野の花 庭の花

野の花や山の花は心を慰めてくれます。庭園に咲き誇る花は心をはなやかにしてくれます。

今では珍しくなったレンゲソウ

2019年05月06日 16時35分07秒 | 
まだ奇跡的に残されている休耕田をみつけた。
田んぼ一面にレンゲの花が今を盛りと咲いていた。
昔はどこでも見かけた風景だったが
今では住宅と駐車場の隙間にどうにか生き延びているだけである。
水を張った田んぼをみることもきわめて珍しくなったのである。
(2019-05 神奈川県川崎市 田畑)




ゲンゲ

ゲンゲ(紫雲英、翹揺 Astragalus sinicus)はマメ科ゲンゲ属に分類される越年草である。中国原産。レンゲソウ(蓮華草)、レンゲとも呼ぶ。

特徴
湿ったところに生える。全体に柔らかな草である。茎の高さ10-25 cm。根本で枝分かれし、暖かい地方では水平方向に匍匐して60-150 cmまで伸びる場合もある。茎の先端は上を向く。また、根本から一回り細い匍匐茎を伸ばすこともある。葉は1回羽状複葉、小葉は円形に近い楕円形、先端は丸いか、少しくぼむ。1枚の葉では基部から先端まで小葉の大きさがあまり変わらない。花茎は葉腋から出てまっすぐに立ち、葉より突き出して花をつける。花は先端に輪生状にひとまとまりにつく。花色は紅紫色だが、まれに白色(クリーム色)の株もある。

利用・文化
ゲンゲの花は、良い「みつ源」になる。蜂蜜の源となる蜜源植物として利用されている。ギリシア神話では、祭壇に捧げる花を摘みに野に出た仲良し姉妹の話が知られている。ニンフが変身した蓮華草を誤って摘んでしまった姉のドリュオペが、代わりに蓮華草に変わってしまう。「花はみな女神が姿を変えたもの。もう花は摘まないで」、と言い残したという。

日本における利用・文化
春の季語。ゆでた若芽は食用にもなる(おひたし、汁の実、油いため他)。民間薬として利用されることがある(利尿や解熱など)。ゲンゲの花を歌ったわらべ歌もある。「春の小川」などが知られている。「手に取るな やはり野に置け 蓮華草」は、江戸時代に滝野瓢水が詠んだ俳句。遊女を身請しようとした友人を止めるために詠んだ句で、蓮華(遊女)は野に咲いている(自分のものではない)から美しいので、自分のものにしてはその美しさは失われてしまうという意味。転じて、ある人物を表舞台に立つべきではなかったと評する意味合いでも使われる(荒舩清十郎の項目を参照)。

乳牛を飼っているところでは、飼料とした。休耕田の雑草防止策にもなった。ゲンゲの生える中に不耕起直播して乾田期除草剤を使わないですむ方法、ゲンゲの枯れぬうちに入水、強力な有機酸を出させて雑草を枯死させる方法がある。ただしゲンゲは湿害に弱く、不耕起では連作障害が起きかねない。21世紀に入ってからは、外来種のアルファルファタコゾウムシによる被害がめだつ。

ゲンゲ畑

ケンゲ畑、三重県桑名市
化学肥料が自由に使われるようになるまでは、緑肥(りょくひ = 草肥:くさごえ)および牛の飼料とするため、8-9月頃、稲刈り前の水田の水を抜いて種を蒔き翌春に花を咲かせていた。これはゲンゲ畑と呼ばれ「春の風物詩」であった。化学肥料は、20世紀に入ると生産が本格化したが、原材料が軍事物資という側面があり農業分野で大量に使用することがはばかられていた。このためゲンゲを水田や畑に緑肥として栽培することで化学肥料の使用を抑える手法が取られていた。戦後は、化学肥料の大量生産や使用が自由になったこと。また、保温折衷苗代の普及によりイネの早植えが可能になり、緑肥の生産スケジュールと被るようになったことも[1]、ゲンゲ畑が急速に姿を消す原因の一つとなった。

窒素固定は、植物が大気中の窒素を取り込んで窒素肥料のようなかたちで蓄える行われる。ゲンゲは、根には球形の根粒がつく。ゲンゲの窒素固定力は強大で10 cmの生育でおおよそ10 アール 1 t の生草重、4-5 kg の窒素を供給し得る。普通15ないし20 cmに成長するからもっと多くなるはずである。



