遠藤雷太のうろうろブログ

何かを観たら、とにかく400字または1000字以内で感想を書きつづるブログ。

ジェームズ・ガン監督『ザ・スーサイド・スクワッド “極”悪党、集結』(2021年)

2021-12-31 22:18:18 | NETFLIX/PrimeVideo/UNEXT/Apple TVで観た

2021/12/28

・様々な能力を持った犯罪者たちが決死隊を組まされて、カリブ海の小さな国で行われている恐ろしい計画を阻止しようとする話。

・DCコミックスはマーベル以上にわからないけど、ジェームズ・ガン監督のガーディアンズ・オブ・ギャラクシーは楽しかったので、期待して見る。

・全体的に命が軽い。ポコポコ死ぬ。軽快な音楽にのせて、首が飛んだり、人体が破裂したりする。倫理とかどうでもよくなってくる。

・オープニングもひどいけど、笑ってしまう。

・露悪的と言ってもピンキリで、アクションと音楽の組み合わせ方が心地よいし、戦い方、見せ方にも色々変化もあっておもしろい。

・それでも大佐の救出シーンはひどい。

・犯罪者たちが主人公なので、善悪のバランス取りが作り手の腕の見せ所。

・決死隊以外の人々もそれなりにクズとして描かれていて、悪を相対的に描くことで対応している。

・決死隊が市民を助けようとするときに、今まで良くも悪くも毅然としすぎていた司令官がめちゃくちゃ下品に動揺していておもしろい。

・ただ、そんなに志の高い人たちではないと思っていたので、命令違反はちょっと唐突に感じる。

・シリーズのアイコンと言ってもいいハーレクインがなかなか活躍しない。焦らされる。そして、いざ戦い始めると抜群にかっこいい。

・槍を持って飛び込んでいくので、当然刺すのかと思ったら、刺してなかった。

・実際、任務全体のなかで彼女がどこまで役に立ったのか微妙なところもふくめて魅力的。これからも話の都合から自由であってほしい。

・サメって軟骨でできてるはずだから、あんなに固くないんじゃないかと思ったりする。

・というか、ナナウエってどうやったら死ぬんだろう。銃器も通らない。その彼を追い詰めた小さいイソギンチャクみたいなのが一番強いのかも。

・前々から思っていたけど、全体的にアメリカのエンタメはネズミに甘い。ものすごくいい役をもらっている。

・ほんと下品なのに、あのネズミのワンシーンで感動させられるのはずるい。さすがだった。

(U-NEXT)

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朴性厚監督『呪術廻戦 0』

2021-12-30 00:00:00 | 映画を見てきた

2021/12/27

・事故死した幼馴染の呪いを抱えた高校生が、呪術の戦いを通じて成長していく話。

・上演スケジュールが何かの時刻表並み。

・それでも混雑しているけど、おかげで当日でも見たい時間にチケットが取れた。特典の「呪術廻戦0.5」ももらえた。

・鬼滅の影響もあるのか、上演前のCMで色んな企業が次から次へと関連商品を出してる。

・『呪術廻戦』は原作もアニメシリーズも一通り見ているので、どういう話かは一通りわかっている状態。

・話はほとんど原作通りで、百鬼夜行の時にアニメシリーズの登場人物たちが出てきたくらい。

・それも超絶身体能力による白兵戦という感じで、呪術を使っている感じはあんまりしなかった。

・主人公の乙骨がエヴァンゲリオンのシンジくんっぽい。声優さんが同じだし、似たようなセリフも出てくる。

・原作も影響を受けているのはわかるけど、自分はそこまで熱心なエヴァファンでもないので、別に楽しみたかった感じはする。

・そもそも高校生以上の男子が女性の声なのは違和感があって最後まで慣れず。

・緒方恵美さんのレベルでそうなんだから、全般的に自分が苦手なだけなんだと思う。たぶん少数派。

・何かのプラスを得るために別のマイナスを作るという呪いの設定。

・最後のパワーアップも怒りとか抽象的なものじゃなくて、ちゃんと理屈をつけているところが好き。

・明らかに実力違いの敵ボスに仲間たちが殺されないところにもひと理屈があって手厚い。

・原作通りとはいえ、急に回復系の呪文を使い始めた乙骨の急成長はかなり唐突な感じはする。

・結局、血筋と才能じゃないかというジャンプ漫画らしい感じにはなる。同級生三人組も、乙骨の発奮材料にはなるけど、足止めという意味では失敗している。

・本編のほうだとあんまりそんな印象はなかったので、やっぱり連載前の頃に作られた大味な話に思える。

・一番好きなシーンは、乙骨が三人抱えて歩くところ。原作でもよかったけど、アニメになることで動きに重さと強い意志が感じられて見ごたえがあった。

・「女誑しめ」のシーンも好きだけど、ほんとにどっちなのかはよくわからなかったりする。

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清水健斗監督『漂流ポスト』(2021年)

