ジャズとボサノヴァの日々

Days of Jazz and Bossa Nova

3人の女性ボーカリストが、3ヶ国語で歌い継ぐ3月の水

2015-03-21 22:00:00 | Águas de Março
Les eaux de mars (Águas de Março) performed by Monica Freire, Ariane Moffatt et Coral Egan




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週末の夜はNossa Alma CantaのCorcovadoとワインでリラックス

2015-03-20 22:00:00 | Corcovado
Corcovado performed by Nossa Alma Canta feat. Claudio Tuma




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Werner Müllerが手がけた、美しくエネルギッシュに踊るためのMas Que Nada

2015-03-19 22:00:00 | Mas Que Nada
Más Que Nada perfomed by Werner Müller and his Orchestra

1950年代から60年代にかけてにラテンダンスに嵌った人ならWerner Müller/ウェルナー・ミューラーは覚えていなくても、リカルド・サントスの名前は記憶にあるだろう。日本では、1950年代末に「タンゴ 真珠とり」がリカルド・サントスの名前でヒットしたため、タンゴ楽団の指揮者のようなイメージもあるが、実はリカルド・サントスはドイツの音楽家ウェルナー・ミューラーがラテン・ムードの楽団を率いる時に使った名前だ(ワーナー・ミュージックのウェッブサイトより)。



ところが、今日紹介するMás Que Nadaの収録されたアルバム"The Latin Splendor Of Werner Müller"を発売した1970年の頃には、ラテン音楽集であってもウェルナー・ミューラーの名義で作品をリリースしていたようだ。大人の事情があったのだろう。

長年ダンス音楽に携わってきたためか、彼の手がけたMás Que Nadaはホーンとオルガンのバランスが程よく調和していて、フロアの踊り手たちを力強くエレガントに躍らせる仕上がりになっている。



CDは入手困難の傾向に。市場にある時に買うべし。


Latin Splendor of on the Move
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米国にもSo May It Secretly Beginをレパートリーにする歌手がいる

2015-03-18 22:00:00 | Pat Metheny
So May It Secretly Begin performed by Anne Walsh

So May It Secretly Beginに歌詞をつけて歌う歌手は以前紹介したアンナ・マリア・ヨペックが有名だが、米国でもレパートリーとしている歌手がいた。その歌手の名前はアン・ウォルシュ/ Anne Walsh。

アンの生い立ちを彼女のホームページで見てみよう。父親はマサチューセッツ州のオペラ劇団で活躍するバリトン/テナー歌手だったのでアンは幼い頃から音楽に親しんでおり、両親は自分の娘が将来歌手になると確信していたという。高校を出るとカレッジでヴォイス・セラピストを目指すも音楽家になる夢を諦めきれず、卒業後は音楽活動のためロサンゼスに移り住む。昼はヴォイス・セラピーで生計を立て、夜は歌うチャンスを与えてくれるライブハウスであれば何処でも歌っていたという。


一度はロックバンドで歌うことも試みるが、自らの声質がロックには相応しくないとしてOrange Coast College(OCC)でジャズを学び始める。OCCのビッグバンドで歌っていた時のことだ。観客席にいたパーカショニストからジャズクラブCarmello'sでオーディションを受けることを勧められる。そこで歌い始めて出会ったのがブラジル音楽だった。アントニオ・カルロス・ジョビン/ Antonio Carlos Jobim、ドリ・カイミ/Dori Caymmi、そしてフローラ・プリン/ Flora Purim。アンはブラジル音楽だと伸びやかに歌えることに気付いたという。

一度はプロの道でキャリアをスタートさせたアンだったが、彼女は音楽をもっと学ぶ必要があると感じてカレッジでベル・カント・スタイルの声楽を学び始める。「オペラは私にとって大きな挑戦だった。それまで経験したことのないトレーニングで鍛えられたから、今の自分の歌声がある」と彼女は振り返る。

声楽の先生の勧めでアンはオペラやミュージカルのオーディションを受け、いくつかの舞台を経験するも、カレッジ卒業後は本来のキャリアに戻り、地元のクインテットで歌い始め、将来の夫となるピアニストTom Zinkと出会う。夫と国内外で活発に音楽活動を展開、徐々に名前が知れ渡り、2013年には夫のトムとブラジルのChapada Jazz Festivalへ招待されパフォーマンスを披露している。

2009年にリリースしたアルバム"Pretty World"はグラミー賞のベストアレンジ部門にノミネートされるなど、作品への評価も高まっている。そして彼女のレパートリーのひとつ、So May It Secretly Beginはこのアルバムに収録されている。






