米国立アレルギー・感染症研究所(NIAID)によると、昨年9月29日から始まった米国内での2019~20年のインフルエンザは、過去10年で最悪だそうで、米国疾病管理予防センター(CDC)によると、「感染者はほぼ米国全地域に拡大し、48州とプエルトリコで猛威を奮い、感染者の数は全米で少なくとも2600万人、入院者は25万人、死者は(これまでに)少なくとも1万4000人、死亡者の内少なくとも92人は子どもだった」そうだ。
米国では例年1万2000~5万6000人がインフルエンザで死亡すると推定されており、数に開きがあるのは、インフルエンザ感染はありふれたものなので、症状を呈している患者全てに、自己負担で費用のかかるウイルス検査を行うわけではないことから、2017〜2018年シーズンなどでも推定で6万1000人もの死者であったとされている。
「過去10年で最悪」ということは今シーズンはそれを上回る猛威ということらしい。
■インフルエンザの診断の実態は?
インフルエンザの迅速検査は非常に簡単にできるため、日本の医療機関では積極的に検査する傾向はあるものの、それぞれ保険診療内で厳しく適応が制限されており、検査キット、抗原によっては判定の精度が劣るのもあるので「必ずしも結果が病態を反映するとは限らない」とある。
偽陰性となる例としては「インフルエンザは発熱直後の検査は陽性率は著しく低下することが有名」ということで、ましてや国民皆保険制度でない米国では自己負担でインフルエンザかどうかを検査キットを使って正確に診断されているとはとても思えない。
■CDCによる発表
現在、「インフルエンザによる死亡と診断された死亡者の中に(インフルエンザ陽性判定でも陰性判定であっても)、新型コロナウイルス(COVID-19)の感染の患者もいたのではないか」という指摘がCDCによってなされている。
例えば、未治療のHIV陽性患者が免疫不全によって真菌症である「カリ二肺炎」やヘルペスウイルスによる「カポジ肉腫」など、複合感染を起こすように、インフルエンザの感染で免疫機能が落ちている状態で「COVID-19の複合感染→重症化」ということもあり得るだろう。
米国の保健当局は「インフルエンザに似た症状が確認された患者に対し、COVID-19の検査を行う措置を開始」と表明。
具体的には、CDCの国立予防接種・呼吸器疾患センター(NCIRD)のナンシー・メッソニエ所長によれば、「インフルエンザに似た症状のある人々に対し、COVID-19検査を開始するべく、全米各地の公衆衛生検査機関5か所の地域密着型インフルエンザ監視能力活用に向けてこれら機関との協力を開始した」ということを指すらしい。
■日本でのハワイからの帰国感染例が意味すること
このタイミングでの発表は、日本国内で2月14日と15日に愛知県が発表した県の3、4例目のCOVID-19感染者が、中国ではなくハワイ旅行から帰国した夫婦だったこととも関係しているのだろうか。
愛知県の感染者の1,2例目は武漢からの帰国者だが、5~9例目はこの夫婦の知人らなどで、5例目の女性は2月11日にこの夫婦と会食しており、6例目は5例目の女性の知人、といった具合。
AFPによれば、愛知県の3,4例目で、ハワイ旅行後に感染が判明した夫婦二人は、1月28日から2月3日までマウイ島に、3日から6日まではオアフ島に滞在し、7日夜に帰国したのだそうで、帰国便は中部国際空港着デルタ611便で、ハワイ州当局はオアフ島でこの夫婦2人と一緒に行動していた男性を特定し、この男性は2週間の自宅隔離に入っているのだそうだ。
ハワイ在住のこの人物は恐らくCOVID-19の不顕性感染者かもしれず、この夫婦は発症時期からみて、渡航前に日本で感染したのではなく滞在先のハワイ(米国)で感染して愛知県にCOVID-19を持ち込んだ可能性が高いとみるべき。
そこから考えられることとして、確率論的には2月14日の時点で、日本よりも米国で既にCOVID-19の感染拡大が進行している可能性があるということではないだろうか。
◼現実的には・・・
COVID-19感染者の症状も、インフルエンザと同様、発熱やのどの痛み、咳が長引くこと(1週間前後)が多く、強いだるさ(倦怠感)を訴える人が多いことが特徴で、感染から発症までの潜伏期間は1日から12.5日(多くは5日から6日)とあり、中国への渡航歴のないものに関しては、米国ではCOVID-19感染を疑っての検査などは行っていないというのが現状らしい。
