある。
本当なら、この比喩を更に現代に置き換えて、電力会社と国民の関係と言いたいところだけど、それはもっと無理がある。
なんでこんな書き方をしたんだろう?
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ノート・野田秀樹「売り言葉」(戯曲)01

2011-07-27 22:46:43 | 一人芝居
二十一世紀最初の戯曲集
クリエーター情報なし
新潮社



2011/7/27

一人芝居は制約が多い。
いちばんの制約は、会話をひとりでやらなきゃならないところ。構造的な弱点だ。
(会話せずに成立する表現には、たいてい「演劇」以外の別の名前がついている)
だから、どうしても一人芝居は必要以上にストイックな感じがしてしまう。
閉塞感と言ってもいい。
なので、一人芝居を娯楽として成立させるためには、そこから何とかしなくちゃいけない。
高村智恵子という実在の登場人物を取り上げたのは、その工夫の一つだと思う。
高村光太郎の「智恵子抄」は、超の付く有名作品なので、仮に読んでいなくても、なんとなく雰囲気はわかる。
演劇の外から題材を持ってくることで、その閉塞感を少し減らすことができる。
退屈な状況説明を減らすこともできる。
一人芝居では、実在した人物を取り上げるほうが効率よく書けるような気がする。
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「売り言葉」(大竹しのぶ一人芝居)

2011-07-26 20:47:52 | 一人芝居
2011/7/27

高村智恵子の一生を追った話。
この前の『くちづけ』における「障害者」もそうだったけど、「狂気」もまた取り扱い要注意事項。
素人が安直に手を出しやすく、そこそこの演劇的効果が期待できる。
野田秀樹や大竹しのぶのような、すでに十分すぎる評価と地位のある表現者が取り上げるには、けっこう勇気のいる要素だ。
自分も、その道の一流がやる「狂気」はどんだけ凄いんだとろうと期待しながら見る。
しかし、大竹しのぶはたぶん凄いと思うんだけど、録画映像がずっと縦にブレ続けていたので、じっくり演技を楽しむという感じにならなかった。残念。
70分くらいの芝居だが、演出面でも自転車を使ったり、障子をびりびりやぶいたり、生演奏を入れたりで、色々な工夫があった。
なにかと三谷幸喜の「なにわバタフライ」と重なった。
この作品については、もう少しじっくり考えることにしよう。
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東京セレソンデラックス『くちづけ』

2011-07-24 23:40:08 | DVD・VHS・動画など
東京セレソンデラックス『くちづけ』 [DVD]
クリエーター情報なし
Victor Entertainment,Inc.(V)(D)



2011/7/25

知的障害者が暮らすグループホーム「ひまわり荘」が舞台。
物語を作るときに「当事者じゃない人がどこまで当事者らしく語れるか」ということは、とても重要。
こういうことは、「障害」を題材にして物語を作る場合、特に重要視される。
他に「戦争」や「妊娠」を題材にしたときもそうだな。
かと言って、殺人者を演じるから人を殺すというわけにもいかず、バランスが難しい。
結論から書くと、このお芝居はそのバランスが奇跡的なレベルで巧くいっている。
泣けるし、笑えるし、感動もできるし、不快でもない。
その辺のバランスは、どんな心がけをしたら書けるんだろうと考えながら見る。
たぶん「障害」を描こうとするとダメ。
代わりに書かなきゃいけないのは、「個人」の生き方。
「障害」>「個人」になると、たぶん説教臭くなったり、現実の一番悲惨なところを見せないとリアルじゃないとか、そういうことに重きを置いた話になってしまう。
少なくともそれではエンタメとして成立しない。
個人の生き方を追うことで、「ある幸せな人生を送った知的障害者の話」として、物語を成立させることができる。
もちろん、その個人の事情を追うための下調べは絶対に念入りに必要なんだけど。
役者さんは、不勉強なことに知ってる人が誰もいなかった。ただヒロインを演じた加藤貴子は可憐だったし、「演劇集団 円」の金田明夫の安定感にもうっとりした。
もう一人の主人公、うーやんを演じた宅間孝之は、きびきびとした演技で物語を引っ張っていた。この人、脚本も演出も団体主催もやっている。超人なのか。
ほかにも芯の強いカッコいい女性を演じていたのが、東風真知子。キャスト紹介文を読んだら、電波少年などでおなじみの「真中瞳」だった。まったく気付かなかった。
芳賀優里亜の演じている女子高生も可愛らしかった。
色んな年齢層の役者さんが登場する舞台は、やっぱり豊かだなと思う。
ただ、「個人」の話だと割り切ってはいても、人の悲しい話を見て勝手に共感して泣きそうになっている自分はいったい何様なんだろう。作り手の狙いどおりだからいいんだろうけど、その辺の感じ方が難しい。
あと、ラストの演出はちょっと納得いってない。
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走メモ

