「ちょっと、そこの席どいてくれる!」
「えっ、僕座ってるんですけど・・・」
「そこ、あんたの席じゃないでしょ!」
「えっ、僕ずっとここに座ってましたけど・・・」
「いいからどきなさいよ!」
「いや、そんなこと言われてもこの席、気に入っていますから・・・」
「知らないわよ!どきなさい!」
「う~ん、分かりました。けど、僕の席はどこですか?」
「そんなこと私が知るわけないでしょ!バ~カ」
「はぁ~、それもそうですね」
その席は気に入っていたので、少しごねてやった。
『2年も3年もの間、そこに座っていたんだから簡単には明け渡せるもんか!』
だから、その席の横にじっと座っていてやったけど、その席を譲ってくれそうにはない。
『仕方ない・・・。結構気に入ってたんだよな。座り心地も良かったし、いろいろ眺めも良かった。でも、違う人の席ならどかなきゃね』
今までずっと座っていたその席は、どうも僕の席ではなかったようです。
『で、オレの席はどこになるんだ?』と周りをずっと見渡してみる
『違う、違う、違う・・・、もしかして、席ないんじゃないの?』
ずっとずっと後ろの方にポツンと一つだけ空いている席があった。
『え~、ここがオレの席かよ。一番後ろかよ。ここじゃ何にも見えないじゃんか・・・』
一番後ろのあまり前が見えない席がどうやら本当の僕の席だったようです。
勝手に座っていたとは言え、今までいい席に座っていただけに少し不満足な席です。
でも、そこが僕の本当の席なら仕方ないですね。
いつかまた前が空いたらすぐに移動しようと思うけど、しばらくは空きそうにはない。
『こんな席じゃ、イヤだな・・・』と“こころ”の中でつぶやいた。
『仕方ないな、ここがオレの本当の席なんだから。今までちょっと前に出過ぎていたみたいだな』
一番後ろが僕の本当の席。
また、その席に戻ることになってしまったみたいです。
『本当はイヤだけど、元の席に戻るとするか・・・』
2006・1・30
From Ken-O