蓮華は俳句の世界では好まれた季題である。
ほとんど無数の句があるようだ。
「父祖の地や今年げんげの衰ふる 角川源義」は言いえて妙である。



紫雲英 の例句

あぜ道のうねり見えけり蓮華草 政岡子規 れんげ
いちめんのげんげに風の波起伏 上村占魚
うつし世に人こそ老ゆれげんげ咲く 三橋鷹女
おほらかに山臥す紫雲英田の牛も 石田波郷
げんげ たんぽぽ まだ煙吐く汽車通る 伊丹三樹彦
げんげ、私に手を引かれたいあなたの子で 荻原井泉水
げんげたんぽぽおくの山川越えて来し 村山故郷
げんげたんぽぽ尾さばきのだるい牛 鷹羽狩行
げんげの環首よりはづす父の前 伊丹三樹彦
げんげの雨昼は灯の来ぬ家つつむ 大野林火 白幡南町 昭和二十九年
げんげや菜の花やどの道ゆくも湖へ出る道 荻原井泉水
げんげんに座して女のものを喰ふ 政岡子規 れんげ
げんげんに弁当喰ひ居る女かな 政岡子規 れんげ
げんげんに顔うづめきく遠閑古 大野林火 冬雁 昭和二十二年
げんげんの下で仏は生れけり 政岡子規 れんげ
げんげんの実になる頃や時鳥 政岡子規 時鳥
げんげんの花うちおこす痩田かな 政岡子規 れんげ
げんげんの花に坐し利根をあかず見る 村山故郷
げんげんの花のさかりに関の雨 阿波野青畝
げんげんの芽の出そろへる初日かな 永田耕衣
げんげんをむしりて蔽ふ魚籠の鮒 富安風生
げんげんを打ち起したる痩田哉 政岡子規 れんげ
げんげんを見てむらさきの遠雪嶺 大野林火 冬雁 昭和二十二年
げんげ伸びきつてげんげ田盛り上る 山口誓子
げんげ咲きこの家母者健やかに 村山故郷
げんげ咲きこれの水照りがかなしかり 三橋鷹女
げんげ咲く朝むつ橋のくち柱 角川源義
げんげ摘む周の天下にあらざりき 星野麥丘人 2004年
げんげ摘む子等にも出会ひ旅つゞけ 星野立子
げんげ田と教へしがまだうす緑 伊藤白潮
げんげ田と梨の花棚平らなり 山口誓子
げんげ田にいつも白雲せりあがる 大野林火 冬雁 昭和二十二年
げんげ田にすこし離れて遊戯佛 伊藤白潮
げんげ田にもの抛りつぎ架線工 鷹羽狩行
げんげ田にスカート拡ぐ無電柱 山口誓子
げんげ田に人を思ひしは遠きむかし 三橋鷹女
げんげ田に古郷の家や遺子に逢ふ 角川源義
げんげ田に吾の居し跡経し時間 津田清子 礼拝
げんげ田に吾も脇臥北枕 山口誓子
げんげ田に子が入りて先づまろびけり 松崎鉄之介
げんげ田に容れられざりしげんげあり 相生垣瓜人 明治草
げんげ田に寝て欲しきもの双翼 津田清子
げんげ田に寝て白雲の数知れず 大野林火 冬雁 昭和二十二年
げんげ田に昔の煉瓦火葬場 山口誓子
げんげ田に来れば名張の山も見ゆ 右城暮石 句集外 昭和四十二年
げんげ田に湯を棄てて去る魔法壜 鷹羽狩行
げんげ田に牛を曳き出し終生唖 三橋鷹女
げんげ田に立てしその日の電柱点く 鷹羽狩行
げんげ田に自転車半没 あそび呆ける 伊丹三樹彦
げんげ田に花の三角波が立つ 鷹羽狩行
げんげ田に花菜田隣り入間川 角川源義
げんげ田の一つ部屋にて飲む食ふ 鷹羽狩行
げんげ田の夕かげり来し頃著きぬ 星野立子
げんげ田の広大これが美濃の国 山口誓子
げんげ田の色を夕焼が奪ひけり 鈴木真砂女 卯浪
げんげ田の電柱どれも傾ぎたる 岡本眸
