ジャズとボサノヴァの日々

Days of Jazz and Bossa Nova

Return To Foreverの初期ライブ映像は、まるで未来との交信儀式のようだ

2015-03-07 20:00:00 | 500 Miles High
500 Miles High performed by Return To Forever

指揮者 佐渡裕氏による著書「棒を振る人生~指揮者は時間を彫刻する」(PHP新書951)を読んでいて、次のようなフレーズに出会った。彼の憧れの指揮者であるレナード・バーンスタイン氏と小澤征爾氏について、佐渡氏は「彼らが持つ輝きと芸術的な高みに触れ、同じ指揮台に上がっていても、あの人たちだけしか浴びていない音の響き、空気の振動、あるいは当てられた光がある」と感じて一流の指揮者になる努力をひたすら続けたと言う。

それは道を究めた芸術家だけが経験し得る「ゾーン」と表現することも出来るだろう。周りのことなど視野に入らず、経験や技術、知識を遥かに超えた次元で、巨匠達は音楽の神との壮絶な共同作業を繰り広げているのかも知れない。

昨日ゲイリー・バートン/Gary Burtonとリターン・トゥ・フォーエバー/Return To Forever(以下、RTF)の記事を書いた直後、偶然手に取った佐渡氏の著書から、さすが世界で活躍する指揮者は音楽芸術の本質を言い当てているなぁと、思わず唸ってしまった。


我々リスナーがRTFの音楽作品で垣間見たものは、彼らだけが知りえる至高の芸術領域の一部なのかも知れない。彼らだけが知りえる音の色彩や空気のうねり、そして躍動感や官能。それは、それまでのJazzが提供できるものとは大きくかけ離れた未来体験だった。


だが、初期RTFメンバーによるライブの興奮を体験した日本人は限られていると思う。RTFの当時の映像を観るのは無理だろうと諦めていたら、流出と思わしき映像に遭遇した。しかも曲は"500 Miles High"である。タイムコードが残っている代物なので、いつ削除されるか分からないが、当時RTFに心酔していた音楽ファンは凄まじいインタープレイにもう一度興奮して頂きたい。フローラ・プリン/Flora Purimこそ参加していないが、圧倒的演奏力で新しいJazzの到来を宣言したマイスターたちの素顔が記録されている。




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