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エリス・レジーナが愛したCorrida de Jangada

2015-03-17 22:00:00 | A.C.Jobim
Corrida de Jangada performed by Elis Regina


エリスは"Corrida de Jangada"を何度も録音している。筆者の知る限りでは初出が1968年の"Elis Especial"、次が1969年の"Elis Regina & Toots Thielmans"、同年の"Elis Regina in London"ではアルバムがこの曲で始まっている。

一方でこの曲が収録されたライブ音源は多分2012年にリリースされたUM DIA (20 de Julho 1979)のみだと思う。何故ライブ音源を発表しなかったのか知る由もないが、この曲を歌うエリスの表情がネットで観られる我々は幸せだと思う。



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ヨハンナ・グリュスネルはA Felicidadeでクールに盛り上がる

2015-03-16 22:00:00 | A Felicidade
A Felicidade performed by Johanna Grüssner

A Felicidadeは映画「黒いオルフェ」(1959年)の主題歌として作られた曲で"幸せ"という意味を持つ。「悲しみには終わりがなく、幸せには終わりがある」という切ない歌詞は、リオのカーニヴァルに参加するというほんの数日の幸せのために毎日必死に働いてお金を貯める人々の気持ちを歌ったもの。

アントニオ・カルロス・ジョビン/ Antonio Carlos Jobim作曲、ヴィニシウス・ジ・モライス/ Vinicius de Moraes作詞というボサノヴァの名曲を次々に生み出した巨匠二人の作品なだけに、ボサノヴァの名曲として語られることが多いが、筆者はどちらかと言うと1920年代に生まれたサンバ・カンソン(スローなサンバ)の流れを汲んでいると考える。

ジョアン・ジルベルトが奏でたボサノヴァは繊細で穏やかな空気を運んでくれるのだが、この曲は歌を聞かせながらも踊りださずにいられないリズムを刻んでいる。つまり歌詞に込められた両義性(悲しみと幸せ)が曲の構造に織り込まれていると思うのだ。

ヨハンナ・グリュスネル/ Johanna GrüssnerがストックホルムのジャズクラブFaschingで披露したA Felicidadeは情熱的な伴奏をバックに、彼女らしいスキャットを駆使したクールな仕上がりになっているのが面白い。





A Felicidadeのスタジオ録音はこのアルバムで楽める。


Come Rain Or Come Shine



参考までにオリジナルのA Felicidadeも紹介しておく。



黒いオルフェを聴かずしてボサノヴァを語ることなかれ


黒いオルフェ


faschingウェッブサイト
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ノッサ・アルマ・カンタのエスターテを聴いていると、いつしか時が過ぎ去っている

2015-03-15 22:00:00 | Estate
Estate performed by Nossa Alma Canta

ノッサ・アルマ・カンタ/Nossa Alma Cantaは1998年にイタリアで結成されたボサノヴァユニットで、正式なメンバー構成は分からないが、各種資料を読んでいるとギター/キーボードのRenato Grecoと女性ボーカルのRosa Bittolo Bonが中心になって音作りをしているようだ。


オフィシャルサイトにはサンプリングやループなどの技術を駆使してボサノヴァを再構築すると記載されているが、こうしてライブ映像を観ると演奏力もしっかりしている。


特にしっとりした曲調のエスターテ/EstateはボーカルのRosaの声質にマッチしていて、ゆったりとした時間を過ごせる仕上がりだ。



Nossa Alma Cantaオフィシャルサイト
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イスラエルのLast of Songsが奏でるサウダージ

2015-03-14 22:00:00 | Chega de Saudade
No More Blues performed by Last of Songs

Last Of Songsは、女優で歌手のIrit Dekelとジャズ・ミュージシャンのEldad Zitrinによるイスラエルの音楽ユニットで、ジャズや民族音楽、ポップミュージックをミックスさせたユニークな音楽性を特徴としてる。そのLast of SongsがNo More Bluesをカバーしているので紹介したい。


イントロからアストル・ピアソラ/Astor Piazzollaの"Libertango"から拝借したようなリフレインでリスナーを驚かしてくれる。"Libertango"はピアソラが母国アルゼンチンの政治に嫌気をさし、イタリアで演奏活動を行っていた時に作った曲で、発表当初は異端視されていたと記憶している。日本ではCMに使われて一躍有名になったが、決してオーソドックスなアルゼンチン・タンゴとは言えない。

