前回までのあらすじ
荒川~入間川~多摩川を経由して、東京近郊ぐるっと一周サイクリング計画は右膝の反逆によって挫折してしまった。東京から川越、狭山、入間、青梅を経て川崎に至るおよそ140kmの旅は青梅からさほど遠くない秋川で終焉を迎えたのであった。
そして、一週間後、もくもくと荒川を北上する一人の中年が目撃されたことから今回の話は始まるのであった。
右膝をかばいつつ逆風の中ペダルを回す。
なんだかアフリカのサバンナのような景色なんだけれど、冬の空のせいで陰惨な印象。木だってマンドリルが群がるイメージではなく、首つりっぽい。ここはサイクリングロードの迂回路。いつになったら工事は終わるのだろう。
前回同様、入間大橋から入間川サイクリングロードへ入る。
陰惨な荒川に比べて、日差しが出てきたせいもあって入間川は少し春めいてきた。
前回脚がどうにも回らなくなってコンビニ休憩した50km地点をらくらく通過。「けっ」などと毒づいてみる。「お前なんかの助けはいらないんだよ」などとサイクリングロード上からは見えないコンビニにことさら人とかく雨やんで傘忘る的発言を繰り出してみる。
今日のぼくは先週のヘタレとは違う。背中に羽が生えているようだ、だいぶボロボロだけど。金子光晴を嘆かしめた動物園のダチョウのようだけど。
入間川サイクリングロード終点で昼食。一徹屋という。何頼んでいいのか迷った上(定食が豊富なのだけれど、麺喰いのわたくしは麺一本っす)、塩ラーメンを注文。食す。
毎週日曜日、ひとりラーメンを食べる44歳児。どことなく悲しげな風情がいたたまれない。味はふつう。そこそこ。残念。
ここからは一般道。地図はないが、コンパスを頼りにとにかく西南に向かう。コンパス偉大。No.1。17kmで多摩川着。
多摩川サイクリングロード。なんだか、シューベルトの「魔王」を連想させる風景だ。
しばらくすると、先週痛んだ右膝をかばってたせいか、あいつばっかずるいや、と左脚が口をとがらせてふくらはぎに違和感を訴え始めた。ここから50km走れば終点、多摩川河口、東京湾に達するのである。海に向かってバカヤローなどと叫んだりして、先週のヘタレをここで挽回するとともに過ぎ去った青春を懐かしんだりするのである。
しかし左脚の不平不満はいよいよつのり、ふくらはぎに加えて、膝もシクシク痛み出した。20km進んで、残り30kmというところになって、潔く撤退。あと1時間以上、痛い脚でこぎ続けるモチベーションが湧かない。
結局南多摩駅から電車に乗って帰る。南武線初乗車。今日の走行距離はたったの110km。なんでこんなにヘタレになっちまったんだよ、アニキ(って、誰よ?)。
荒川~入間川~多摩川を経由して、東京近郊ぐるっと一周サイクリング計画は右膝の反逆によって挫折してしまった。東京から川越、狭山、入間、青梅を経て川崎に至るおよそ140kmの旅は青梅からさほど遠くない秋川で終焉を迎えたのであった。
そして、一週間後、もくもくと荒川を北上する一人の中年が目撃されたことから今回の話は始まるのであった。
右膝をかばいつつ逆風の中ペダルを回す。
なんだかアフリカのサバンナのような景色なんだけれど、冬の空のせいで陰惨な印象。木だってマンドリルが群がるイメージではなく、首つりっぽい。ここはサイクリングロードの迂回路。いつになったら工事は終わるのだろう。
前回同様、入間大橋から入間川サイクリングロードへ入る。
陰惨な荒川に比べて、日差しが出てきたせいもあって入間川は少し春めいてきた。
前回脚がどうにも回らなくなってコンビニ休憩した50km地点をらくらく通過。「けっ」などと毒づいてみる。「お前なんかの助けはいらないんだよ」などとサイクリングロード上からは見えないコンビニにことさら人とかく雨やんで傘忘る的発言を繰り出してみる。
今日のぼくは先週のヘタレとは違う。背中に羽が生えているようだ、だいぶボロボロだけど。金子光晴を嘆かしめた動物園のダチョウのようだけど。
入間川サイクリングロード終点で昼食。一徹屋という。何頼んでいいのか迷った上(定食が豊富なのだけれど、麺喰いのわたくしは麺一本っす)、塩ラーメンを注文。食す。
毎週日曜日、ひとりラーメンを食べる44歳児。どことなく悲しげな風情がいたたまれない。味はふつう。そこそこ。残念。
ここからは一般道。地図はないが、コンパスを頼りにとにかく西南に向かう。コンパス偉大。No.1。17kmで多摩川着。
多摩川サイクリングロード。なんだか、シューベルトの「魔王」を連想させる風景だ。
しばらくすると、先週痛んだ右膝をかばってたせいか、あいつばっかずるいや、と左脚が口をとがらせてふくらはぎに違和感を訴え始めた。ここから50km走れば終点、多摩川河口、東京湾に達するのである。海に向かってバカヤローなどと叫んだりして、先週のヘタレをここで挽回するとともに過ぎ去った青春を懐かしんだりするのである。
しかし左脚の不平不満はいよいよつのり、ふくらはぎに加えて、膝もシクシク痛み出した。20km進んで、残り30kmというところになって、潔く撤退。あと1時間以上、痛い脚でこぎ続けるモチベーションが湧かない。
結局南多摩駅から電車に乗って帰る。南武線初乗車。今日の走行距離はたったの110km。なんでこんなにヘタレになっちまったんだよ、アニキ(って、誰よ?)。