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きみのいもうと  エマニュエル・ボーヴ  白水社

2007年05月22日 | 読書記録
前に読んだボーヴの本は、「ぼくのともだち」というタイトルでした。

その内容は…友達が欲しいんだけれどなかなか上手くいかない、そんな男の様子をユーモアを織り交ぜて描いたもの・・・でした。
なので読んでいる途中で、つい「ぷ」とか、笑ったりしたんですが・・・。


この「ぼくのいもうと」は、前のと違って、あまり笑える小説ではありません。
それでもやはり、引き込まれるように読んでしまった・・・。
何でかな?

ボーヴの描く、いろいろな人間像…その観察眼の細かさ鋭さに、つい引き込まれてしまう。

この作者は、1900年代前半に活躍していたそうですが、この本もその時代のことが描かれています。
馬車とかが出てきますから。

ボーヴ。まだこの人の本は2冊しか読んでいないけれど、この人の書く独特の「深い暗さ」…って、なんだろう?とか思ったんですが。

訳者の渋谷豊さんという方があとがきでボーヴの人生について少し詳しく触れています。(この方のあとがき、面白くて好きです)

それを読むと、ああ、そうか・・・と、なんとなくだけどその「深い暗さ」が理解できるような気がしたりする。
(ボーヴの魅力は、もちろん暗さだけではないと思いますが)

やはり私、エマニュエル・ボーヴ好きだなぁ。
辛いことを経験した人の文章、というか、辛い事楽しいこと、恨む気持ちとか申し訳ないような気分とか、とにかくいろんな気持ちを経験した人の書いた文章、という感じで好きですねぇ・・・。

どうやらまだ2冊しか日本語に訳されていないようですので、これから先、他の作品の日本語訳も出るといいな、と思っています。



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