昨日、9月に難病で亡くなられた指揮者「堤俊作」先生(享年66歳)のお別れの会(紀尾井ホール)に行ってきました。
私はかつて鹿児島大学オーケストラでバイオリンを弾いていました。
私が大学1年のとき、ジュネーブ国際コンクールで最高位を獲得なさった堤先生を、
鹿大オーケストラが招き、19歳の私は、初めて一流のプロの指揮者の指導を受け、強烈な衝撃を受けました。
ピアノの世界しか知らなかった私。
ピアノの勉強では体得できない、交響曲の根幹(作曲家、楽譜の解釈・構成等)、
そして何より気迫と集中力を知り、世界が一変したのを覚えています。
それが、今の私の音楽の基礎になっていることは言うまでもありません。
卒業後も、俊友会オケで皇太子殿下とステージでご一緒させて頂きました。
一番印象に残っているのは、ベートベンの解釈。
ベートーベンにおいては、交互に繰り返されるf(フォルテ)とp(ピアノ)、
それは常にsubito(突然に)であること。ベートベンの8分音符の長さ。等々・・
これらの特徴を完璧に演奏しなければベートーベンにならない。
裏を返せば、これらを守りさえすればベートベンの音楽になる。
この解釈は、当時の私には衝撃でした。
楽譜に忠実な解釈が作り出す、完全な音楽。
至極当たり前のことだけど、完璧にしなければ完全な音楽にはならない。
その厳しさ。妥協は存在しない。そして完全になったときの美しさ。その意味。
その他、沢山のことを身体に染み込ませて頂きました。
演奏会後、九州から駆けつけたOB達と何十年ぶりかで集まりました。
指揮者「下野竜也」さんも同席して、先生に献杯しました。
大学の頃、先生と打ち上げで盛り上がったときのように。
心から哀悼の意を表します。長年のご指導ありがとうございました。
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