CDCはこの愛知県の夫婦の事例に触発されたのか、既に予想されていたことなのであるが、「インフルエンザとされた患者の中にCOVID-19による患者が含まれている可能性がある」として、米国内の大都市を中心に、NY、LAのほか、サンフランシスコ、シアトル、シカゴで検査を開始と発表。
しかし、検査対象者はあくまでも「『中国への旅行者、旅行者との濃厚接触者』『発熱もしくは呼吸器症状がある人』の双方の条件を満たす」という限定的な検査対象らしく、2月19日時点での米国内患者数は479人検査したうちの15人と発表。
CDCはCOVID-19を「中国発祥の新規感染症」と定義しており、検査対象者を「中国への渡航者がらみ」に絞って検査しているので、2月19日現在の、上記ような検査対象者と感染者との比率は3%、数にして15人がCOVID-19感染者であったという意味でしかない。
しかし特に、インフルエンザの重症化による死亡が多発死亡している地域ならば米国内でのCOVID-19感染者が実際には当然もっと高い比率になるのではないだろうか。
CDCは今後、新たな検査対象を、「各地で毎年実施しているインフルエンザ検査の受検者の内、インフルエンザが陰性と判断された人」とするそうだ。つまり、インフルエンザ感染症状があって、インフルエンザウイルス陰性者が検査対象ということ。
「調査結果によっては、今までの統計上『インフルエンザ』と扱われてきた患者の中にも相当数のCOVID-19患者が含まれていたことが判明する可能性がある」とAFPなどが指摘しているが、調査結果は調査の仕方によっていかようにも変わるともいえよう。
■医療経済、医療インフラの限界
感染症状を呈している人全員にPCRなど精密診断を行えば馬鹿高い試薬にかかる公的費用負担が膨れ上がるわけで、PCR自体も100%正確ともいえないため、厚労省は、症状がある人全員にPCR検査を実施することはしないとしている。
インフルエンザに対するタミフル、リレンザのように、COVID-19に特効薬があるわけではないし、各地域ごとの医療施設の隔離ベッドにも、医療従事者の、通常の外来及び入院患者への対応業務以外の業務にも限界があるわけで、入院が必要なのはごく一部の重症例の方々なので、インフルエンザ様の症状が出始めた場合は、(高齢者以外では重症化することは少ないので)、まず仕事や学校は休んで、家で栄養を摂りつつ安静にして過ごし、症状が重い場合は地域の相談窓口の指示を受ける、というのが基本だと思う。
参考;
引用元:
ハワイ帰りの愛知県の夫婦の感染源は、ハワイの可能性が高いと思います。
愛知県では11人の感染者数になっており1・2番の中国人を除くと3・4番目がハワイ帰りの夫婦で、5番目から11番目までの感染者はすべてハワイ帰りの4番目の感染者からの1次・2次感染のようであり濃厚接触者が動き回ると広がってしまう典型ですね。
日本の人口が126百万人でインフルエンザの感染者数は、流行した昨シーズンが11百万人で、今シーズンは6.5百万人と少なめで、おのおの8.7%、5.2%の感染率です。
米国の人口が310百万人のうちインフルエンザ症状の感染者数が26百万人ですから8.4%の感染率でやはり多いです。
新型コロナのCOVID-19については、感染者数、死亡者数はまだ少ないので、ここが踏ん張りどころでしょう。症状がある者の自重と各人のマスク・手洗い・換気などの対策が鍵を握りますね。
それくらいピリピリと警戒しているということで、オリンピックの開催ができなくならなけれべよいのですが・・・
日米の昨シーズンと今シーズンのインフルエンザの感染率をお示しくださったように、よはり公衆衛生意識は日本の方が高いようですから、この時世で米国がCOVID-19から無傷であるはずがないし、あえて実態をマスクしているように思えます。
感染場所は、4番目の人が出入りした主に4カ所のスポーツジムやフィットネスで、こうした場所は、発汗が多くタオルなど物を媒介した感染が起こりやすく、また呼吸が激しいのでウイルスが多く飛散しやすいと思います。
今回の騒ぎの前には外国人から日本人のマスクの多さが奇異に映っていたとのことですが、それもPM2.5や花粉症対策などを含め公衆衛生意識の高さのあらわれではないかと思います。
2月19日時点での米国内患者数のうちでCOVID-19の感染割合が3%とすると、インフルエンザ感染者26百万人の3%として単純計算すれば78万人がCOVID-19の感染者となります。多いですね。
中国はまた感染者数の算定基準を変えて感染者数を下げましたが、中国だけでなく米国も数字にマスクしているようですね。