2021-12-29 01:01:00 | NETFLIX/PrimeVideo/UNEXT/Apple TVで観た

2021/12/27

ある女性が東日本大震災で亡くなった親友への手紙を「漂流ポスト」に投函する話。

漂流ポストは陸前高田市に実在する。

震災で大切な人を失った人たちが、故人への手紙を投函することで、少しでも苦しみを和らげようとする。

最初は、なんとなくこぎれいな映像や登場人物などがノイズになって集中しきれなかった。

三宅隆太さんの作劇ラジオのガイドに従って、二回目は映像の美しさや後半の登場人物の心の動きに注目することでしっかり見ることができた。

たしかにポストの前で葛藤する様子は生々しく、演技であることを忘れて引き込まれる。

戦争ものでよく見かける「生き残った側の罪悪感」が、こんな最近にもある。

中途半端に共感するというより、世の中には共感しえない悲しみを負った人たちがいるんだということを、自分自身への教訓としたい。

(U-NEXT)

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東京都立千早高等学校 演劇部『見えない女子の悩み』

2021-12-27 11:33:06 | 動画で演劇を見た(観劇三昧以外)

全国高等学校演劇協議会2021上演11

2021/12/25

学級委員長不在のクラスでの高校生活を描いた話。

しょうもないオープニングで声出して笑った。

学校生活のスケッチと群唱を並べた構成で、面倒見のいい学級委員長の不在が全体の軸になっている。映画「桐島、部活やめるってよ」の見せ方に近い。

実際のところはわからないけど、いわゆる進学校でもないし、部活の強豪校という感じでもない平凡な学生という立場を逆手にとって、うまく見る人をリラックスさせてくれる。

本作でもコロナ禍の学校生活を描いていて、全員、厳格にマスクを着用している。

しかし、今まで見てきた作品と比べて語り口に苛立ちや諦めのような暗さがなく、全体的に「今さら自分たちが世の中を憂いてもしょうがない」という開き直りのような明るさを感じる。

肩の力が抜けている。正直な『銀河鉄道の夜』のくだりも笑った。

今できることとできないことを見極めた、地に足の着いた作品だった。

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久留米大学附設高等学校 演劇部『19-Blues』

2021-12-27 11:27:28 | 動画で演劇を見た(観劇三昧以外)

全国高等学校演劇協議会2021上演9

2021/12/23

バンドを組んでいた高校生三人組が、コロナ禍の中でそれぞれの卒業一年目を過ごす話。

とにかくコロナ禍の話が多い。どれだけ高校生活に大きな影響を与えたのかがわかる。

「いつか終わるのかな」という素朴な問いかけが切ない。

冒頭に大きなCOVIT-19の文字パネルが並ぶ。

たぶん、そこから連想しての19歳の話。現役生ではないところに一ひねり入っている。

途中からマウスシールドを付けて、それぞれの人形を手に演技するスタイルに変わる。

これも感染症対策のひとつでいいのかな。もう少し近くでパペット観たい。

ハチは最初だけウケてたけど、重要なのでちゃんと作ってあげたほうがよかったと思う。

傷のようなものを抱えて生きていくというのは、秩父農工化学の作品とも通じるテーマ。

コロナ禍から目を逸らすことも抵抗することも許されない今の高校生たちが、ギリギリ踏ん張るために必要な姿勢なんだと思う。

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岩手県立千厩高等学校 演劇部『2020年のマーチ』

2021-12-20 17:54:27 | 動画で演劇を見た(観劇三昧以外)

全国高等学校演劇協議会 上演2

2021/12/20

コロナ禍のなか、シェアハウスに暮らす女性4人のうち1人が海外旅行の後に寝込んでしまい、関係が危うくなる話。

登場人物は二十代中盤くらい。

今回の春フェス作品の中では、唯一演者全員が社会人の役。新鮮。

声を荒げるシーンが多く、暗めで閉塞感の強い作品だけど、会話のほうは自然でテンポもいい。

いい意味で高校演劇を見ている感じがしない。

小劇場系の演劇として普通にチケット代をとって上演していても違和感がないくらい。

演技スペースが狭いせいか、他作品とは画角も違うようで、見た目から異彩を放っている。

逆に大きな劇場で見ると印象変わるかも。

コロナ禍で分断される社会とはよく言われるけど、シェアハウスがそんな世の中の縮図を描く場としてしっかり機能している。

同年代の遠慮のない会話から、関係性が崩れるか崩れないかのバランスの取り方がうまいし、緊迫した空気を緩める後半のエピソードもおもしろい。

設定としてコロナ禍をうまく使った良作だった。

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島根県立横田高等学校 演劇・放送部『20205678』

2021-12-17 21:38:11 | 動画で演劇を見た(観劇三昧以外)

