昔はよくみかけたものだが、最近はあまりみなくなったオカトラノオ。
近くの道端でみつけてうれしくなった。あまり虎の尻尾にはみえないが、白い花が雪崩れるようにこぼれて、宝石のようにもみえる。散歩する者にとってはうれしい贈り物だ。
俳句の世界では虎尾草として夏の季語になっている。「とらのをの尾の短きへ日が跳ねて 大石悦子」。日の光をあびているトラノオの姿をよく表している。
(2019-06 川崎市 路傍)
オカトラノオは平地から低い山地の日当たりのよい草地や道端に見られる多年草です。冬は地上部が枯れます。茎はまっすぐに立ち上がり、多数の卵形の葉をつけます。茎の先端に長さ15cm前後の花穂をつけ、多数の花を咲かせます。花穂は途中で横向きに曲がっているのが特徴です。葉や茎に短い毛があります。地下に細長い地下茎が多数あり、これを伸ばしてふえていきます。そのため群生しているのが普通です。
※科名:ヤブコウジ科で分類される場合もあります。
基本データ
園芸分類 草花,山野草
形態 多年草 原産地 ロシア東部から朝鮮半島、日本列島、中国東部から南部、台湾
草丈/樹高 40~100cm 開花期 7月~8月
花色 白
虎尾草
やまかぜに堪へ虎尾草に目をおとす 瀧春一 菜園
夕虹や虎尾草はまだをさなかり 青柳志解樹
白揺れて少し虎尾草らしくなる 山田庄蜂
虎尾草に水やり一日外へ出ず 小熊一人
虎尾草に黒姫山の霧匂ふ 亀田英子
虎尾草のはつかなものを蝶が吸ふ 藤田湘子
虎尾草の咲くべく木曽の高曇 宮坂静生
虎尾草の思ひ思ひに尾を振りし 斎藤 幸一
虎尾草の風に払子を振るごとし 高澤良一 さざなみやっこ
虎尾草や日の通りみち子が通る 磯貝碧蹄館
虎尾草や鐘掛岸は屏風立ち 本田一杉
とらのをの尾の短きへ日が跳ねて 大石悦子