米国ではそもそも、コロナウイルスの検査体制が整っておらず、正確に検査できるのはCDCだけで、これまでは病院で症状を訴える人がCOVID-19の検査を希望しても拒否されて「インフルエンザ」の診断を出しているという実情だったようです。
日本では現在保健所に届出後、地方衛生研究所または国立感染症研究所でPCR法により診断しており、時間もお金もかかりますが。COVID‐19ウイルス特異的な抗原に抗原抗体反応を示す精度の高いキットでなければ、精度の低いキットを用いた簡易検査では正確な診断とはいえず、偽陽性や偽陰性率が高いと検査を行うことがむしろ混乱の原因になってしまうわけですし。
2月23日時点で愛知県では15人の感染者。4番目の人に関連する同じフィトネスジムなどから感染しており、同じジム通いの都市高速道路職員である15人目からの濃厚接触者が50名以上となり高速道路ICが数カ所閉鎖になりました。
スーパー・スプレッディングになりつつあります。
こうしたフィットネスジムの会員が日本では4~500万人に対し米国では5500万人と10倍以上なのでCOVID-19が日本以上に広がってもおかしくありません。
米国の検査体制では概要はわからないものの、インフルエンザとされた患者にはCOVID-19の患者が含まれ死亡につながるケースが相当数あると推測されます。
米国務省は22日に日本全土への渡航警戒レベルを4段階中で下から2番目の「注意を強化」に1段階引き上げたそうですが、米国の方がむしろ実態はCOVID-19の感染地域化している可能性があるのではないかと思います。
ハワイ旅行をして帰国後に愛知県におけるCOVID-19のスーパー・スプレッデイング事例になっているわけですから、日本政府の方こそ、”インフルエンザ風の病気”が猛威を奮っている米国全土への渡航警戒を出す必要が実際にはありそうです。
後から文句を並べ立てることは誰でもできます。
本来であればウイルス戦の実戦に対応できる自衛隊にまかせるのが一番だとは思いますが、これも自衛隊を極端に拒む勢力がいるので踏ん切れなかったと思われます。
その中で日本政府は、外国人を含めて精一杯の対応をしたと評価されるべきだと私も思います。
1月28日から2月7日夜までハワイ旅行で感染した夫婦は、夫が2月3日に風邪のような症状が出て帰国翌日の8日に39度の発熱、13日に症状悪化で入院。14日に陽性と確認されました。ですからハワイで感染したのは、まず間違いないと思います。
また、その妻は13日の夜間に微熱・頭痛の症状が出ており、ハワイでの感染か又は夫からの2次感染と思われます。そしてその妻から次々と感染が起こっています。
現在の愛知における感染者数17人中、最初の2人は武漢在住者なので、これを除くと愛知の感染者は、ハワイ由来の感染者ばかりで15人ということになります。
早く途切れてくれることを願うばかりです。
個々の人々が責任ある行動がとれず、規範意識が乏しい共同体だとあっという間に防疫体制が崩壊してしまいます。隣国がまさにその悪しき例になってしまいました。今や日本人も一人一人の規範意識が問われているということですね。
2009年6月にハワイ旅行から帰った大学院生は東京都内で陽性が判明し、新幹線で京都までマスクをして帰っています。これに関連した2次感染のニュースはありませんでしたが、東京都による新幹線での移動の指導が問題視されました。
空気感染については、ウイルスの大きさが0.1μm以下ですからエアロゾル状態で大きくなっていたとしても5μm以上を防御する一般のマスクでは対応できません。
ですからエアロゾルが高濃度になっている密閉された特殊な環境では感染の可能性が高まります。
新幹線では、連続的に給気ファンが稼働しており外気の新鮮な空気を車内に取り入れると共に排気ファンで車内の空気を強制的に車外へ排出していますので、問題は少ないようです。
やはり咳をする人から距離をとることと発症しないように体の抵抗力を高めることが大事ですね。
また、ウイルスは布や紙の上では長時間生きられないものの、金属やプラスチックなどの上では数時間生きているそうで、電車の手すりや扉、壁にはなるべく触れない方がよいと思います。触れても手を目鼻口にもっていかなければ傷口以外の健康な皮膚から感染することはあまりないので、手をこまめに洗うことですね。
そうしたことを心がけていても、運悪く感染した場合に頼りになるのは自分の免疫応答なので、仰るように体の抵抗力を高めることが肝心ですね。