げんげ田の鷺や直ちに天へ飛ぶ 山口誓子
げんげ田はいま誰のもの花盛り 右城暮石 上下
げんげ田はまろし地球のまろければ 三橋鷹女
げんげ田へみつばち放ちあるじ居ず 大野林火 冬雁 昭和二十二年
げんげ田へ女がさきに坐りけり 雨滴集 星野麥丘人
げんげ田や墓群隣る海女の小屋 角川源義
げんげ田や童話作家を訪ねゆく 渡邊白泉
げんげ田や鋤くあとよりの浸り水 臼田亜郎 定本亜浪句集
げんげ田をはじめ一村水浸し 鷹羽狩行
げんげ田を抜歯済みたる少女来る 飯田龍太
げんげ田を朝昼通り夜に通る 鷹羽狩行
げんげ田を洗足で歩きたがるかな 右城暮石 句集外 昭和四十六年
げんげ田を見尽くし遍路満願寺 山口誓子
げんげ田を鋤く一雨の後に出て 鷹羽狩行
げんげ田を鋤く帰らざる人のごと 森澄雄
げんげ田を鋤けとつばめにせかされて 長谷川素逝 村
げんげ畑そこにも三鬼呼べば来る 橋本多佳子
げんげ畑坐ればげんげ密ならず 橋本多佳子
げんげ茅花河原ひねもす空曇らず 村山故郷
げんげ野あり わが手で掴む後ろ髪 伊丹三樹彦
げんげ野に腰おろしても税重し 伊丹三樹彦
げんげ野に踏み入る 衰歩を 酔歩とも 伊丹三樹彦
げんげ野の 遍満光の 飛鳥地蔵 伊丹三樹彦
げんげ野を眺めて居れど夫はなし 桂信子 月光抄
げんげ野を行くバス車体丸出しに 右城暮石 虻峠
こころ堪ふ古りしげんげの畦をゆき 三橋鷹女
この道に左右無し左右の紫雲英田よ 香西照雄 対話
とぶ鮒を紫雲英の中に押へけり 水原秋櫻子 葛飾
とほる亡しげんげの畦を踏む時も 石田勝彦 雙杵
もう咲いてげんげすててある 荻原井泉水
もの出来ぬ痩田うつくし蓮華草 政岡子規 れんげ
セーラー姿もう今年だけ紫雲英風 中村草田男
トレンチを嫌がるげんげ減りにけり 阿波野青畝
一と刈りもせぬげんげ田に 利鎌 載る 伊丹三樹彦
一刷の紅は紫雲英田をちかたに 山口青邨
一枚の編み返しものげんげ鋤き 鷹羽狩行
一過せり濃きげんげ田もみづうみも 伊藤白潮
三日月に誓ふて交すげんげかな 渡邊水巴 白日
三角を忌まずげんげの三角田 山口誓子
上がり来し下から見えぬげんげ田へ 右城暮石 虻峠
上ヶ土のあひにわりなし蓮華草 政岡子規 れんげ
人知れず通ふ河原のげんげかな 上村占魚 鮎
低き山越しの没り日にげんげ畦 右城暮石 句集外 昭和三十九年
低鼻豊頬げんげ田に寝かされて 山口誓子
何十年入りしこと無きげんげ田よ 右城暮石 句集外 昭和四十一年
何犯すらむ紫雲英田に降り立ちて 中村苑子
先着の女二人はげんげ田に 右城暮石 散歩圏
入学の一と月経たる紫雲英道 橋本多佳子
切岸へ出ねば紫雲英の大地かな 中村草田男
十本の指ありげんげ摘んでゐる 三橋鷹女
千枚田げんげの紅をなしくづし 鷹羽狩行
半ば以上欠けしげんげ田花盛り 右城暮石 句集外 昭和三十五年
南無日蓮安房は妙法蓮華草 政岡子規 れんげ
印南野はげんげ日和よ遺影笑ふ 伊丹三樹彦
古き国古き彩してげんげ咲く 右城暮石 上下
右によけ左によけて蓮華草 政岡子規 れんげ
地は暮れて紫雲英田一枚微光せり 相馬遷子 雪嶺
地蔵照る 投げ込みげんげ一束分 伊丹三樹彦
売る花の如く紫雲英を束ね置く 山口誓子
夏に入つてげんげんいまだ衰へず 政岡子規 立夏
妻が長女に譲りしルビー花紫雲英 中村草田男