2011-07-24 11:20:11 | 走メモ
2011/7/25

北海道神宮往復コース。

往路 5.87km 38:44 6'36"/km
復路 5.75km 39:08 6'47"/km

往路と復路に謎の誤差。
復路に時間がかかってるのは「スーパーダイイチ」で給水休憩を入れたからだな。
前に走ったのが5月26日。ほぼ2ヶ月ぶりだったが、思ったより走れた。
ただ、サボりにサボっていた筋トレの影響がやっぱり出ている。「ああ、ここでもう少し筋肉があれば」と思うこともしばしば。疲れると自分の中の理想のフォームが保てなくなる。
あと、ちょう暑い。汗だく。暑さだけでもけっこう危険領域に入っていた。
お供は珍しく音楽。ライムスターのアルバム「リスペクト」。アーティストとランニングの相性がいいとはとても思えないけど、ポッドキャストよりはペースが上がる。
ニトリの10kmは問題なさそうだ。あとは、ハーフ走れるところまでいけるかな。

※判官さま(休憩所)の守り神ということにしたい。
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パインソー「 かせつ×くつがえす試練、10と54乗 」

2011-07-22 22:19:27 | 演劇を見てきた
2011/7/22

見たのは初日。久々に見るツルオカくんが、よく動いていた。上演後にちょっと話したけど、動きすぎて脇腹を押さえている姿が新鮮だった。より激しい彼の演技に期待したい。
お話はよくわからない。
主人公の過去のトラウマをめぐる話らしいけど、もしかしたら人を殺しているかもしれないし、タイムスリップしているかもしれない。
たぶん大丈夫だと思うけど、これらがネタバレになっているのかすらよくわからない。
エヴァとか最終兵器彼女とかみたいな、いわゆる「セカイ系」というやつなのかしら。
個人の問題が世界の存亡を左右する感じのやつ。
そのへんの解釈は、そういうことが好きな人におまかせしたい。
「BLOCH INFO」を見ると、脚本家の名前がたくさん。オムニバスではないとも書いてある。
演出の味付けが濃かったので、誰がどこをどういう風に書いたのかがよくわからない。脚本を読んでみたい。
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入江悠監督「SR サイタマノラッパー」

2011-07-21 23:25:22 | DVD・VHS・動画など
SR サイタマノラッパー [DVD]
クリエーター情報なし
アミューズソフトエンタテインメント




2011/7/20

ラップはおろか、音楽の知識は皆無。
ただ、その分「免疫」がないとも言えるので、小粋な音楽が流れるとそれだけで楽しくなってしまう。我ながら軽い客だった。
埼玉の田舎で、ラップをやっているダメな青年たちの物語。
ダメにも程があるなあと思いながら見ていたけど、たぶん彼らは自分よりずいぶん年下。自分が若者ではなくなってきているのかしら。
「ラップ」と「日本の田舎」の組み合わせだから、あちこちで鴻上尚史言うところの「構図のズレ」が発生する。だから笑える。
ただ、そのズレの配置があまりにさりげないので、ウッカリしていると見逃してしまいそうなこともある。小粋。
話の構成は単純、だからこそ説明は最小。
ラストには色んな意見がありそうだけど、自分にとっては好みだった。
あれでちゃんと伝わるはず。短編小説的な余韻がよかった。
そして2の予告がとても面白そう。
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「2011 北海道舞台塾を語ろう」

2011-07-20 22:33:33 | レポート
2011/7/20

7月16日、北海道舞台塾の意見交換会なるものに参加してきた。
北海道文化財団事務局長という恐ろしげな肩書きを持つ佐保末男氏が「若い演劇人の話を聞きたい」ということで企画されたものなんだそうだ。
舞台塾と富良野塾の区別すらほとんど付いていなかった自分にも、なぜか声がかかったので行ってみると、同年代の演劇関係者がほとんど。知ってる顔も多く、少しほっとする。
舞台塾のシステム、自治体と演劇の関わり合いについて、割とざっくばらんに話し合う。
自分も作家目線で一回だけなんとか発言して参加したフリをする。
佐保氏は、いわゆる「お役人さん」。
そういう人が直接、現場の人間の意見を聞こうというのは結構珍しいことだと思う。
具体的なことはこれからだろうけど、もしかしたら面白いことに発展するかもしれない。

※財団で見つかったお宝映像。
コメント (2)
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みうらじゅん「マイ仏教」

2011-07-20 01:00:12 | 読書感想文
マイ仏教 (新潮新書)
クリエーター情報なし
新潮社



2011/7/20

サブカル界の巨人が、自らのバックボーンを語った本。
日本人は無宗教と言われるし、オウムなんかの影響で、「宗教=危ないもの」というイメージも強いんだけど、もう少し自分にとって役に立つもんなんじゃないかと思って読む。
仏教にはまったく詳しくないが、みうらじゅんの言葉で聞くとなんとなくわかったような気になる。
面白かったのは、仏教の基本的な考え方「四法印」のなかのひとつ「諸法無我」の考え方。
これは「自分探し」の反対、「自分なくし」が大事なのだという教え。
自分をなくすことで、むしろ自由になれるのだそうだ。
言われてみるとなんとなくそんな気がする。
若いうちはポジティブだった「変わる」ということが年をとるとネガティブに変わるという指摘ももっともだと思う。
そのほかにも「不安タスティック」「僕滅運動」「グレイト余生」など素敵なお題目もたくさんあった。
それぞれ記憶にとどめたい。
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