2021/12/17

コロナ禍の制約のなか、演劇部が学校祭での上演を目指す2020年5月から8月までの話。

冒頭。教育委員会の指導で、マスク着用、ソーシャルディタンス、発声NG(できるだけ)で行う旨が宣言される。

加減がよくわからない部分もあるけど、最初にルールを示すのは見ている人に対してやさしい。

舞台上には、無数のコロナ禍関連の単語が書かれた箱。これは発声を最低限にするための工夫。

そんな感じで、制約に対してどう向き合っていったのかが語られる。

なので、文字の書かれた箱が並ぶ前衛的な見た目に反して、ドキュメンタリーに近い内容。

舞台上で本格的な素振りを見ると、演者の努力の積み重ねを感じて感動してしまう。全体的に演者の身体能力が高い。

細切れのシーンや最後のほうの群唱など、期せずして第三舞台の作品群と重なる雰囲気。

最後には若者だからできる真っすぐなメッセージ。

数ある制約に正面突破を試みた勇気ある作品だった。

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市立札幌啓北商業高等学校 演劇部『ラフ・ライフ』

2021-12-16 22:45:12 | 動画で演劇を見た(観劇三昧以外)

全国高等学校演劇協議会 上演6

2021/12/14

真面目な学級委員長が、元クラスメイトから学校祭に向けて漫才の相方になるよう頼まれる話。

唯一、ライブでも見ている話。

見たのが一月、本配信の春フェスが三月。会話の聞きやすさや動きの滑らかさがアップしていてコメディとしての強度が上がっている。

漫才自体もだいぶん上達していると思う。逃げずにちゃんと舞台上で漫才をやってみせるのが大事。

面倒見のいい学級委員長のお人好しな部分。台本を読むときに作者に許可を求めたり、対立する実行委員をご飯に誘ってみたりと、細かいところが好き。

それにしても、学校祭当日に転校って、親はどんだけ周りが見えなくなっているんだ。

作中の漫才のテーマのように誰でも楽しめるライトコメディで、全国で一番をとるようなタイプの話ではないんだけど、好きな温度感。

もっとこういうお話は増えてほしいし、早くそれができる世の中になってほしい。

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大分県立大分豊府高等学校 演劇部『むれたがる私たち』

2021-12-15 14:01:00 | 動画で演劇を見た(観劇三昧以外)

全国高等学校演劇協議会 上演5

2021/12/14

学校に居場所のない生徒たちが集まる「階段部」が遊んだりケンカしたりする話。

第15回春フェス作品5本目にして、はじめてコロナ禍と直接関係がない作品。

心の傷を抱えた生徒や先生が集まる、校舎の隅の隠れ家的スペース。

ほとんどが女子生徒だけど、男子生徒も一人いる。彼が完全にお笑い芸人のたたずまいで、作品内のポイントゲッターになっていた。

面白いところはもちろん、特に面白くないところでも結構強引に笑いを生み出せる。

中心的人物が周りの人を見下していたことがわかって、ケンカになるんだけど、あんまり引きずらないのがよかった。

多かれ少なかれ、みんな同じようなことは思うはずだし、行動に移して実際に助かった人がいる以上、否定はできない。

口に出しちゃダメなだけで。

エンタメとしてシンプルにまとめられた佳作だった。

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埼玉県立秩父農工科学高等学校 演劇部『空が落ちてくる』

2021-12-14 16:29:07 | 動画で演劇を見た(観劇三昧以外)

全国高等学校演劇協議会 上演4

2021/12/14

何かを発表しようと頑張っていた生徒たちが何かのために全部中止になってしまう話。

コロナ禍に苦しむ演劇部の話は全国いくらでもあるだろうから、その説明は全部端折って抽象度を上げつつ、その抽象度を活かした創造性で勝負する方針、でいいと思う。

冒頭5分でお客さんをロックする力が強いし、勝ち抜くための高い戦略性を感じる。

序盤こそ、先輩後輩の嫌なノリはあるものの、あちこちで声を出して笑った。

全体的にビジュアルイメージが強い。

鳥さんの見た目はかわいいし、衣装も気を使ってるし、なにより舞台美術の迫力。

抽象から具象に切り替わっていく瞬間や、具象に切り替わったところで、結局何なのか理解しきれないバランス感覚が絶妙だった。

コロナ禍で、他の世代の人より確実に重い石を抱いて生きていかなきゃいけないというのは全くその通りで、それすらもポジティブにしていこうともがく若者たちの話だった。

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