昨年7月18日の 「京都アニメーション放火殺人事件」から8か月余りとなりました。
この事件は、アニメーション制作に携わっていた才能ある36人の方々が死亡、33人の方々が重軽傷を負い、アニメ制作会社京都アニメーション第1スタジオが全焼という大変痛ましい事件でした。
犯行は凄惨を極め、放火事件としては平成期以降最多の死者数、殺人事件としても戦後最多の死者数であったのだそうです。放火殺人の被疑者の男も犯行時に重傷を負い、2月現在でまだ病院に入院中ということで、事件の背景などの解明が待たれます。
■内外からの弔意
内閣総理大臣安倍晋三首相をはじめ、国内外からは国連のアントニオ・グテーレス事務総長、カナダのジャスティン・トルドー首相、台湾の蔡英文総統といった海外の要人や、駐日フランス大使のローラン・ピック氏、駐日中華人民共和国大使館、駐日スペイン大使館、駐日アメリカ合衆国大使のウィリアム・F・ハガティ氏といった駐日外国公館・外交官などからも多くの弔意が寄せられたのだそうです。
高いクオリティで繊細な描画のアニメーション制作を行ってきた「京アニ」の社員で事件に巻き込まれて死傷した方々へのお見舞、義援金(昨年10月31日に受付は締め切られて最終的な総額は33億4138万3481円に達した) や国内外の「クラウドファンディング」(注)、アニメロケ地で京アニと縁のある数々の自治体からの支援金、著名人や個人などによる寄付などが多数寄せられる中、京アニは「義援金を会社の再建ではなく遺族や被害者に分配する方針である」と発表。
(注)「クラウドファンディング」とは不特定多数の人が通常インターネット経由で他の人々や組織に財源の提供や協力などを行うもので、この事件を受け、米Adobe社の「公にするつもりはなかった」という5万ドルなど2019年7月28日15時(日本時間)時点で228万ドル超の寄付が「京アニ」のために集まった。
■京アニの再建
京アニの発表によれば、「社員数は事件前の176人から137人に減少したものの、退職者はごく少数にとどまり、負傷した33人中27人が職場に復帰。再建費用は義援金に頼らず、火災保険金と自社の蓄えで賄う」という意向のようです。
代表作のひとつ
■「ヴァイオレット・エヴァーガーデン」(TV版シリーズ)(2018年1月放送開始)
「京アニ大賞」初の大賞受賞作である小説「ヴァイオレット・エヴァーガーデン」 原作:暁佳奈( 全3巻上巻・下巻・外伝 2015年12月から刊行)、石立太一監督、2018年1月よりTVアニメ放送開始・Netflixにて全世界配信された人気作品。全13話+Extra Episode (BD・DVD 全4巻)
キャッチコピー
「彼女はまだ知らない、「愛してる」の意味を・・」
「思いを綴る、愛を知るために・・・」など
■「外伝‐永遠と自動手記人形」(2019年9月6日公開)
たまたま事件の前日に完成していた「ヴァイオレット・エヴァーガーデン外伝 -永遠と自動手記人形」は事件後の9月6日から当初「2週間限定公開」予定であったものの、事件の影響から延期や中止すら危ぶまれていたが、追悼の意をこめて「3週間公開」に延長され、上映館数も予定より増えて公開。
犠牲者も含めて制作に参加したスタッフ全員の名前が「外伝」の監督の藤田春香氏の希望によってエンドロールで公表。
劇場公開の1週目の9月13日にはFilmarksとぴあの初日満足度ランキングで1位を獲得し、ファンからの応援を受けて一部劇場では3週目の同年9月27日以降も上映されたそうです。
「外伝」のBD・DVDはつい先日の2020年3月18日にリリース。
■物語のフィナーレとなる「劇場版」(2020年4月24日公開予定)
「ヴァイオレット・エヴァーガーデン」製作委員会は、 事件の影響で2020年1月10日に世界同時公開予定だった「劇場版」の公開を延期し、来月の2020年4月24日にロードショー公開予定。
同作品は昨年の事件で亡くなったアニメーターの方々にとっては遺作にしてライフワークとなってしまいました。
丁寧な心理描写や繊細で高いクオリティの描画、1話1話がオムニバス形式でぞれに物語性のあるエピソードが重ねられ、主人公のヴァイオレットが成長していく過程などが描かれており、日本アニメ作品の中の秀作として長く愛されていく作品だと思います。
亡くなった方々のご冥福をお祈り申し上げます。
引用:
ずっと屋内施設については行かないように自粛していますので少しウズウズしているところです。
武漢肺炎の新規感染状況をにらみながら、ぜひロードショーを観に出かけたいと思います。