イタリアの泉

今は日本にいますが、在イタリア10年の経験を生かして、イタリア美術を中心に更新中。

浮世絵の劣化

2018年02月14日 17時05分59秒 | 日本の美術館

再び&最終回、藤沢浮世絵館のお話です。
作品を真剣に見ていた時の事、出口の方からものすごく大きな声が聞こえてきました。
聞こうと思わなくても耳に入って来るボリューム…はっきり言って迷惑です。
更に内容が…
このご高齢の男性曰く「会場が暗すぎて見えない」というお怒りでした。
受付のお姉さんは丁寧に「400年も前の作品を保護するために仕方がないんですよ」と説明。
しかしこの方は「LEDにしろ」とかなんとかかんとか…
お姉さんも「見難かったところはサイトにも作品出ていますから、それで確認してください」とまで言う始末。
これじゃあ本物見に来た意味がないじゃん、とちょっとおかしい。

確かに会場は明るくないです。
そこまで年はいってない私でも、確かに見難い。
最近は老眼始まって来たから近づいても見難い。
でもちゃんと数か所になぜ照明を落としているのか説明が書いてあるし、当然LED使ってるだろ、と突っ込みたくなる。
見えないなら、この頃よく宣伝している×××ルーペでもお買い求めになってはいかがでしょうか?
とおじさんに心の中で言ってみた。
でも同時にふと、ん?
で、実際どれくらい劣化するんだろう???

版画の体験をやった時、たしか担当の学芸員さんは「和紙の繊維に絵の具をしみこませる」「だからすぐに触っても色がつかない」と言ったはず。
和紙は耐久性に優れているし、色は落ちない。
では劣化しないのか?
いや、和紙は焼ける。
でもLEDでも焼けるのか?
どれくらいで劣化するのか?

西洋絵画の展覧会では当たり前だと思っていたけど、最近どの浮世絵関係の展覧会に行っても「作品保護のため会場の照明を暗くしています」という注意書きを見るけど、科学的にはどうなんだろう?
劣化するから1か月で展示替えするらしいけど…

例えば年間数100万人が魅了される「モナリザ」は照明ではなく、人間が発する二酸化炭素が劣化の最大原因ということで、しっかりガラスで覆われている。
浮世絵は???

どこかに根拠が有るならだれか教えてくださいませ。



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2 コメント

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劣化 (山科)
2018-02-14 20:15:19
ボストン美術館 浮世絵名品展のサイトに良い解説がありました。
http://harunobu.exhn.jp/index.html#highlight
>春信の頃の錦絵は、植物から作られた絵の具が中心で、特に紅による赤、紅と露草(青花)の混色による紫は、光によって退色してしまうことが知られています。ボストン美術館が所蔵する浮世絵版画は、長く展示されることがなかったため、多くが良好な状態に保たれてきました。

実際、春信の空の色はほとんど褪色しています。

ただ、シカゴのバッキンガム・コレクションの春信浮世絵の状態がよいのには驚嘆しました。

貴方が先回あげられた銀泥についていうと、銀泥はどうしても黒く錆びてしまう傾向があります。これは銀器は磨く必要があることでわかるでしょう。現在はプラチナを混ぜたり、金を混ぜてエレクトロンにして黒になるのを防いでいるようです。
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ありがとうございます (fontana)
2018-02-18 15:03:31
山科様
とても参考になりました。ありがとうございます。
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