Last of Songsの演奏を聴いていると、もしやピアソラはイタリア時代にイスラエルの伝統的なジューイッシュ音楽であるクレズマーやハシディックに影響を受けたのではないかと想像が膨んでくる。



Last of Songsオフィシャルサイト

参考のために有名なクレズマーバンドの映像を紹介しておこう。


最後にピアソラ本人の演ずるLibertangoを堪能して欲しい。


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モニカ・ゼタールンド、ボサノヴァを唄う

2015-03-13 22:00:00 | Corcovado
Corcovado performed by Monica Zetterlund

スウェーデンを代表するジャズボーカリストのモニカ・ゼタールンド/Monica Zetterlundは、1937年、Varmland地方にあるHagforsという小さな町で生まれた。両親が楽器奏者だった関係からか、幼い頃からビリー・ホリディ、エラ・フィッツジェラルド、そして特にサラ・ヴォーンを聴いて育つ。ラジオやレコードからジャズを学び始めるが、最初は英語が分からないまま、メロディ、リズムやフィーリングを真似ていたという。

社会に出てシングルマザーとなったモニカは、歌手になることを夢見ながら昼は電話交換手の仕事に従事、夜は父の反対を押し切ってストックホルムのナイトクラブでジャズシンガーとして唄う日々を送っていた。一度はアメリカで歌うチャンスを得たのだがあえなく失敗、本国に戻っても夢を諦めきれないモニカはジャズにスウェーデン語の歌詞をつけて歌い始める。著名な詩人ベッペ・ソルゲルに書いて貰った詩にモニカが曲を付けた「歩いて帰ろう」が大ヒット。一躍スターダムにのし上がる。


やがてモニカの名前はアメリカのジャズ関係者にも知れ渡ることとなり、1964年、モニカが27歳のときヨーロッパ・ツアーでストックホルムに立ち寄ったビル・エヴァンスと"Waltz for Debby/ワルツ・フォー・デビィ"を録音、このアルバムが彼女の代表作としてジャズの歴史に残ることになった。

彼女が挫折を繰り返しながらもジャズ界のピークに上り詰めるまでの半生は映画「ストックホルムでワルツを」をご覧頂きたい。モニカ役のエッダ・マグナソンの演技と歌唱力が素晴らしく、これからジャズを聴いてみようという方にも楽しめる映画だと思う。以下の写真は映画のワンシーンから。


"Waltz for Debby"以降も時代の流れに合わせ幾多のアルバムを発売するが、酷い脊柱側彎症のため1999年に引退。晩年は車椅子の生活を余儀なくされた。2005年、ストックホルムの自宅マンションにて発生した火災で、悲劇的な死を遂げる。

彼女のCorcovadoを聴くたびに、その壮絶な人生を思い出さずにはいられない。




モニカ・ゼタールンドの代表作と言えばこれ。


ワルツ・フォー・デビー+6


映画のサウンドトラックも素晴らしい。


ストックホルムでワルツを オリジナル・サウンドトラック



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フェルナンダ・タカイはボサノヴァをアップデートして次世代へ歌い継ぐ

2015-03-12 22:00:00 | O Barquinho
Kobune performed by Fernanda Takai

フェルナンダ・タカイ/Fernanda Takaiは日系三世のブラジル人ミュージシャンで、'90年代からポップ・ロックバンドPato Fuのボーカリストとしてミナス・ジェライス州ベロ・オリゾンチを拠点に活動を行っている。


ポップミュージシャンとして世界で活躍する一方で、彼女は2009年にナラ・レオンのカバーアルバム「彼女の瞳が輝く処〜ナラ・レオン・ソング・ブック」をリリースするなど、ボサノヴァを次の世代に歌い継ぐ活動も行っている。実はこのアルバムの日本盤のみのボーナストラックとして日本語歌唱による"Kobune/O barquinho"が収録されている。

彼女は日本人の祖母の影響で今でも日本語の勉強を続けているとか。先日紹介したサブリナ・ヘルシ/Sabrina Hellshの歌はフェルナンダの曲をフォーマットにしているのだろうな。

今日の映像は夫でPato Fuのギタリストであるジョン・ウリョア/John Ulhôaとのスタジオ・ライブ。フォーキーで清々しい味わいの"O barquinho"ならボサノヴァを全く知らない層に訴求できると感じた。ボサノヴァを生かし続けるためにはオリジナルフォーマットの継承と共に、時代に合ったアップデートが必要なのだ。

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