娯楽なき鳥にげんげを薙ぎ払ふ 鷹羽狩行
子を負はねばげんげ田の妻ひるがへる 伊藤白潮
富士の雪解けぬまげんげさかりなる 渡邊水巴 白日
富士山の裾野げんげの大平面 山口誓子
富士裾野げんげを刷毛で塗りしほど 山口誓子
山をあふれ~水辺のげんげかな 渡邊水巴 白日
山畑に紫雲英咲かそうと人々 金子兜太
山間ヒの天げんげ田に展けたる 右城暮石 句集外 昭和五十五年
岬のげんげ田 暗色 怒濤音をやどし 伊丹三樹彦
巡礼美貌げんげ彼方に鳰潜き 飯田龍太
往くさ来さ曲るげんげの畦いくつ 下村槐太 天涯
恥づかしぎものげんげ田に捨ててあり 波多野爽波
愁ひ身にあれば紫雲英の野は白し 三橋鷹女
我庭にげんげん咲けるうれしさよ 政岡子規 れんげ
我庭のげんげん肥えて色薄し 政岡子規 れんげ
手に余るげんげんの束捨にけり 政岡子規 れんげ
手に取るなやはり野に置け蓮華草 政岡子規 れんげ
手帖又落すげんげに寝ころべば 阿波野青畝
捨ててある紫雲英の束や夕日射す 中村苑子
摘めど摘めどげんげ尽きねばかなしかり 三橋鷹女
摘草やげんげんの束茅花の束 政岡子規 摘草
旅の真似するげんげ田に雨つのり 伊藤白潮
日々げんげ色その田より修道女 鷹羽狩行
木もなしに小庭は嫁菜蓮華草 政岡子規 れんげ
桜島いまし雲ぬぎ紫雲英の上 山口青邨
極楽の道へ迷ふや蓮華草 政岡子規 れんげ
極楽へ迷ひこんたり蓮華草 政岡子規 れんげ
母乳濃くなりて紫雲英田より帰る 鷹羽狩行
気まぐれをうかと来ぬげんげ濃き雨に 種田山頭火 自画像 層雲集
水浸きたるげんげ田水にげんげ咲く 山口誓子
波立てる鰻田げんげ田はしじま 松崎鉄之介
海に突ん出しげんげ田を打ち返しをり 村山故郷
海越えてきて踏む島のげんげかな 野見山朱鳥 曼珠沙華
溺愛の函げんげ田に乳母車 鷹羽狩行
父祖の地や今年げんげの衰ふる 角川源義
牛叱る声かやひびくげんげ田に 三橋鷹女
狡る休みせし吾をげんげ田に許す 津田清子 礼拝
田に牛入れて南ふく日のげんげ田水田 荻原井泉水
田の神のためにげんげを敷きつめし 鷹羽狩行
田一枚げんげ豊かや波郷の家 村山故郷
畦越えて咲きあふれたるげんげかな 高浜年尾
登り来てげんげ田のまだ花支度 鷹羽狩行
神将の左拳にまとふ紫雲英の風 古舘曹人 砂の音
童が走り紫雲英田の畦走り 清崎敏郎
笈摺を置く紫のげんげ田に 山口誓子
紫雲英の中にコンクリート建の寺 山口誓子
紫雲英の首環父なくせし子何祈る 有馬朗人 母国拾遺
紫雲英ゆらぐ常に序幕であるを許せ 中村草田男
紫雲英咲く小田辺に門は立てりけり 水原秋櫻子 葛飾
紫雲英打つ木曽の青天細き下 橋本多佳子
紫雲英滴む紫雲英の中に膝を埋め 清崎敏郎
紫雲英田が減つて村景薄れけり 百合山羽公 樂土
紫雲英田と湖の入江と相侵す 水原秋櫻子 玄魚
紫雲英田に住めば都と遊びけり 百合山羽公 樂土
紫雲英田に侠客ひとり裏返し 金子兜太
紫雲英田に母子三人月出るに 金子兜太
紫雲英田に漲りをれる愉色かな 相生垣瓜人 明治草抄
紫雲英田に馬の幻尾を振りし 百合山羽公 寒雁
紫雲英田のここをわれ歩く人しらず 下村槐太 天涯
紫雲英田のびつしり村に嫁来る日 鷲谷七菜子 花寂び
紫雲英田のまんなかにゐて子供刈る 山口青邨
紫雲英田の紫雲英あふれて次の田へ 山口青邨
紫雲英田の褪せたる後も落着かぬ 相生垣瓜人 微茫集
紫雲英田は尽きじ地球の円ければ 三橋鷹女
紫雲英田は風鰻田は水を張る 百合山羽公 樂土
紫雲英田や弔鉦のだしぬけに 百合山羽公 樂土
紫雲英田を幾重に峠なせりけり 水原秋櫻子 緑雲
紫雲英田を懐しみつつ来し吾ぞ 相生垣瓜人 明治草抄
紫雲英田を裾に敷き立つ三輪の神 水原秋櫻子 旅愁
紫雲英畑日々に隆まる揺色ぞ 香西照雄 対話
紫雲英荷と夕映充てし頬窪と 香西照雄 対話
紫雲英見て車輪音無き二階電車 山口誓子
紫雲英道幾筋断ちて基地始まる 香西照雄 対話
紫雲英野となる前殊に霞むらし 水原秋櫻子 蘆雁以後
紫雲英野に敢へて丘あり狂院載せ 中村草田男
紫雲英野の畝傍の子等に来る夕べ 有馬朗人 母国拾遺
紫雲英野の道たかまりて川跨ぐ 清崎敏郎
紫雲英野は礁の海につゞきたり 清崎敏郎
紫雲英野や一本の洋傘杖につき 山口青邨
絣着の嫁に げんげも負い籠の荷 伊丹三樹彦
美濃げんげ田に墓近江水田に墓 山口誓子
美濃ゆたか植田げんげ田隣りあひ 鷹羽狩行
老紫雲英生路そのまま戻り路 中村草田男
耕耘機げんげのしぶき浴びて鋤く 右城暮石 句集外 昭和四十七年
臥したきを耐へ来し日々ぞ紫雲英風 香西照雄 素心
舟で行く縁故投票げんげ流し 平畑静塔
花のみな垂るゝげんげの荷を担ぎ 高野素十
花紫雲英「疲れ負んぶ」の草履裏 中村草田男
花紫雲英児がふたり来て声ふたいろ 中村草田男
苗代やげんげの束の捨てゝある 政岡子規 苗代
茎長に紫雲英の花を摘みためて 清崎敏郎
菜の花紫雲英染物そろふ鯉幟 百合山羽公 樂土
蓮華草咲くや野中の土饅頭 政岡子規 れんげ
蓮華草我も一度は小供なり 政岡子規 れんげ
虻と虻これも組討げんげ揺れ 阿波野青畝
蛇籠あみ紫雲英に竹をうちかへし 水原秋櫻子 葛飾
血の気なくなりし老父と紫雲英摘む 百合山羽公 寒雁
裸足の娘げんげの畦を音もなく 松本たかし
見え渡る遠きげんげの紫も 山口誓子
親牛も仔牛もつけしげんげの荷 高野素十
賤機のげんげ田織の途中なる 山口誓子
踏み込んで大地が固しげんげ畑 橋本多佳子
踏切の鐘鳴るげんげ田もありて 右城暮石 句集外 昭和五十七年
転居の荷ほどきてげんげ田も近し 百合山羽公 寒雁
近づきてげんげ田花の密ならず 右城暮石 句集外 昭和四十六年
週末の贅沢げんげの絨毯藉き 鷹羽狩行
遠い日もだった 頬擦りげんげのこの冷たさ 伊丹三樹彦
重くなる霞に紫雲英田を起す 百合山羽公 寒雁
野道行けばげんげんの束のすてゝある 政岡子規 れんげ
釣堀に釣りてげんげ田つづきなり 岡井省二 明野
鋤きし田を囲みてげんげ田の真紅 鷹羽狩行
鋭角の紫三角田のげんげ 山口誓子
闇ひとしからずげんげ田花菜畑 鷹羽狩行
隣田は紫雲英咲きそむ鰻池 水原秋櫻子 殉教
雲ふかき紫雲英田敷けり幾重にも 水原秋櫻子 残鐘
頭悪き日やげんげ田に牛暴れ 西東三鬼
風に揺るゝげんげの花の畦づたひ 星野立子
駈け下りぬげんげの畦の見えしより 及川貞 夕焼
鶏鳴の野やげんげんによべの雨 村山故郷





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